会社を成長させる組織作りの3つのポイント
世の中には多くの組織が存在します。
ですが、中には組織としての機能が働いていなかったり、揉め事が耐えなかったり、まとまりがなかったりと、居心地が悪い組織があることも事実です。
では、よい組織を作るにはどうしたらいいでしょうか?
今回は1万人以上の経営者・起業家を指導してきた坂本憲彦氏に会社を成長させる組織作りのポイントについて伺いました。
組織とは
人が2人以上いて、共通の目的のもとでそれぞれが役割をもって活動すると、それは組織になります。
組織で仕事をするメリットは、たとえ一人仕事ができない状態になったとしても他の人がカバーをすることで仕事が回る仕組みです。これは自営業とビジネスオーナーの違いでもあります。
自営業は自分の時間を使って自分自身が直接仕事をします。なので、万が一自分が働けない状態になった時には収入が途絶えてしまいます。
一方でビジネスオーナーになり組織を作るということは、実際の仕事は他の人に任せ、自分の仕事は組織に属する人たちの管理業務になります。
そこで、万が一自分が働けない状態になった時にも実際に利益を生んでいる仕事は稼働し続けるため、収入は途絶えることはありません。
この“仕組み”が組織で仕事をする意味になります。
自分で全て動く自営業なのか、組織を作ってビジネスオーナーになるのかによって、ビジネス設計が変わりますので、組織を作りたい場合はそれを見据えたビジネスの作り方を知っておく必要があります。
組織作りの方法
組織作りの工程は大きく分けて3つです。
①目的を決め、②その目的に必要なタスクを洗い出し、③実行計画を立てます。
それぞれの工程について順番にご説明をします。
①組織の目的を決める。
目的とは、この組織を最終的にどうしたいのかというゴールを決めることです。
目的は『ビジョン』と『財務』の2種類に分けて考えることがポイントです。
『ビジョン』とは、この組織で何を実現したいのか、という想いの目標です。
『財務』とは、いくら利益が必要か、という数字の目標です。
まず組織にとって一番大切になるのがビジョンです。
何のために仕事をするのか、誰に届けたいのか、どんなものを作りたいのかなど、ビジョンによって組織の方向性は全く違うものになります。
そしてこれは、組織のリーダーの人生の目的になるものです。
ここで重要なことは、複数人で立ち上げた会社であっても、最終的な決定はリーダー1人が行うことです。
もちろん周りの意見を聞くことは良いですが、決定権を持つ人を決めておかないと組織が弱くなります。
代表的な例として、ダブル代表の会社が上手くいかないパターンです。
2人で経営をしていたとしても最終的な決定権は一人に決めることが大切です。
その際、全てを一人にゆだねる方法もありますが、部門ごとに最終決定者を分ける方法でもよいでしょう。“何となく2人で決めている”が一番よくない方法です。
そして、ビジョンを実現させるためにあるのが数字の目標です。
想いは組織の核となるものですが、それだけでは組織は成り立ちません。組織を拡大・継続させていくためには利益も必要です。
ただし、ただ単純に「1億円稼ぎたい」「お金をいっぱい稼ぎたい」という目標ではそもそもの組織の目的とはずれてしまします。
売り上げの目標を決めるときには、組織にとってどれくらいの利益が上がれば想いが実現するのか、というビジョンを基にして考えていきます。
②タスクを洗い出し細分化する
目的が決まったら、達成のために必要なタスクを全て書き出していきます。
例えば、“営業”と一言でいっても、そのプロセスはたくさんあります。
お客様のリストアップ、アポ取り、提案、クロージング、フォローなど、ひとつひとつの仕事をできるだけ細かく分けていきます。
細分化をしたら、誰がどの工程を担当するのかを明確に割り振っていきます。
細分化するメリットは3つあります。
一つ目はマニュアルになるということです。
組織で困ることは、仕事が属人化することです。“この人しか知らない”という状況ができてしまうと、その人が抜けてしまった時に会社が回らなくなり困った事態に陥るのです。
仕事を細分化していくとそれが最終的にマニュアルになり、他の人でもできるようになります。
組織で仕事をする意味は、誰がやってもできる仕組みにすることです。人が変わっても業務ができることが大切ですので、このマニュアルは欠かせません。
2つ目は適材適所にタスクを振り分けられることです。
始めは自分一人でやっていたことでも、人が増えれば分担をすることができます。
その際、タスクを細分化しておくと、自分の得意な作業と不得意な作業が明確になるため、自分が不得意な部分を得意な人に任せることができます。
例えば先ほどの営業を例に挙げると、リストアップやアポ取り、フォローは得意だけれど、提案やクロージングは苦手だからほかの人に任せる、ということができます。
これがもし “営業”とひとくくりにしていたら得意なことと苦手なことを両方やらなければいけない状態になるということです。
ですからできるだけ細かくタスクを分けることが良いのです。
3つ目は自社の強みが整理できることです。
最初の頃は一人でいろいろとやりすぎて、自分がやっていることが分からなくなってきます。あれもこれもとやっているうち自分が何屋なのかが分からなくなります。
作業を細分化してみると、自分が力を入れていることとそうではないこと、大切にしていることと重要ではないことも明確になります。
力を入れていること、大切にしていることが自社の強みになり、自分が何者なのかの答えです。
一人で始めた会社だとしても、組織化することを見据えているのであれば、初めからタスクは細分化しておくことをオススメします。これを意識していることで、人が増えた時にもスムーズに仕事が回るようになります。
③計画を立てる
①でつくった目的達成までの行動を具体的に計画していきます。
まずは少し先の大きな目標を設定し、そこから逆算をして近い目標を設定していきます。
たとえば、半年で1000万円の利益を上げるという目標を設定したら、6か月間の月毎の計画立ててタスクを振り分けていきます。
業種によって期間の決め方は違いますが、近い目標としては長くても1年以内で一つ目標設定することをオススメします。先の目標としては3年後、5年後の目標を作ってみるのも良いでしょう。
そして、重要なことは目標は必ず“具体的”で“計測できる”かたちにします。
たとえば「たくさんアポを取る」という目標を立てたとします。“たくさん”の感覚は個人差があるため、1000人でたくさんだという人もいれば、10人でもたくさんだという人もいるでしょう。これでは目標の意味が全くありません。
そこで、誰が見ても同じ評価ができるように、数字で評価をするのです。
「たくさんアポを取る」ではなく「100人にアポを取る」といったように具体的に表現をしていきます。
生き残る組織の条件
組織は大きく2種類に分けられます。管理型組織と自立型組織です。
管理型組織とは、トップが言うままに社員が動く組織です。自分が考えて行動するよりも、指示されたことをやるだけの方が幸せだと感じる人に向いているかたちです。
目的が明確でリーダーの決断が間違いないという仕事であればこちらの方が結果は早いです。
自立型組織とは、社員一人一人がそれぞれ自分で考えながら行動をしていきます。クリエイティブなものを生み出す会社はこちらのかたちが向いています。
これまでは管理型組織が多い時代でした。なぜなら昔は物がなかったため、“生活が不便だから必要なものを作る”という共通認識があり、目的が分かりやすかったためです。
しかし、今後、管理型で行っていた仕事はロボットに置き換わっていくでしょう。考えなくてもできる仕事は器械でもできますし正確です。人間のように不平不満も言わないので管理もしやすくなります。
そして代わりに需要が出てくるのが自立型組織です。
生活に必要なものはそろっていて不自由なく生活ができている現代においては、“どれだけ生活を便利にしていけるのか”ということが課題になります。
これは“必要なものを作る”といった明確な目的とは違い、不確定要素が強いものになります。つまり、クリエイティブなものを作り出さなければ会社として生き残っていけないため、言われたことだけをやる組織では難しいのです。
これから生き残っていくのは自発的に考えられる人が多い自立型組織になるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
組織は複数の人が一つの目的に向かって仕事を達成していくことです。
そのために①目的を設定し②タスクを細分化し③計画に沿ってタスクを振り分け、そしてそれぞれが自分の役割を遂行していく、これが組織のつくり方です。
そして、人が変わったとしても仕事が回るような仕組みがあることが組織作りのメリットです。
組織作りで一番重要なのが目的(理念)を社員全体に浸透させることです。これがビジネスオーナーの一番大切な仕事とも言えます。
ですが、マニュアル化でき、そのとおりにやればできる作業とは違い、想いの部分を浸透させることはなかなか難しいことでもあります。
どのように社員に浸透させ仕事に活かしていくのか、については次回の記事でお伝えしますのでぜひチェックしてみてください。
坂本憲彦氏が運営する立志財団は、起業・経営に関する組織作りについてもご相談に乗っています。お気軽にお問い合わせください。
立志財団についてはコチラから⇒https://risshi.or.jp/