「幸せなビジネスを創るための四つの原則」 坂本憲彦

現代は時代の流れがどんどん早くなっています。
最新のテクノロジーや商品が世の中にあふれています。
また、コンピューターの発展により、人間の仕事が、
どんどん取って代わられるという予測もあります。

そういった変化の早い時代の中でこそ、
大切になってくるのが、一人一人の心の中にある志です。

ただ、多くの方が、
自分の中にある本当の志に気づいていません。

一人一人の中にある本当の志に気づくことが、
この変化の早い時代を、乗り越えるためには大切です。

そして、その志から自分の人生やビジネスを
作っていくことが大事です。

今回は、どのようにして志を見つけ、
そして実現していくのか、
坂本立志塾代表、坂本憲彦氏から
『幸せなビジネスを創るための4つの原則』としてお話ししていただきます。


皆さん、こんにちは。

今日、いかがでしたでしたでしょうか。

これまで8名の方にお話いただきまして、皆さん自身の中でいろんな方のお話が、それぞれひとつずつ心に残ったものがあるのではないかと思います。今まで8名の方に素晴らしい話をしていただきましたので、私もプレッシャーかかってますが、僭越ながら最後に一言皆さんにメッセージをお届けしたいと思います。

 

今日は、「幸せなビジネスを創るための四つの原則」ということでお話していきたいと思います。

 

私はこれまで約10年かけて、2,000名以上の起業家、経営者の方々の指導をさせていただきました。その中で多くの方が自らの夢を実現させて、人の幸せに貢献していってくれています。その一方、志半ばで夢の実現をあきらめてしまった人もいます。こういった事実も残念ながらあります。自分はやりたかったけれどもそれが途中で叶わなかった、と思っている方々です。

私もいろんなビジネスを指導させていただいてます。ウェブのマーケティングであったり、そもそもビジネスモデルをどうするか、というようなお話もさせていただいたりしますが、多くの方が、ノウハウを本やセミナーで一生懸命勉強していますが、なかなか成果につながらない。自分自身、努力していないわけではなく、自分なりに一生懸命頑張っている。けれどもなかなかうまく結果が出ないと悩んでいる方、こういう方が非常に多いです。

 

では、どうすればすべての人がビジネスで成功することができるのか。これだけ今、ネットが普及しまして、情報やノウハウというものはもう世の中にたくさんあります。皆さんが何か成果を出したいと思えば、情報で困るということは今の現代においてはないと思います。でもみんながみんな望む人生を歩めているのか、望むビジネスを創れているのか、というとそうではありません。

 

では、どうしたらすべての人がビジネスで成功することができるのか。これがずっと自分自身のテーマでした。そこで私なりの答えというものが見つかりましたので、すべての人が幸せなビジネスを創る方法について、お話していきたいと思います。

 

すべての人が幸せなビジネスを創るため、必要なものとは

それがこちらの「事業創造の四命」という言葉です。たぶんこの「四命」という言葉を聞かれたのは初めてだと思いますが、私がこれまで10年近く、いろんな方の指導をさせていただいて、ようやく最近、事業というのはこういうふうに創っていくのが正しいやり方なんだな、というのが私なりにまとまりました。それを、四つの命と書いて「四命」ということでまとめましたのでお伝えさせていただきます。


「事業創造の四命」とは何かというと、この四つになります。まず知命、二つ目が立命、三つ目が創命、四つ目が実命という流れになります。これだけだと、どんなことなのかあまりわからないと思いますので、これをもう少し説明していきます。

 

まず「知命」とは何かというと、本当の使命を知ることです。

命を知ると書きますが、自分が何のために生まれてきたのか、何のためにこの世に生を受けたのか。自分自身の本当の使命を知るということ、ここから事業を創るということがまず大切になってきます。

 

二つ目「立命」、命を立てると書きます。

これは志を立てることでもあります。自分自身が何者であるかを知って、そこから自分自身は何に向かっていくのか、何を成し遂げていくのか、ということ。志を立てることが、「立命」という段階になります。

 

三つ目が「創命」です。

「創命」とは、志から事業を創ることでもあります。命を創ると書いて創命。事業というのは、お金を稼ぐためにやるということ、これももちろん大事ですが、それだけではなく根本にある自分が何をしたいのか、この世にどんな影響を与えていきたいのか、その志です。

 

そこから事業を創るということをしていかないと、短期的には収益が上がるかもしれませんが、5年、10年、20年、30年と本当に自分が生涯をかけてやっていくビジネスというのは、なかなか創ることができません。なので、志から事業を創るということが非常に大事です。

 

四番目が「実命」、命を実らせると書きます。

「実命」とは、志を実現するということ。自分が立てた志を実際に行動に移して実現に移していく。これが最後の段階で大事になってきます。

 

多くの人が、自分の使命を知らずにビジネスをしている現状

このように事業を創るということにおいては、この四つの段階が非常に大事になってきます。自らの本当の使命、何のために自分は生まれてきたのか、ということを知り、それをどのように世の中に役立てていくのか、何を残していくのか、という志を立てて、そこから事業を創っていく。志に基づいて具体的に事業を創っていく。そしてその志を実現していく。この四つの原則を踏まえていくことが、非常に大事になってきます。

 

そして、多くのビジネスマンが、自分の使命を知らずにビジネスをしています。自分が何のためにこの世に生を受けたのか。何を成すために来たのか、ということを理解せずにビジネスをしてしまう。そうするとどうなるかというと、使命がないと、一時的にはいいかもしれませんが、瞬間的には儲かったり、利益が出たりということがあるかもしれませんけれども、いずれ不幸せな社長になってしまうということです。

 

自らの使命を知るために大事なこと

では、自らの使命を知るために大事なことは何でしょうか。

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使命といわれても、ピンとくる方もいらっしゃれば、なかなかそんなのわからない、考えたこともない、考えてみたけど見つからなかった、という方もいるかもしれません。

 

まずはあなたが何を受け取っているのかを知る

自らの使命を知るために大事なこと、それは何かというところですが、まずはあなたが何を受け取っているのかを知ることです。

そして、人に与える

何を与えられているのか。生まれもったときに、何かの能力というのを必ず皆さん受け取っていると思います。皆さんが受け取っている能力というのは、一人一人違います。私が受け取っている能力も違いますし、皆さんが受け取っている能力もそれぞれ違います。なのでまず、自分自身が何を受け取っているのか知る、これが最初の段階です。そして、受け取っているものがあるからこそ次の段階、人に与えることができます。

 

ビジネスの成功の秘訣は何かというと、これビジネスでもそうですが、人生でもそうです。「人にまず先に与える」ということです。自分もそうですよね。自分から奪って行こうとする人とあんまり仲良くしようとはなかなか思わないと思います。自分に対して何かいいことをしてくれた人に対しては、お礼をしよう、親切にしようと思いますね。

 

なので、人に与えるということが人生においては非常に大事です。ただ人に与えるためには、その前に何も受け取っていないと感じてしまっていると、誰かに与えるということはできないです。なので、まずは自分自身が何を受け取っているのかを知って、そしてあなたが受け取っているものを人に与えてください。

では、誰から受け取っているのか

では、誰から受け取っているのか。皆さん、受け取っているものがあるとお話させていただきました。それは誰から受け取っているのか。それが誰かというと、父親と母親だと私は思います。当然いろんな方から受け取っているものはあると思います。今までの恩人の方であるとか、おじいちゃん、おばあちゃん、先生、そういった方からいろいろ受け取っていると思いますが、やはり一番皆さん自身が大きく受け取っているのは、誰からかというと父親と母親。

 

ある起業家の物語

ここで、ある起業家の物語をお話させていただきます。

弱い母親を否定し、強くならないといけないと思っていた

実はこれは私の話ですが、私はずっと母親を否定し続けていました。これまでの30何年間です。それには理由があります。

私の母は、私が幼い頃、とても心が弱い人でした。

今でいうところの母はうつや統合失調症という病気でした。幼い頃の記憶で残っているのが、母親が一日トイレに入って出てこないとか、私は直接は覚えていませんが、私には姉がいますが、姉が言っていたことですが、幼い僕と姉と3人で出かけて母親だけ先に帰ったと。今でもひどいほうの部類だと思います。そういった母親のもとで育てられました。

そういう母親が、私が7歳のとき、自ら命を絶ちました。私自身、この事実を知ったのは、実は最近です。今年に入ってからです。私はそれまで30何年間、母親がなぜ死んだのかを知りませんでした。最近親類から聞きました。私はそんな母親を、心の奥底で否定し続けていました。

 

私の中にあった感情は何かというと、「お母さんみたいになってはいけない。自分は強くならないといけない」と強く思っていました。

弱いお母さんというものをずっと否定していました。弱い人になっていると、いつかお母さんのようになる、自分は強くならないといけない、とずっと思っていました。

 

強くなる方法とは・・

私の強くなる方法が何かというと、いつか起業して成功するということでした。そのために私は起業を志しました。そして30歳で起業をすることができました。約10年経ちましたが、複数の事業を立ち上げていきました。

 

不動産投資の教育事業であるとか、ビジネススクールの事業、速読の講座事業、コンサルタントの事業。いろんな事業を立ち上げてきました。大きいときで、グループで年商5億円。社員30名以上を抱えるまでに成長しました。何もない状態から東京に出てきて、人並みの成功ができるようになったと思っていました。

 

ただ、私は幸せではありませんでした。

なぜかといいますと、いろんなところから不満や問題があがってきたからです。社員からの不満。働いていても満足感がない、楽しくないという不満や、お客様からもクレームをたくさんいただくようになりました。売上が増えることによって、サポートやサービスが十分に提供できなくなって、お客様のクレームが増加しました。さらには経営幹部同士の対立です。一緒に会社を立ち上げた仲間からの、価値観の相違によってそこで対立が起こるようになりました。

 

何かを自分が決断すると、どこかから批判が飛んでくるという状態になりました。何かをするとこちらからくる、こちらを立てていると今度はこちらから批判がくる、ということで私は最終的に行動ができなくなりました。当時三つあったうちのメインの会社の代表を辞めることになりました。

 

私には何が足りなかったのか

そして考えました。私には何が足りなかったのか。

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自分なりに一生懸命やってきました。いろんな勉強もしてきたし、いろんな努力もしてきたつもりではありましたが、何かが足りないからこういった結果になってしまった。ただ自分では何が足りないのかわかりませんでした。

 

事業はミッションから創るんだ

そういったときに、ある方と出会いました。当時顧問になっていただいたスターバックスジャパンの元執行役員の方に、お話を聞いていただきました。その方に「事業はミッションから創るんだ」と言われました。スターバックスは今でも、多くの方を集める企業です。その中でなぜ人が集まるかというと、ミッションがあるから、使命があるから。事業はすべてをミッションから創っていく。ミッションがない事業はいずれ衰退する、ということを教わりました。

 

私はそれまで経営者として、お金を稼ぐために事業をしていました。それはすなわち、自分自身が強くなるためでもありました。幼い頃、母のようになってはいけないという思いがありましたから、私の強さの象徴というのがお金でした。ビジネスで成功すれば自分は強くなる、それができれば自分は母のようにならなくて済む、というふうに思っていました。

 

でも、それは大きな間違いでした。すべての事業は使命から始まる。自分自身の中にある使命、皆さん一人一人の中にある使命、そこから事業が始まります。ただ、使命というものがどこにあるのか、なかなかわからない方がいると思います。そこで私は、父親と母親、特に母親と向き合ってみました。

 

30年間タブーだった母親に向き合う

自分の本当の使命を知るために母親と向き合いました。私は30年以上に渡って、母の存在を無視し続けていました。私の家の中では、母の話をするというのが完全にタブーでした。私の父親から母親のことを聞いたことは一切ありません。父親は3年前に亡くなってしまいました。正直、母親がなぜ亡くなったのか、最後に聞こうかと思いましたが、父親は最後がんになり1年ぐらい闘病していたこともあり、だんだん弱っていくので、本人も大変そうで、この状態では聞きにくいと思い、そのまま聞けずに亡くなりました。

 

ただ、先ほども言ったように、今年の1月に姉と話していたところ、姉も最近知ったそうですが、実はうちの母親は自分で命を絶ったということを教えられました。そういった事実があったから、誰も言わなかったですし、自分自身も深く知ろうとしませんでした。

 

私はその事実を聞いたときに、本当に心が壊れるかと思いました。

自分は母から生まれてきたので、自分のことを心が弱い人間だと思っていました。なので、いつか母のようになってしまうのではないか、心が壊れてしまうのではないか、と思っていましたが、私の心は壊れませんでした。

 

僕を生んでくれてありがとう

その事実を知ったとき、私は風呂場で一人で泣いていましたが、そのとき母に対する一つの感情が芽生えてきました。それが「僕を生んでくれてありがとう」という言葉です。母の記憶というものもほとんど残っていません。母が残してくれたものも、ほとんどないです。

 

そういったものや形ではないですが、僕自身がここに存在しているということが、母が残してくれたものなのだと思って、母に対して生まれて初めて、「産んでくれてありがとう」という感情を持つことができました。そこから自分の使命というものが何なのか、ということが確信できるようになりました。

 

父親母親と向き合って、見つけた使命

私の使命はすべての人を真に導くことです。

 

すべての人を、偽りの人生ではなく、本当に自分自身がやりたいこと、成し遂げたいことを、それが実現できるように支援していく、サポートしていく、それが自分の使命だと思っています。そして私の志は世界中の一人一人が、志を実現できる社会を創ることです。志というと崇高な言葉に聞こえるかもしれませんが、人が生まれてきたからには、必ず皆さん一人一人の中に志というものがあると思います。もしかしたら今はまだ見つかってない方もいるかもしれませんが、必ず心の奥底に眠っていると信じています。

 

一人一人が志を実現できる社会を創る夢

そして、一人一人が志を実現できる社会を創ること。

これが私の夢でもあります。

私は居酒屋を愚痴ではなくて、志を語る場所にしたいと思っています。私もサラリーマンをやっていました。サラリーマンのときには、居酒屋に飲みに行ったら、いつも上司の愚痴、会社の愚痴を言ってました。愚痴を言うのはダメではありません。それも楽しいですが、そうではなく、自分の夢や志を本気で語り合える人が、あちこちに出てくると、日本も世界ももっと元気になるのではないかと思います。そんな場所を創りたいと思っています。

 

そして、一人一人の志をみんなが応援できる、そういう社会。自分の夢を進むだけではなくて、みんなが人の夢を応援できる、そんな社会が創れると素晴らしいなと考えています。世界をよりよい場所にする立志起業家を輩出していきます。立志、志を立てた起業家。単なるビジネスで収益を上げることだけが目的ではなくて、志を実現する起業家。こういう立志起業家を世の中に増やしていく。それが私の使命だと思っています。

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そのためには、まずは皆さんが両親から何を受け取っているのかをぜひ感じてください。皆さんが両親、父親と母親から受け取っているもの、必ずあります。胸に手を当てて、これを考えてみてください。そして両親から受け取っているものが感じられたら、人に与えてください。

それが皆さんを幸せにしますし、社会もよりよくしていきます。

 

今日の話を通じて、自分も家族も社員も、お客様も豊かにする、幸せなビジネスを創る。ビジネスだけではなく人生も創っていただく。幸せな社長、幸せなリーダーになっていってください。私たちが応援しています。

 

幸せな未来をあなたに。