【第5回】坂本憲彦のラジオ起業塾「起業する人、教える人の資質」
毎週日曜朝9時半から、FM那覇で放送中の『坂本憲彦のラジオ起業塾』。起業家の専門家、坂本憲彦がはじめての起業で成功するために大切なポイントをお届け。沖縄で起業したい人を応援するラジオ番組です。
今回はまだ起業をしたことのない方や起業を夢見る学生さんに向け、起業についての様々なお話をして頂きます。起業をしたいけど何をしたらいいか分からない、起業する前に就職したほうがいいのか、起業に向いていない人はどうしたらいいのか、悪徳起業塾に騙されないようにする方法など将来に不安を抱え悩んでいる学生の方に向け坂本憲彦氏がメッセージを送ります。
▼こちらの音声は、下記の「FM那覇」のサイトよりお聴きいただけます。(※2019年2月3日放送)▼
http://www.fmnaha.jp/program/radio_kigyojuku/
悪徳起業塾の話
森川 立志財団の森川です。今日もラジオ起業塾が始まりました。坂本先生よろしくお願いいたします。
坂本 よろしくお願いします。
森川 今日もまたリスナーのみなさんの起業や副業のお役に立てるようなお話をさせて頂きたいんですけれども、その前に坂本先生は最近起業や副業について何か気付いたことや思ったことはありますか?
坂本 それが最近ちょっと腹立たしいことがありまして。僕は立志財団という活動の中で起業塾を運営させて頂いているんですけれども、うちではなくとある別の起業塾の嫌な話を聞いたんですよ。そこは主に学生向けに教えている起業塾なんですけど、消費者金融でお金を借りさせて起業塾に入会させているそうなんです。その話を聞いてすごく憤りを感じているんですよね。
森川 消費者金融でお金を借りさせる理由としては、学生さんじゃバイト代やお小遣いだけじゃ入会金を払えないからその不足分を無理やり用意させるということでしょうか?
坂本 そうです。その起業塾では入会時に約30万円の受講料を支払わなければならないそうなんですが、現金やクレジットで払えない人には消費者金融を紹介し、お金を借りさせてまで入会させるんだとか。僕からしてみたらありえないですけどね。
森川 他の起業塾やビジネススクールでそれくらい受講料がかかるところもあるので、金額自体にはそこまで問題ないと思うんですけど、お金を用意させる為に学生さんに消費者金融を利用させるっていうのは倫理道徳的にどうなのかなって思いますけどね。
坂本 主催者として最悪ですよね。自分たちの儲けしか考えてないですし、きっとピュアな学生を上手く言いくるめて騙しているんでしょう。起業のことなんか何も分かってないですよ。
森川 うちの起業塾に入って起業すれば消費者金融で借りたお金もすぐに返せるし、むしろ儲かるよみたいな感じで入会を勧めているのかもしれませんね。
坂本 まさにそんな感じらしいです。じゃあそんな大金を無理やり支払わせて何を教えるのかというと、ブログ書くとかなんとか、本やネットで調べたら出てくるような情報を教えているそうなんですよ。まあ教える内容は百歩譲って別にいいとしても、学生に消費者金融でお金を借りさせるっていう神経が分からないですね。もっと言えば学生がそういうところでお金を借りれるという日本の社会のシステムがおかしいですが。学生が消費者金融を頼らなければいけない正当な理由って何かあるのかなって考えても納得できる答えは出ないんですよ。
森川 難しい問題ですね。
坂本 僕は今の日本の社会において、学生が消費者金融に手を出さなければいけない正当な理由はないと思います。だけど法律では借りてもいいことになっていますし、それを悪用して借りさせている起業塾もあるのが現実です。でも仮にも起業を教える者が消費者金融を利用しろっていうのはありえないですよ。僕は10年以上起業家教育をしていますが、そんなことは一度も言ったことはありません。
森川 数多く起業塾はありますが、そのような悪質なところはほとんどないですよね。
坂本 普通にやっている起業塾さんもいっぱいあります。ただお金が一括で払えない方向けに分割やクレジット払いを勧めたりする場合もありますし、うちでもそのような支払い方法があります。でも払えないなら消費者金融で借りてまでお金を準備しろとは言わないですし、やっぱりまともな神経じゃないなって思いますね。
森川 これは大問題ですね。ちなみにそこの起業塾は主に学生さんをターゲットにされていると聞いたのですが、起業とはどういうものだと教えているんですかね。そのへんも何か聞かれてたりしますか?
坂本 『3~4ヵ月で月収100万稼げます!』みたいなことを言っているそうです。そんなことあるわけないじゃないですか。でも若いお兄ちゃんが起業コンサルみたいな感じで、自分はいくら稼げましたっていう嘘か本当か分からないような話をするそうです。それで自分みたいにチャンスを掴みたかったらお金を借りてでも入会して起業しろって言うわけですよ。多分講師の方も主催しているトップの人達に影響受けちゃってるんじゃないですかね。こういう人たちがいるから起業とか起業塾っていうと怪しい、危ないって思われてしまうんですかね。もう本当に迷惑な話です。
起業とは、自分がやりたいことをやる手段である
森川 学生の方で起業に憧れる方って多いと思うんですけど、坂本先生は学生さんに起業とはどういうものだと教えているのでしょうか?
坂本 起業というのは”自分がやりたいことをやる手段”だと伝えていますね。
森川 ”やりたいことをやる手段”とはどういうことでしょう?
坂本 自分がやりたいことがあって、それを形にしていくことが起業だと思います。ただ起業というのはあくまで手段の一つなので、やりたいことが起業しなくてもできるなら無理して起業しなくてもいいと思います。サラリーマンも素晴らしいお仕事だと思いますし、会社じゃないとできない仕事もたくさんありますからね。例えば自分が地球関係のビジネスを何かしたいと思ったら、そういう関係の商社や石油関係の会社に行くのが手っ取り早いですよね。だから大事なのはまず自分が何をやりたいのかっていうことだと思います。
森川 例えば小さい子に何か教えたかったら学校の先生になる、街づくりをしたかったら公務員になるとか、やりたいことが起業しないでできるならわざわざ起業する必要はないということですね。
坂本 そうですね。必ずしも自分でゼロから立ち上げる必要はありません。ただその既存の枠組みの中で自分がやりたいことができないな、なにか違うなって思ったら”起業”という選択肢も考えてみてもいいのかなと思います。起業は就職と比べるとものすごくハードルが高いと思われがちですが、決してそんなことはなく、誰でも普通にできることなんだよと僕は学生さんに伝えています。だから学生さんには起業ありきで考えるのではなく、まず自分のやりたいことはあるのか、ないなら一緒に考えていこうとお伝えしていますね。
森川 坂本先生のところには学生さんも結構いらっしゃるんですか?
坂本 学生さんに教えるようになったのはここ2~3年くらいですね。大学生の方もたまに来ます。来て頂いた方に必ず言うことは、先ほども言ったように自分が何をやりたいのか、そこをちゃんと見定めてやっていくことが大事だと教えています。
森川 例えばなんですけど、高校生の方が学校を卒業され進学先を選ぶときに、何もしたいことがないから名前や知名度だけで大学を選ぶ場合がありますよね。それで大学に入った後に何かやりたいことを見つけようとしても、なかなか見つからなくて悩んでいる学生さんも多くいらっしゃると思います。坂本先生はもしそのように悩んでいる方がいたらどのようなアドバイスをされますか?
坂本 やりたいことは何だろうって考えてもいきなり答えを出すのは難しいですよね。こういう仕事に就きたいっていう気持ちが既にある人はいいですけど、そうじゃない人もたくさんいると思います。そういう方にはまずは抽象的でいいので、漠然としてていいのでこんな方向に行きたいなっていうのは決めたほうがいいとアドバイスしていますね。
森川 方向性を決めるということでしょうか?
坂本 そうですね。まずは抽象的でいいので夢を見つけること。今やりたいことが何もないと悩んでいる方は、そもそもどんな仕事があるのか知らないという方が多いんですよ。世の中にはこんなにもたくさんの仕事があるのに、それを知らないから何になりたいのか分からない。だからまずはどんな仕事が世の中にあるのかを知り、そこから抽象的でもいいのでやりたいことを見つける。例えば物を作る仕事がしたいとか、人を喜ばせる仕事がしたいとか、コンピューターに関わる仕事がしたいとか、抽象的でいいのである程度決めておく。そこから具体的に絞り込んでいくことが大事かなと思います。
過去を振り返って”自分史”をつくる
森川 なるほど。ではやりたいことを見つける、自分の方向性を考えるというときに、より見つけやすい、または考えやすくなる方法というのはあるのでしょうか?
坂本 自分の過去を振り返って”自分史”を作ってみるのがおすすめです。これまでの経験の中で、良かったことや悪かったことなど覚えていることを書き出して自分の年表を作ります。書き出されたこと=記憶に残っていることということになりますよね。記憶に残っている行動をした時っていうのは必ず感情が動いているんですよ。例えば森川さんは昨日の晩御飯何を食べたか覚えていますか?
森川 昨日ですか。えっと・・・昨日はどこかの定食屋で何かを食べたような気がします(笑)
坂本 ほとんど覚えていないようですね。じゃあ3日前の晩御飯は何を食べましたか?と聞いても答えられないですよね。
森川 そうですね。パッと答えられません。
坂本 なぜ昨日や3日前のことなのにすぐに答えられないのかというと、そこで感情が動いていないからなんです。記憶に残っているということは感情が動いているということなので、すぐに思い出すことができるんですよ。だから10年前の出来事なんかでもすごく鮮明に覚えてたりするんですよね。この覚えていることを書き出して並べてみると、そこに共通しているテーマみたいなのが見えてくるので、自分のやりたいことや方向性も見つかりやすくなるということです。
森川 記憶に残っていることや心に留まっていることは共通項がある場合が多いということですね。
坂本 そうですね。例えば幼い頃からパソコンをいじるのが好きだったなとか、外で遊んで虫を採ったりするのが好きだだったなとか、全く違う出来事でも何か共通項ってあるはずなんですよね。
森川 坂本先生のお話を聞いてて思い出したことがあるんですけど、最近とある方とお話をしその時質問をさせて頂きました。その方は現在社会人で普通にお仕事をされている方なんですけど、「過去を振り返ってみて何か楽しかった思い出はありますか?」と聞いたら「高校時代のバイトで接客していたことがとても楽しかった」と答えました。ということは、その方は接客のバイトをしてとても感情が動いたから今でもそのことが心に残っているということですよね。このように昔のことを振り返って何が楽しかったのか考えてみると、自分が何が好きでどんな仕事がしたいのかということが見えてくるので、自分史を書き出していくのがおすすめな方法ということですね。
坂本 そうですね。自分が心を動かされたものは何かを知ることがとても大事です。それをヒントにしてやりたいことを見つけていく、そこから実現できそうな分野に進んでいけばいいと思います。
森川 お話をまとめると、やりたいことを見つけ、それを形にしていくための一つの選択肢が”起業”だから、絶対に起業しなくてもいいということですよね。
坂本 起業する必要がなければしなくていいんです。ただ早くから起業してよかったと思う部分もあるので、すぐに始めたいという方を止めたりはしません。僕の場合30歳で会社を辞めて起業したんですけど、色んな起業家の人の話を聞いていると20代で起業したとか、大学在学中に起業したとか、早くから始めた人がたくさんいるんですよね。だからそういう話を聞くと自分は負けてるなって思いますし(笑)もっと早くからやってればと思うこともあります。だけどその反対で、会社で働いた経験もすごく大事で今でもその経験が役に立っています。僕は起業する前は銀行で働いていたんですけど、その経験があるからビジネスマナーやお金の知識が身に付きましたし、先ほどいった消費者金融の恐ろしさもよく分かるんですよ。ちなみに銀行員として働いているとき、カードローンの取り立てとかもやっていたんですけど、1年目とか2年目でやらされるんですよね。
森川 1~2年目でカードローンの取り立てなんて厳しい仕事ですね。
坂本 厳しくはないですよ。ただ延滞している人に連絡するだけなので。入金されてないですよって連絡して、2回延滞になったら別の会社に投げちゃうのでめちゃくちゃ簡単です。僕が最初やっていたのはそういう仕事だったんですけど、カードローンって例えば50万の枠がありますよね。50万の枠を持っていたら50万円使えるっていうことなんですけど、50万の枠を持っている人で50万使ってない人ってほぼいないんですよ。枠持ってたらゼロか50かどっちかに偏っているので、10万とか20万だけ使っている人はすごい珍しいんですよね。
森川 そういうものなんですね。でもお話を伺ってるとなんとなくその意味が分かります。
坂本 いくら借りても毎月の返済額が1万円なので、どんどん借りてしまう。1回借りるとクセになって、最終的には枠いっぱいまで使ってしまうんですよ。このように資金管理ができない人って世の中にはたくさんいるんですけど、ハッキリ言ってそういう人は起業家に向いてないですね。自分のコントロールもできない、飲み代とか遊び代とかよく分からないことでお金を使ってなくなってしまう人は、起業しないほうがいいと思います。
お金を管理できない人は起業に向かない
森川 金銭感覚がちゃんとしてない人は、起業塾に入っても成功する確率が低いのでしょうか?
坂本 絶対に成功しないというわけではありませんが、一時的に稼げても資金管理で必ずダメになりますね。僕はそういう人をたくさん見てきましたから。お金の管理ができないのに起業するのはすごくリスクなんです。例えば最初にもお話しましたが、消費者金融でお金を借りて起業塾に入塾する人がいると言いましたよね。借りさせる方もおかしいですが、借りる方もだめですよ。だってお金を借りて入塾するくらいならその分貯めてからちゃんと入った方がいいじゃないですか。消費者金融に借りたら金利18%を余計に支払わないといけないんですから。そういうお金の管理、知識がない人はその時点で起業に向いていないんですよ。だからそういう人はまず会社で働いてみるのがいいのかなと思います。お金のことも学べますし、大手企業だと最初の社員教育をしっかりやってくれますからね。いわゆる一般常識とかビジネスマナーをちゃんと教えてくれます。だからお金の管理ができない人は、勉強、または就職して自分でお金をコントロールできるようにしてから起業するのがいいと思いますよ。
森川 起業するにはお金の管理をちゃんとできるようにしてからということですね。あとはやりたいことを実現するために起業すべきなのかしなくてもいいのか、よく考えてから起業しないと成功しないのかなと思いました。
坂本 そうですね。あと若い時とかはただお金を稼ぎたいという理由で起業してもいいんですよ。僕も最初そういう動機で始めましたし。でもお金を稼ぐ為に消費者金融で借りちゃだめだよねっていうことです。お金を本当に稼ぎたいんだったらちゃんと勉強しましょうよ。お金をどう増やしてどう管理してどう回していくのか、これを理解していない起業家の方がすごく多いなと思いますね。
森川 ありがとうございます。今回は消費者金融について、また起業塾の在り方についてお話させて頂きました。今回の内容がリスナーのみなさんの起業とか人生のお役に立てたらすごくうれしいと思います。また次回よろしくお願いいたします。坂本先生ありがとうございました。
坂本 ありがとうございました。
次回:【第6回】坂本憲彦のラジオ起業塾「必要なのは”伝える力”商品を売るための2つのポイント」
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番組概要
番組タイトル |
沖縄で起業したい人を応援します「坂本憲彦のラジオ起業塾」 |
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ナビゲーター | 坂本憲彦 |
オンエア | 毎週日曜 09:30~09:56 |
コンセプト | 起業家育成の専門家、坂本憲彦がはじめての起業で成功する為に大切なポイントをお届けします。 |
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