コンサルタントで開業して失敗しないポイントは?実際の失敗事例から学ぶ
この記事では、
- コンサルで自分のメンタルを保つ方法
- 開業前、開業時にやっておくとよいこと
- スキルや経験不足の際の対処方法
- 実際の失敗事例
といったことを書いています。
コンサルタントとして独立開業したい、でも、
- 失敗しないためにはどうしたらいい?
- やってはいけないこと、やるべきことは?
- みんなどんなことで失敗してる?
と、新しいことを始めようとするときは失敗しないかどうか不安になりますよね。
そこで、40歳でBtoBマーケティング専門コンサルタントとして独立し、以後、株式会社ロゼッタ(東証グロース)の正規代理店となり、社員ゼロ・人脈ゼロで100社以上の企業と契約し業績を拡大したアクスビー株式会社 代表取締役 山田俊明氏に独立当初のお話を伺いました。
自分のメンタルがやられないための方法
コンサルタントは、クライアントの課題を明らかにして、課題解決のための支援をする仕事です。
相手の弱い部分により深く関わっていく仕事ですので、時には感情をぶつけられることもあります。
相手の感情をぶつけられると自分自身も苦しくなってしまいますが、毎回影響を受けていてはメンタルがやられてしまい仕事を続けることが難しくなってしまいます。
そこで、大切なことは、相手のペースに巻き込まれないようにすることです。
ここでも、前回少しお話をした『真我』の考え方がポイントになります。
真我とは、顕在意識と潜在意識のさらに奥にある“本当の自分”です。
感情的になって出ている言葉や表情、行動は表面上のもので、本当の自分は別にあるという考え方です。つまり、相手が言っている不満や文句は本当の自分ではなく、本質的なところは別にあると捉えます。
文句を言っているように見えてもそれはただの叫び声でしかなく、相手が求めているのは本当の自分を理解してほしいというところなのです。
まずは、相手の文句や不満などに一緒になって感情移入するのではなく、言葉をいったんそのまま受け止めて、そこから相手の真意を聞き出していくことを意識します。
ポイントは反論をしないことです。話を聞きますよというスタンスで何に対して怒っているのかを聞いていきます。30分や1時間もあれば人は全部を吐き出します。
感情に流されず、相手の本当の自分の部分にフォーカスしていくと、それまでの見え方とがらりと変わり、人間関係がスムーズにいくようになります。
これは、一般的に言う「ポジティブシンキング」とは異なります。頭から無理やりインプットしてポジティブに考えるのではなく、元々自分の中にある調和の意識を引き出す(アウトプットする)やり方になります。
ですから、誰でも無理なく自然にできるようになるのです。
開業する前、開業した当初にやっておけばよかったポイント
ビジョン・志を持つ
まず事例を2つご紹介します。
- 〈事例1〉開業当時は、とにかく売り上げを伸ばしたいということに一生懸命でした。独立して3年目。クライアントが5社できてまあまあ食べていけるなという段階で、一気に売り上げを3倍にしたいと考えていました。この次のステップを考えていた時に儲け話に引っかかり数百万円の損失を出してしまいました。
- 〈事例2〉コンサルタントの契約件数が減り始めた時に不安になり、とにかく売上を何とかしたいという一心で新しい事業に手を出しました。当時マーケットが伸びていたオフィスクリーニング代行です。月に何十万という収入が見込めるということで、契約金を払って始めてみました。確かに依頼はどんどんありましたが、毎日朝から晩まで働き、帰宅が2時3時という日が続きました。掃除が好きな人であればよいのでしょうが、とても身体がもたず、1週間ほどで契約を解除し、結局損切りになってしまいました。
どちらの事例においても、その当時は売り上げを大きくしたい、お金の不安を解消したいという収入面にとらわれていました。ですが、お金のために事業を進めていると、事例のように騙されたり、長く続けることができなかったりと上手くいきません。
一番大切なことは“なんのためにこの事業をやっているのか”という『志』です。
もし、創業当時から志を持っていたら、収入ではなくお客様がどうしたら喜んでくれるかにフォーカスし、本業でお客様に貢献することを考えていたでしょう。
何事もこの志という軸に沿って、考え判断することで、目先の利益に惑わされることなくあなたの事業は良い方向へと向かいます。
開業する前にはまず、ビジョンを明確にして、ブレない軸を持つことは重要だという事を数々の失敗体験から身に染みて感じました。
創業融資を受ける
資金需要がなくても、創業融資を受けることをおすすめします。
500万円で5年のパターンが多いのですが、金利は1%程度でとても低く、これをきっちり返すと次は借りられる金額が上がります。返済実績を作ることで金融機関から信頼を得ることができ、いざ資金に困った時に借りやすくなるのです。
当時株式会社は1円からのスタートでも、創業融資を受けることができます。実際に、アクスビー株式会社も1円からスタートしました。そして、創業融資を受け、返済実績を作ることで、その後も資金が必要な時にいくつかの金融機関から低金利で借りられるようになりました。
開業時、お金の問題は大きな不安要素です。
政策金融公庫や信用金庫からの融資は受けておくと精神安定剤になりますので、ぜひ検討してみてください。
コンサルタントとしてのスキルや経験不足のカバー方法
お客様に合わせて事前準備はしていきますが、それでも最初は分からないことが出てきます。その際はその場では答えずに一旦持ち帰り、それ以上の情報を加えてお伝えするようにしました。
コンサルティングはお客様の課題解決を第一に考えるため、情報力が重要です。回数を重ねていくと、お客様の知りたいことが分かるようになるため、本には書いていないお客様の持っていない情報を常に持っておくことを意識しています。
また、経験が少ないと、“こんなことを言ってもいいのかな”と自信が持てないこともあります。ですが、それではクライアントも不安になってしまうため、自分の中で不安があっても、あえて自信があるように見せることをやっていました。
これが本当の自信になるには経験を積むしかありません。ないうちはプロとして参加するという自覚と自己暗示です。
“自分が一番お客様のことを考えている”“この分野で誰よりも考えてきた”というマインドスタンスでやっていくとよいでしょう。
失敗事例
今回は、コンサルタントとお客様の関係性に関する失敗談をご紹介します。
クライアントが5社できて、安心していた頃です。経営が安定してきたと思ったところで、契約解除が続くようになりました。
原因はクライアントとの関係性を勘違いしていたことです。
前会社と違い、自分で全て動いて契約をとったクライアントでしたので、どの会社の社長さんとも個人的に仲良くさせていただいていました。そして、仲がいいから契約してくれるだろうという思い込みがあったのです。
でも、ビジネスはそんなに甘くはありません。個人的に仲が良いことと仕事の契約は別ものです。
クライアントは仲が良くなりたいわけではなく、仕事の成果を求めています。
社長との人間関係は良好でも、仕事の成果を見た時に、期待通りの成果が出ていない、売上が予想以上に上がっていないということで、契約を解除されてしまいました。今思うと、自分の中で安心感がでて、緊張感が足りていませんでした。
付き合いが長くなる程、なあなあな関係になりがちです。コンサルタントとしての立場をきちんと押さえて、緊張感を持っておくことが大切です。
そして、常に「真我」の精神を忘れずに取り組んでいけば、どんな失敗が起ころうとも「これで良かった」という捉え方になり、自然と物心共に安定した生活が送れるようになります。
プロフィール
一般社団法人 SIA心のゼロ経営プロジェクト代表理事 アクスビー株式会社 代表取締役 山田 俊明
「これからの経営は時代に左右されるノウハウよりも人間関係の構築が最重要」との信念のもと「真我(本当の自分)」という心の法則をベースとした企業経営や人財育成をサポートする専門コンサルタント。 明治大学経営学部を卒業後、野村證券やIRコンサルティング会社等を経て、40歳で起業し、アクスビー株式会社を設立。真我を体現した経営に取り組んだことで、顧客契約企業は100社を超え、創業12年目に新たに一般社団法人SIA心のゼロ経営プロジェクトを発足。真我を企業経営に普及させていくべく活動に取り組んでいる。 2020年11月 初の著書「人生を変える!本当の感謝」を自由国民社より出版。翌月12月に重版。趣味は下町の大衆酒場めぐりとエアピアノ。