アートのチカラでステキな家庭が増えていく!

アートには様々なチカラがあるのをご存知でしょうか?
アートに触れることで自由な発想力や思考力、直観力など様々な能力が育まれ、子どもたちが将来社会で豊かに生きていくための土台になります。

そんなアートのチカラを利用して、子供たちへ愛情を与えていきたいと考える後藤氏。
そう考え始めたきっかけは幼少期の悲しい経験が理由でした。

ご自身の過去の体験談やアートのもつ魅力、現在の活動内容など後藤氏に「アートのチカラでステキな家庭が増えていく!」というタイトルでお話して頂きます。

 

アートは自由でわがまま

皆さんは小さい頃にお絵かき、または空き箱などを使い、何か工作等したことはあるでしょうか。例えば工作・自分で作った物を褒められて嬉しかった経験や、逆にけなされて悲しい思いをしたたことなどないでしょうか。ここにいる方にもそのようなエピソードがあるかと思います。

 

アートは自由でわがままでいられる分野だと思っています。学校で習う算数や国語と違い、答えはそこにはなく、自分で答えを導き出すことができるからです。アートのチカラを利用することで僕は子供たちの表現を導き出し、その表現を全部受け止めて構ってあげたいと思っています。

また親御さんにも子供たちの自由な表現を受け止めてもらい、子供たちが自分で作った作品を褒めてほしいと思っています。子供たちが欲している愛情を、アートを通して与えてあげることができるからです。
僕が目指したい世界は、アートのチカラを利用してステキな家庭を増やすことです。

 

子供が子供らしくいられる時間は一瞬

僕は子供を対象にした美術教室の講師を10年以上しています。
日々子供たちと一緒に制作をする中で、子供たちの自由な表現に非常に感動し、ときには嫉妬を覚えることもあります。例えばステキな作品を作っていると思っていたら、次の瞬間絵具で塗りたくっている。またその日やるはずだったことを全く無視して好き勝手なことをやっている。そのような子供らしさがとてもいいなと日々感じています。

ただ子供が子供らしくいられる時期はそれほど長くはありません。あっという間に過ぎてしまいます。その為、一瞬一瞬の経験や子供たちが一生懸命作った作品は、非常に価値のあるものだと親御さんにも伝えています。親御さんにも子供たちの自由な表現を受け止めてもらい、アートを通して愛情を与えて頂きたいと思っているからです。

 

学校の勉強だけで個性は培われるのか?

アートには子供たちを豊かにする、また人生を豊かにするチカラがあると信じています。

近年では学習指導要項が変わり、これまでは点数をベースにした勉強が重要視されてきていましたが、今後は子供たちの個性を大事にする勉強が基準になるだろうと言われています。日本では自分の意見を尊重することにより、謙虚さを覚えているという風潮がまだ存在します。

しかし学校で習う勉強だけで子供たちの個性は養っていけるのでしょうか。学校の勉強全てを否定するわけではありませんが、暗記だけの勉強やテストの点数で、子供たちの個性が培っていけるものだとは僕は思えません。

 

アートはトライアンドエラーの繰り返しです。
幼い頃、様々なことにチャレンジした経験や、その結果成功して受け止めてもらった経験が子供たちの自信に繋がっていくと思っています。アートは二つと同じ作品がないからこそ、その子の個性というものが培われるのです。

また最近では社会に出た後も役立つジャンルとしてアートは注目されています。言葉では説明することができない、直感的な考え方を養うことができるからです。その一例として、近年ニューヨークではMBIを取得したエリートサラリーマンが、早朝の美術館でアートのツアーをすることがブームになっているそうです。莫大な仕事を論理的に処理する能力と同じくらい、アートの直感力も大事だと言われているからです。

 

素敵な家庭を増やしていきたいと思ったきっかけ

ではなぜアートを通してステキな家庭を増やしていきたいのか。

それは僕の幼い頃の経験が理由にあります。

幼いときから僕の家は自営業で、大変忙しい家庭でした。その為両親から構ってもらった経験はあまりありません。父は数年前に亡くなりましたが、母とは最近電話で話す機会があり、そのときに昔の話をしました。母は『昔は忙しくて子供を構っていられなかった。』と言いました。確かに僕は昔から図画工作が大好きで色々作っていましたが、それを母に褒めてもらったことは一度もありません。そのことも母に尋ねると、『本当にあの頃は忙しくて、褒めたことなんて一度もなかった。』と言っていました。

 

そのような家庭環境で育っていくうちに、僕は次第に周りの空気を読むことを覚えたのです。

例えばこのようなエピソードがあります。僕がまだ保育園に通っていた頃、肺炎を患いました。大雪の中病院に担ぎ込まれ、その後腕にたくさんの点滴の管が繋がれました。そしてそのときお医者さんがこう言いました。『今夜が峠です。』と。その言葉で母は泣き崩れました。その様子を見て僕は『俺、大丈夫だから。』と答えたそうです。

また他のエピソードだと、両親が喧嘩しているときになんとかその喧嘩を止めようと思い、わざと母に抱っこをせがんだこともあります。ただそのような家庭環境の中でも愛情はたくさん感じることができました。幼い頃の僕には気付くことができなかった部分もありますが、今現在、子供が生まれ僕自身が親になったことで、当時の親の苦労が身に染みて感じられるようになりました。

 

アートのチカラで子供たちへ愛情を与えたい

今僕にできること、それはアートのチカラを利用して子供たちに愛情を与えることです。そして親御さんにもその価値を伝え、同じように愛情を与えて頂くことです。

その為に僕が今試みようとしていることは、英語を使いアートを指導する美術教室「英語でアート」を運営することです。この美術教室ではアートの面白さを子供たちに実際に体験してもらうことができ、また同時に英語も学ぶことができるので、保護者の方にも納得して頂きやすいと思います。

「英語でアート」はまだまだ準備中ではありますが、僕自身ワクワクしています。

 

心を動かすアートが運んでくれた物語

またアートは、このような面白い物語を運んでくれることがあります。
昨年の11月、Facebookに宛名の知らない人からメッセージが届きました。そのメッセージの送り主は、昔アメリカへ行ったときに仲良くなったルームメイトの奥さんからでした。
なぜルームメイトではなく奥さんからメッセージが届いたのかというと、彼は数年前持病の糖尿病で亡くなっていたからです。彼は生前、糖尿病のせいで徐々に視力を失いつつあったそうですが、それでも僕が贈った絵を大事にしてくれていたそうです。そのことをわざわざ僕に伝える為に、絵に書いてあったサインをもとに彼の奥さんは僕を探してメッセージを送ってくれました。絵自体に値段が付くような価値はありませんが、アートには心を動かすチカラ、お金にならない価値があるんだと、そう感じることができました。

 

あともう1枚、この絵も心が動かされたアートの一つです。


これは僕が過去に教えていた教室の生徒の一人がくれたものです。
わけあってその日が僕の最後の指導という日に、指導が終わった後生徒の一人が僕にこのクリスマスカードをくれました。多分その子はこのカードを作ったこと自体忘れているかもしれませんが、その日が僕と彼が会うのが最後だったということもあり、僕にとってはとても感慨深い1枚になっています。ときにはアート作品は何万円、何千万円、何億円という価値があるかもしれませんけれども、それ以上にアートというのは心を動かす価値があるんだと僕は感じています。

 

子どもたち、親御さんへ伝えたいこと

最後に僕からのメッセージです。
全ての子供たちへ。わがままで自由な表現をたくさんしてください。そしてそれを全部愛してもらってください。
全ての親御さんへ。子供たちのわがままで自由な表現を受け入れてあげてください。そしてそれを全部愛してあげてください。

ステキな家庭が増えるように。