飲食店開業時の創業融資はいくら借りる? 自己資金があっても借りるべき?
この記事ではラーメン屋やカフェなどの飲食店を開業する場合の融資に関して以下のことをまとめています。
- 創業融資はどれくらい借りるべき?
- 自己資金があってもお金を借りたほうがいい理由
- 元銀行員が語るこんな人には貸したい・貸したくない
- 店をつぶさない経営者の借りたお金の使い方
これから融資を受けて起業したい、開業したいと考えている人であれば、飲食店以外の業態であっても参考になると思います。
自己資金があっても融資を受けたほうがいい理由
「自己資金で開業資金をまかなえるから、起業するときに借金は不要」
あるいは
「全部はまかなえないにしてもほとんど自己資金で創業できるから、お金を借りるとしても少しだけ借りよう。」
などと思っていませんか?
ですが、創業融資が受けられるのであれば、受けておくのがベターです。
もちろんケースバイケースではありますが、創業時には借りられるなら借りられるだけ借りることをお勧めします。
理由は次の2つです。
- 現金は余裕をもって手元に置いておくことが倒産リスクを軽減させる
- 1日でも事業が始まった途端、お金は借りにくくなる
それぞれ重要な話ですので、深掘りしていきましょう。
現金不足で倒産が半数……黒字でも倒産する現実
現金は余裕をもって手元においておくのがベターです。
というのも、飲食店の約半分が黒字倒産、つまり現金不足で倒産しているからです。こちらの記事でも触れたとおり、商工会議所のデータからそう言えます。
赤字であっても、仕入れ先や銀行への返済など外部に対してお金が払えれば倒産にはなりません。
ですが、逆に帳簿上はいくら黒字でも、手元に現金があるとは限らないのがビジネスです。
売上が立って利益は出るけれども、実際に入ってくるお金は再来月。でも、支払いは今月。
といったように入ってくるお金と、出ていくお金のタイミングがずれることはよくあります。
なので、手元にお金がなく、支払いができずに倒産の憂き目に遭う、なんてことが起こるわけです。
その数がなんと飲食店に関しては半数近くもあるというのが現実です。
事業資金は突然必要になることも
支払いのタイミングに気をつけていたとしても、
- 見通しがあまく思ったより利益が出ない
- 設備が急に壊れてまとまったお金が必要になった
- 不測の事態で事業を取り巻く環境が悪くなった(コロナ禍など)
など、計画どおりにいかなくなることもあります。
もちろん、リスクを挙げだしたらキリがありませんから完璧は無理です。
ですが、手元にある程度のお金を持っておくことで、倒産のリスクを確実に減らせます。
創業融資と事業資金の融資は大違い
1日でも営業を始めてしまうと事業融資になり、事業の実績によって融資を判断されます。
一方、創業時は実績を見られることはありません。まだ事業が始まっていないので当然ですね。
自己資金の額や事業内容、計画……といった実績以外のことから融資の可否を判断されます。
事業融資よりも創業融資のほうが融資は受けやすいと考えて構いません。
開業後にお金が必要になっても借りられるとは限らない
もう1つ重要なのがお金は必要になったときに借りられるとは限らないということです。
開業した後に急にお金が必要になった場合は、たいていは経営危機の状態でしょう。
そうなってしまうと、貸す側にとってみれば貸し倒れのリスクが大きくなりますから、借りにくくなるのは当然といえば当然なわけです。
なので、前もって創業の段階でお金は借りておかないと後からでは遅い、ということになりかねせん。
当然、高金利の借金は首を絞めるだけですから、公庫(日本政策金融公庫)の新創業融資制度といった低金利の借金というのが前提です。
「借金=危ない」
「借金=良くないもの」
「借金=できるだけしないほうがいいもの」
という先入観を持っている人が多いものですが、借金にも種類があり、借りないことでもっと大きなリスクにさらされることもあるということです。
創業融資は借りられるだけ借りる
では、創業時にお金を借りるとして、いくら借りるのがいいのでしょうか?
結論からいうと、創業融資は借りられるだけ借りてください。
先ほどもお伝えしたとおり、起業する最初が最も借りやすいタイミングですから、借りられるときに借りておくのがベターです。
といっても、飲食店を開業しようと思って公庫の新創業融資制度を使う場合、1000万円くらいが限度だと思います。
繰り返しになりますが、当然ながら公庫のような低い金利の借金が前提ですので、ここは確実に押さえてください。
金利がどのくらいなのかは銀行のサイトなどを見ておくといいでしょう。公庫などが明らかに低金利だということが分かると思います。
借りたお金は使わない
融資を受けた後、重要なのは借りたお金はできるだけ使わないようにすることです。
借金しておいて使わないの? と思うかもしれませんが、手元に資金をある程度おくことが重要になります。
手元にお金がないために黒字なのに当選している飲食店が半分もあるということは先ほどお伝えしたとおりです。
できるだけ借りたお金に手を付けないようにするためには、事業資金と融資のお金は別の銀行口座をつくって管理しておくのがお勧めです。
同じ口座だといちいち整理するのも大変になり、気づいたらお金がなくなっているということがよくあります。
融資の返済用の銀行口座に借りたお金を入れておいて、毎月落ちるだけにしておきます。
もし、どうしても借りたお金を使う必要が出てきた場合には、何にどう使うか意図を持って使ってください。
そうしないと、いつの間にか借りたお金がなくなっている……ということになりかねません。
こうした資金管理をないがしろにしたために、倒産した経営者や経営危機に落ちきってしまう経営者は本当に多いですし、実際に何人も見ています。
銀行が融資をしたい人、したくない人の違い
金融機関から融資を受けるにあたっては、どんな事業をどんな計画で進めるのかといった面も重要ですが、経営者がどんな人なのかも大きな要素です。
お金を貸す側としては、お金の管理をしっかりしている人に貸したくなるものです。
例えば、以下のような点が挙げられます。
- 借金を焦げ付かせた経験がない
- 通帳をきれいにしておく
- 不要なクレジットカードは解約
- 少額でも引き落としされなかったはNG
- 借金をしていてもちゃんと返していればOK、むしろ高評価
- 起業前から計画的に貯蓄をしている
事業開始後もこんな人はお金を借りやすくなる
事業が始まってからは帳簿をちゃんとつけているかが重要です。
そもそも融資以前の問題として、毎月の収支を計算できていないと、お金の流れが分からず危険です。
定期的に締めて資金管理をしてください。
飲食店経営なら日次決算をして毎日の収支を計算します。
1円単位でしっかりと把握する必要はなく、だいたいで構いません。常にお店の状況を頭に入れておくことが重要です。
お店のお金がどんな状態でどう動いているのかを把握できているような人であれば、お金をうまく使えます。
経営はもちろん融資を受ける場合にも有利になります。
まとめ
以上、飲食店を創業する際の融資についてまとめてました。
ポイントは次の3つになります。
- 手元に現金を置くことは倒産リスクを減らす重要な要素
- 創業時はお金を借りやすいので、できるだけたくさん借りておく
- 資金管理を徹底する
飲食店、特にラーメン屋の開業に関してはこちらの記事も参考にしてみてください。
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また、今回の内容はこちらのYouTubeでも一部、話していますので、こちらも参考にしてみてください。