価格設定の5つのポイント!ビジネスを成功させる適正価格とは?

ビジネスをする上で避けて通れないのがお金の話です。

利益が出なければビジネスを継続していくことはできません。

ですが、日本人はお金の話が苦手で、起業の際に多く聞かれる悩みが価格設定です。

今回は、1万人以上の起業家を指導した実績のある、起業経営の専門家である坂本憲彦氏に、価格設定の考え方や方法について伺いました。

なぜ価格設定に悩むのか?

「そもそも値段の決め方が分からない」

「自分の提供するサービスにどれだけの価値があるか分からない」

「自分の能力に自信が持てなくて価格をあげられない」

「利益がなかなか上がらない」

 

起業したばかりの頃、多くの方がこのような悩みを抱えています。

会社から給料をもらうことは当たり前でも、起業をして直接お客様からお金をもらうとなるとマネーブロックがかかってしまうのです。

 

では、どうしたらそのマネーブロックを外すことができるのか、それは

『価格の根拠をはっきりさせる』

ということです。

 

例えば、医者と看護師の給料の相場は異なります。それは“自分の能力に自信があるかないか”といった不確かなものではなく、“資格の違い”という明確な根拠で説明することができます。

また、野菜は収穫量によって価格が変わります。去年に比べて今年の方が値上がりしても、それは収穫量の違いという根拠で説明ができます。

 

価格に自信が持てないのは、何となくの感覚で設定しているためなのです。

なぜこの価格設定なのか、自分もお客様も納得できる根拠があることでマネーブロックを外すことができます。

どのように根拠を明確にしていくのかは後半の5つのポイントの部分でお伝えしていきます。

 

 

そもそも定価は存在しない

価格設定を考えていくうえで、そもそもの価格の考え方について少しお伝えしていきます。

 

スーパーで買い物をしていると“定価”というものがあります。あって当たり前の生活になっていますが、実はそもそも定価というものは存在しないものでした。

 

昔は八百屋でも魚屋でもその場で値段を交渉をして購入するのが通常でした。つまりこの時はまだ定価と言う概念がありませんでした。

定価の考え方が広まったのは、アメリカからスーパーマーケットが入ってきたことによるという説があります。野菜も魚も肉もお酒もあらゆる種類の商品を一つのお店で売るという販売の新しい形態です。専門店と違いスーパーではそれぞれの商品で交渉することができないため、定価を決めてまとめて会計をするという方法ができたのです。

 

定価に縛られていると価格に悩む原因にもなるため、もともとは物の値段は決まっていないという前提で価格設定をすると、柔軟に考えられるようになります。

極端に言えば、売る時期やタイミング、売る相手によって価格を変えてもいいのです。

 

例えば、大手ブランドの1000万円の車と一般的な300万円の車、実質的な価値は大きく変わりません。では700万円の差はぼったくりということでしょうか?

そうではなく、1000万円の車を買う人は700万円でブランドという価値を買っているのです。では、ブランドとは何かと言うと、言わば“空気”です。私たちは目に見えない空気にお金を払っているのです。

 

空気にお金を払うということで言うと、CO2排出量が多いと罰金が課せられる制度があります。CO2は目に見えず正確に計測することが難しいものですが、車や工場の数などルールを決めて金額を付けています。これは最近できた新しい価格でこれまでなかったものです。

 

空気に値段をつける、新しいものにルールを決めて値段をつけるというように、こうやって考えてみると定価はあってないようなものということが納得できるのではないでしょうか。

 

 

価格は一つではない

定価という考え方からすると、一つのモノに値段は一つと思いがちです。ですが、一つのモノにおいても価格の見方は複数あります。

 

例えば不動産には一物四価と言って4つの価格があり、それぞれの用途によって使い分けられています。

①実際に市場で売買される取引価格の過去実績の平均的な金額で、いわゆる時価。

②国土交通省が土地を算定した価格

③国税庁が算定する相続税評価額

④固定資産税を徴税するために算定の基礎となる土地価格を評価した価格

このようにどんな視点で評価するかによって不動産価格が変わるのです。

 

自分のビジネスに置き変えても同じことが言えます。

原価から見る価格と市場から見た価格、売りやすい価格など、どのような視点から商品・サービスを見て価格を決めるかによって違いが出てきます。

 

価格設定の5つのポイント

マネーブロックをはずして価格設定をするには根拠を明確にすることが大切であることをお伝えしました。

“定価は存在しない”“モノの価格は一つではない”という前提も踏まえ、根拠を明確にする価格設定の5つのポイントをお伝えしていきます。

 

①原価から考える

原価とは商品やサービスを提供する際にかかる費用のことです。

販売価格から原価を引いたものが利益になるので、「原価がこれだけかかっているからこの費用です」という根拠になります。

 

原価には材料費や仕入れ費、人件費などビジネスによってさまざまな費用がありますが、今回はコンサルティングや講座など、自分自身がサービスになっている場合を考えてみます。

 

自分の労働力を売る場合は生活費が原価になります。利益が生活費を下回るとビジネス継続ができなくなるため、まずは自分の支出がどれくらいあるのかを把握します。

 

支出が把握できたらどれだけの収入が必要かを算出し、サービスの価格を設定します。

自分がサービスになっている場合の価格設定の方法として分かりやすいのは“自分の時給をいくらにするか”を考えることです。

 

例えば生活費が20万円/月かかるので20万円の売り上げが欲しいという原価から考えてみます。稼働時間8時間/日の5日/週、これで20万円を得ようとすると、時給は5000円になります。

 

これが原価から価格設定をする考え方ですが、時給5000円は高いと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

前項で、どのような視点から商品・サービスを見るかによって価格設定が変わることをお伝えしました。時給5000円は、原価から見ると適正価格になりますが、一般的な市場価格から見ると高い水準になりますね。この場合、どのようにビジネスとして進めていくかと言うと、これだけの金額を払える大企業のお客様を見つけるか、値段に見合う高い価値を提供するという方法が考えられます。

 

 

②市場から考える

市場から考えるとは、今実際に販売されている値段から考えるということです。

「市場がこれくらいだからこの価格です」という方法は、マネーブロックがかかりにくい、ハードルの低い価格設定の方法かもしれません。

 

市場から価格を見る場合は、競合をリサーチして相場感を把握します。

競合他社がどのような商品・サービスをどれくらいの価格でやっているのかを調べます。価格帯はピンからキリまであるので、5~10社は見ておきたいところです。

 

リサーチができたら安いものから高いものまで全部を並べてみます。

単価でお客様の層が変わるので、自分が提供するサービスはどのあたりに位置するのか、また位置させたいのかを考えます。価格が高ければ大きな企業や実績のある起業家、価格が安ければ個人事業主などの小規模な事業者がターゲット層になります。

 

起業したての頃は、自分が提供したいポジションが明確になっていて、本来ほしい金額があったとしても、その値段を付けられないというマネーブロックがあります。それは「経験がないからお金をもらうのが申し訳ない」「能力に自信がない」という経験値の部分です。

この場合はスタート時の価格は安く設定する方法があります。はじめは“モニター価格”として低い価格から始め、ある程度の経験を経てから価格を上げていけばよいのです。

 

マネーブロックをはずすために大切なことは“自分を納得させること”です。

能力に見合った金額をもらうということは価格設定の根拠になるので、経験を積むための期間は安く、その後は能力に合わせて価格を上げていくことは自然の流れになります。

 

③適切な価格帯を見極める

価格は一度決めたらそれで終わりではありません。実際に販売を始めた後もリサーチをしながら適正価格を見つけていきます。

 

利益を上げたい場合に考えるのは、“どの価格帯が一番収益が上がるか”ということです。

 

例えば、ある商品を1000円で販売したら10人が購入してくれました。

価格を安くして500円で販売してみたら、15人が購入してくれました。

1000円と500円はどちらが適正価格になるでしょうか?

 

一見すると、500円の方がたくさんの人に購入してもらえて良さそうな印象があります。ですが、売り上げを計算してみると1000円×10人=10000円と、500円×15人=7500円で1000円の方が売り上げが多いことになります。この場合、お客様は少ないですが、収益としては1000円の方が適正であると言えます。

 

つまり、適正価格の判断は商品やサービスの価格だけでは判断できません。顧客数とのバランスを見ることで、収益が上がる価格帯を見極めることができます。

 

ただし、目的が収益ではなく集客だった場合は話が変わります。

ビジネスのやり方として、フロントエンド商品(集客商品)とバックエンド商品(本命商品)を作る方法があります。まずは手ごろな集客商品を買ってもらい、価値を感じてもらってから、利益につながる本命商品を購入してもらう方法です

集客商品の目的は収益よりも、認知度を上げることです。より多くの人に購入してもらう必要があるため、先ほどの例で言うと、500円で販売した方が集客商品としては適正価格ということになります。

 

販売する商品が収益目的か、集客目的かをまずは明確にして、テストを繰り返しながら適正価格を見極めていきます。

 

 

④収入を増やすには単価を上げる

ここまで価格設定の方法、適正価格についてお話してきましたが、実際利益を上げていくことはなかなか大変なことです。

これまで多くの起業家さんの相談を受けてきましたが、収入が増えないという悩みもたくさん聞いてきました。そのような方たちにするアドバイスの一つは“単価を上げる”ことです。

 

相談を受けた生徒さんで料理教室の先生をしている方がいました。半年のレッスンで5万円の商品を販売していましたが思うように収入が増えず、生活をしていくことが大変という状況で相談を受けました。そこで5万円で販売している商品を10万円にすることを提案しました。

その結果、値上げをしてもきちんと生徒さんは来てくれ、売り上げは好調に伸びていきました。

 

高額にすると生徒が減ってしまうのではないかと心配にもなってしまいますが、結果的に生徒が減らなかったということは、これまで10万円の価値があるものを5万円という安価な値段でやっていたということなんですね。

先ほどお伝えした“適正価格を見極める”ということです。

 

特に個人事業主の場合は顧客数を増やすことに限界があり、時間にも限りがあります。

『時間×単価×顧客数=収入』になので、収入を上げるのであれば単価を上げる必要があるということです。

 

ただし、注意しておきたいことがあります。今回例に挙げた料理教室の先生に関しては、生活が大変な状況ということで価格を上げることを提案しましたが、何でもかんでも単価を上げることをオススメしているわけではありません。

 

ただ単に「月収100万円欲しい」「たくさん儲けたい」と言う理由であれば価格を上げることをオススメはしません。お金を得る目的が不明確であるため、儲けただけ使ってしまって手元には残らず、ビジネスの目的も見失ってしまうのです。

 

考え方の基本は、支出を把握して本当に必要な金額を考えることです。

必要な収入と目的を明確にすることで売り上げの目標が決まり、自分という商品の適正価格がみえてきます。

 

会社を大きくすれば成功、たくさん儲かれば成功と言うことではありませんので、現状で売り上げが十分にあるのであれば必ずしも高額商品を作る必要はありません。

収入を増やすことばかりにとらわれると、ビジネスの目的、人生の目的を見失ってしまうので、注意が必要です。

 

⑤高額が悪いわけではない

自分の必要な収入から価格を考えたり、単価を上げて収入を増やすことを考えると、高額の価格設定になる方もいらっしゃると思います。

出来上がった価格表を見て、躊躇してしまう方もいるかもしれません。

それは、世間一般のお金に関する風潮として、高額のものは悪で、低額のものが善という感覚があるからだと思います。

ですが、高額だから満足度が下がり、安価だから満足してもらえるというわけではありません。

 

講座を例に挙げると、同じような内容の講座でも、50万円で売っている所もあれば、5万円、5000円で売っている所もあります。安いに越したことはないと思われますが、高価なものを選ぶ人がいるのはどうしてでしょうか?

高くても売り方や見せ方、集客の仕方を工夫し、上手くブランディングをすることで、選ばれる商品になります。“この人から買いたい”と思うのです。

 

あなたが提供する商品やサービスに価値があるとお客様が判断すれば、高額でも購入してもらえます。

先程料理教室の例をお伝えしました。同じ内容のレッスンを5万円から10万円に値上げをしても集客ができ、満足度の高いものを提供できていることからも分かるように、高額が必ずしも悪というわけではありません。

 

そして、高いお金を払って購入してくれる人は、きちんと商品の良さを理解し、共感してくれている人ですので実は満足度も高くなります。一方で安く手に入れられるとなると、きちんと理解しないままに購入をしている場合もあり、クレームに繋がり満足度も下がる傾向があります。

 

ですからここまでお伝えしてきた価格設定の方法で高額商品になったとしても、根拠をもって提供できるものであれば躊躇する必要はありません。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は自分のビジネスに適正価格をつける方法をお伝えしました。

 

“そもそも定価は存在しない”“見方によって複数の価格が存在する” といった前提が分かると価格のつけ方に対する視野が広がったのではないでしょうか?

自分の収支から考えたり、どんな人をターゲットにしたいのかを考えたり、さまざまな観点があるため、自分のビジネスにあった視点から価格を考えてみてください。

 

価格設定の5つのポイントは

①原価から考える

②市場から考える

③適切な価格帯を見極める

④収入を増やすには単価を上げる

⑤高額が悪いわけではない

です。

 

この5つのポイントを押さえることで値段の根拠を説明できるようになります。そしていままでかかっていたマネーブロックがはずれ適正価格でお客様に商品・サービスを提供できるようになります。

 

価格設定で大切なことは自分とお客様を納得させられるかどうかです。

まずは自分の支出を把握し、今回お伝えしたことを実践してみてください。

 

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お金に関する知識をゲームを通して学ぶことができます。文章で勉強するよりも実際にゲームをすることで体感できるため、より実践に繋がる学びができます。

参加した方からは、「自分の生活を見直し、支出を減らしたくなった」という声もいただいています。

ぜひマネーリテラシーを高める一つのツールとしてご活用ください!

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