仕事と子育てに全力疾走の10年と過労。 働くことへの感謝を育てる志とは

立志財団会員ロング・インタビューでは、会員のみなさまの志やビジネスのサクセスストーリーをご紹介していきます。

今回はリンクライフ株式会社代表取締役の中田 太美子(なかだ たみこ)さんです。働くことへの感謝を通して地元沖縄の人たちに貢献していく志を語っていただきました。

働くことに感謝するキャリアコンサル

−まず、現在のお仕事について教えていただけますか?

中田:キャリアコンサルティングを行うリンクライフ株式会社を2年前に起業しました。私の真志命「働くを通して育み合う未来を作る」を元に、”WORK THANK”=働くことへの感謝を循環させられるよう、お客様ごとにあったカスタマイズでキャリア教育を行なっています。主に沖縄県内のお客様に対して組織づくり、採用から営業まで一手に引き受けています。

そこのスタッフさんに関しても単に仕事のやり取りをするのではなく、離島でどうやって豊かなキャリア形成をしていくのかを一緒に考えていきます。研修やキャリア支援と言うと、スポットの指導のイメージがありますけれど、継続的に長くお付き合いさせていただいています。どうやってPDCAを回していくのか日々やり取りをしています。

−中田さんのキャリア支援の特徴はどんなことがありますか?

中田:スキルを教えてくれる研修はよくあると思うんですけど、営業のみならず、仕事ってスキルとマインドだと思うので、マインドセットの方も両方させていただいています。初めて営業をされる方、後自営業をされている方だと営業を知らない場合が多いんですね。営業しないと仕事が広がっていかないので、まずは営業をするのはかけがえのないことなんだっていうマインドセットをしています。スキルの方に関しても、フローは決まっているので、お客様ごとに応じてどう言う営業をしていくのかを考えます。順番を間違えているだけで、ちゃんとステップがあるので、コンセプトからのマーケティング、販売したいお客様のリサーチから営業方法を展開していきます。

過労で倒れ、立ち止まって気づいた人生の彩

−起業に至った経緯について教えてください。

中田:全然カッコイイ話ではないんですけど(笑)。以前は、ジブラルタ生命保険の組織長、いわゆるプレイングマネージャーをしていました。営業から組織長になるときは、「お客様に対する恩返しのつもりで仕事をしているけど後輩を育てるのもお客様への恩返しなんだ」というお話にすっかり騙されて(笑)。管理職になったら同じ会社とは思えないほど働き方が変わってすごく打たれました。そこで初めてマネジメントを学びましたし、子育てもしなきゃいけないしで、10年間フル稼働でした。ありがたいことにチームとして全国大会で優勝もさせていただいたんですけど、ある時、過労で倒れてしまったんですね。それで何のために仕事しているのかわからなくなってしまったんです。子どもが家に帰ってもお母さんが家にいない状況でしたし、オーバーワークどころじゃないほど働いていました。本来ならちゃんと考えて円満退職してから投機すべきなんでしょうけど、一回仕事を辞めて足元を止めようと思いました。

その後、不動産とか仕事はしてみたんですけど何だか合わなくて。半年くらいしてから自分は何がしたいんだろうってしばらく考えました。すると、人を育てること、人の役に立っていることが嬉しいんだ、働くことで人生が彩られたんだって気づきました。働くことへの感謝。保険営業の前も配達で自転車で坂を登ったり、テレアポで営業を叩き込まれたりといった経験もしていたので、自分自身としての働き方も若いうちに証明したかったんだと思います。同時にワークライフバランスって人生を見つめ直すためのものだとも思いましたね。

苦手を手放し、恐怖心をプラスに変える

−独立されてから辛かったことについて教えてください。

中田:働くことで人生を豊かにしたいんだと気づいて、キャリアコンサルタントの資格をとって起業したんですが、ゼロから自分で全部しなければならなかったのが辛かったですね。私はもともと発想の能力がないので。ゼロイチじゃなくて、あるものをコーディネートするのが好きなんです。飼われていたワンちゃんがいきなり外で走れって言われている感じでした(笑)。今となっては、いろいろと専門家に頼んでやってもらうようになりました。ここは力を借りればいいんだ、こういう風に頼んだら良いんだ、っていうのがやっとわかってきました。

本当は、そういうのを理解した上で起業できたらよかったんですけどね。なので反対に、もし歳をとってから起業して、何もできない年金もないってなるよりは、セカンドステージに人より早く立ったんだ、って思うようにしています。早めにリスクヘッジを知れたのはむしろ強みかなって思いますね。もともと安定志向で恐怖心が強いタイプなので、そう捉えるようにしています。まだ種まきの段階なので、走り続けないと結果は出ないですから。そういう恐怖心をいかにプラスに変換していくかを考えると日々修行だなって思います。

身近な人から、そして地元沖縄に貢献する

−最後に今後の展望を教えてください。

中田:目の前のことでいっぱいいっぱいではあるんですけど、真志命の実現しかないと思います。それは離島での仕事というのも含まれているので、地域のコミュニティの活性化にもつなげていけたらと思います。それは時代の方向性にも合っていると思うので貢献していきたいですね。

営業コーチやキャリアコンサルティングについては、身近な人のオファーに合わせて提供していくのが得意なので、枠をもっと精査しながらリソースしていきます。内容としては、ワーケーション施設の組織づくりに主軸を置きながら、来期は同時進行で、大人のキャリア形成のウエイトを増やしてサポートの新しい形を作っていきます。

自分軸は固まっているので、あとは市場軸のニーズに柔軟に応えながらサービスを提供していきたいと思います。市場軸と初めはズレを感じても、やっているとどこかで自分軸=真志命とつながるので、常に表裏一体なんだなというのを実感していますね。

でも、自分軸がないと市場軸に完璧に流されるので、真志命をもって実際に関わっていただいているお客様の声を聴きながら、その中でニーズがあるなと思うものに対して出し惜しみなく作っていく。そして、誰かのために作ったものはさらに広げていくということですね。身近な存在からペルソナを見つけて、誰かの役に立ったものをコンテンツにしていくボトムアップで実践していきます。

−まず身近な人に貢献することを大切にされているのですね。

中田:私はWeb集客よりも、対面影響力や言語表現力のような拾い出しの力が強いと思っているので、やっぱり身近なところからお聴きして、確かにお役に立っていきたいと思っています。そうして地元に貢献していきたいと思います。