第21回 会社を辞めたいときに注意する3つのポイント

いつか起業を考えているけど、何から始めていいか分からない・・・
そう悩んでいる方へ。

起業家教育の専門家である坂本憲彦が、はじめての起業で成功するポイントを解説します。

今回は、「会社を辞めたいときに注意する3つのポイント」について、お届けしていきます。

「第21回 会社を辞めたいときに注意する3つのポイント」

2019年に入って、早くも3か月が経ちます。

気持ちも新たに、年度初めを迎える方も
多いのではないでしょうか?

新たな気持ちになると、
新しいことにチャレンジしたくなります。

新しいこと、というと、
今の職場から卒業することもまた、
新しいチャレンジになります。

会社を卒業するときに、
注意をしないと、仇になることがあったりします。

転職が、当たり前になった今だからこそ、
気を付けなければならないことがあります。

それは、
転職ジプシーにならないようにすることです。

転職ジプシーとは、
辞めぐせが付いてしまうことです。

会社を辞めることは、
決して悪いことではありません。

ただ、そのときの動機や理由が、
健全でないものであったら、
その退職は失敗になってしまいます。

では、会社を辞める際、どんなことに
気を付けたらいいのでしょうか?

成功する卒業の仕方を、
3つのポイントを挙げて、
坂本憲彦先生が、紹介されています。

起業を考えている方も、
転職を考えている方も、
いずれでもない方も、
今後のビジネスライフに役立つ内容です。

ぜひ、お聴きください。

Podcastの音声はこちらよりご視聴ください

PodcastをiPhoneやアンドロイドから視聴する方法は、
こちらをご覧ください。

http://www.fmnaha.jp/program/radio_kigyojuku/

あなたは人生レベルで何をしたいのか

森川 今回は会社を辞めたい時に注意することについて、教えていただきたいと思います。

最近、本屋やインターネットなどで、転職や起業に関するものがいろいろとありますように、今の仕事や人生に疑問を持ってる方が少なからずいらっしゃるということをよく伺います。そこでそういった会社員の方に対して、会社を辞めたい時に注意するポイントやアドバイスをいただけないでしょうか。

坂本 会社を辞めたいという方は、私のところにもよく来られます。
うちは起業塾をメインでやっていますがやはりサラリーマンの方が多く、今の仕事を辞めて起業という選択肢を取りたいという方がおられます。

その時にどこを注意するかというのは、すごく大事なんですよね。勢い余って辞めてしまっても、それはそれで人生のチャレンジなのでいいと思います。しかし辞めて転職するなり、起業するにしても、何を注意しておかなくてはいけないかを今日はしっかりお伝え出来たらいいなと思っています。

3つお伝えしたいのですが、1つ目は仕事を辞めて次の仕事を選ぶ時に、目先の給料や報酬だけで選ばない方がいいということです。
もちろん生活水準の維持などもありますし、家庭環境やご家族、お子さんがいたりなど、いろいろあると思いますので一概に給料は低くてもいいとは言えませんが、やはり仕事を選ぶ基準というものをちゃんと持っていて欲しいと思います。

森川 選ぶ基準ですか。

坂本 その基準は何かというと究極の話として、人生レベルで自分は何をしたいのかを一度考えることを私はお勧めしています。

森川 人生レベルで何をしたいのか。

坂本 転職というのは、転職するとすぐまた辞めてしまうという人もいますが、やはり最低でも何年かはそこで勤めるでしょうしそれがキャリアにもなります。
その転職が、自分が本来やりたいことに近づいていく形になっていかないと、やはりまた「この仕事が嫌だ」「この職場が嫌だ」となってしまうのではないでしょうか。

人生レベルで、自分はどうなりたいのか、自分はどの専門家になっていきたいのか、経営者になっていきたいのか、それともいずれは独立して何かやっていきたいのか、ということを踏まえた上で、仕事を選んでいくことがとても大事です。

森川 なるほど、それが1つ目ということですね。

坂本 そうですね。まずは自分が人生レベルでどういうことをしたいのかをちゃんと考える、見つめ直すということです。別に具体的でなくてもいいと思います。将来こういうビジネスをやりたいとか、こういう仕事に就きたいとか、抽象的でもいいんです。

例えば、自分はやっぱり人を笑顔にしたいとか、人を感動させることをしていきたいとか、そういうものでもいいと思います。そこに繋がる仕事なのかをちゃんと考えていくことです。人が笑顔になれる仕事なのか、人を感動させられる仕事なのか、自分が大事にしている価値観に沿った仕事に繋がっているのかと考えることが、大事なのです。

森川 仕事を通して自己実現というのでしょうか、やりたいことが実現できるかという観点でまず考えないといけないということが、1つ目ですね。

坂本 そうですね。やはりその自己実現を短いスパンで考えるのではなく、10年、20年、30年というスパンでやりたいかどうかで考えられるとよいと思います。
短いスパンで考えていると、今流行っているからとか、この商売が流行っているからとか、そういう観点だけで選んでしまうので、流行ってはいるけれども自分はやりたくないとなり、結局しんどくなってくる可能性がすごく強いのです。やはり自分の軸に沿って選んでいくということがすごく大事ですね。

森川 今お話を伺って思ったのですが、最近Googleなどに翻訳機能が備わり、他にも翻訳機もたくさん出てきてて、同時通訳ができる機械もあるみたいですが、例えば英語が得意だから、今英語が流行っているからという判断だけで英語の先生や通訳を仕事にすると、機械に取って代わられてしまう世の中になった時に困ってしまいそうですね。

坂本 英語なら、翻訳できる機械は当然出てくるでしょう。しかし、単に英語を話せるだけではなく、例えばビジネスマン向けに英語で交渉ができるようにするなどのように、英語に対する他の付加価値を何か付けられないかを考えていきます。

森川 どちらかというと抽象度が少し高めなイメージがあって例えば英語だったら、文化の懸け橋になりたいとか、そういう感じのことで、今自分ができることや将来的にできそうなことなどを考えていくことが、先生がおっしゃっていた人生レベルで考えるということなのかなと、お話を聞いてイメージしていました。

坂本 1回抽象的に考えて、その上で具体的にどういうことをしていきたいかと考えれば、ブレがなくなります。

そもそも自分が何を大事にしてるのかですね。例えば喜ぶことを大事にしてるのか、人が感動することを重視してるのか、単純に自分が儲かることを一番重視してるのか、などのように自分が一番何を大事にしてるのかっていうことです。そこを明確にしたいですね。

自分の強みは何か。それが活かせる場所はどこか。

森川 会社を辞めたい時に注意をすることの2つ目はいかがでしょうか。

坂本 2つ目は、自分の強みをちゃんと活かすということです。
転職でもそうですが、辞める時、辞めたいと思った時に、今の職場で自分の強みが活かせていないのなら、それはすごくもったいないなと思います。
転職なり起業する時には、自分自身が何が強くて何が得意なのかをしっかり知って、自分の強みが活きる職場や仕事を選んでいくということが、すごく大事です。

まだ新入社員で入った頃は、あまり自分の強みや得意というものが、もしかしたらわからないかもしれないですが、仕事して5年とか10年経つと、得意な部分と苦手な部分が見えてくると思うんですよね。得意なところに集中していって、それが活きる仕事を選ぶということがやはり大事です。

森川 自分の強みを発見する方法について伺いたいのですが、こういうことで自分の強みがわかる、自分の強みを自分で知ることができる、という例はありますか。

坂本 自分の強みは、もしかしたら自分では気づいてない可能性がありますね。
大事なのは、自分にとってはすごく簡単なんだけど、人がすごく喜んでくれることは何かということです。

森川 周りの人が結構苦労しているのを見て、何でこんな簡単なことにあんなに苦労しているんだろうと感じるようなことですね。

坂本 そうですね。なぜ周りの人たちはこんな簡単なことができないんだろうというところが、実は自分の強みだったりします。
あまり努力していないけど、なぜか最初から出来てしまう、というものですね。
ちなみに森川さんはそういうものはありますか?

森川 あえて挙げると、文章を書くということがそれにあてはまるかなと感じることはあります。

坂本 それって自分では気づきにくいですよね。

森川 そうですね。

坂本 おそらく、文章を書くことは、森川さんにとってはすごく普通のことなのではないかと思います。

森川 実はそうなんです。

坂本 もちろん悩むこともあるでしょうけれども、でも文章というものは書けない人は全く書けないのです。

森川 そうですね。ですから、どうしてそんなに書けるの?と言われても、その質問をする意味が最初はわからなかったんです。書きゃいいじゃん!みたいな感じだったんです。

坂本 文章を書くことで人に喜ばれているということは、そこは森川さんの独自性、生まれ持った才能の部分なので、そこが活きる仕事をしていくということが大事です。

森川 そうですね。それなら自分が苦にならないですから、すごくいいですね。

坂本 そこがすごく大事です。特にサラリーマンをしていると、何でもできないといけないとか、苦手なことを克服していかないといけないと思いがちなんですよね。会社の業務に合わせてしまいますから。

森川 そうですね、基準がそこにありますね。

坂本 でも、次にもし何かを選ぶ時は、やはり自分の強いところを一番活かせるところ、苦手なことはやらなくてもいいような環境を作って行くということが、すごく大事ですね。

現実的にお金のことをしっかり考える

森川 では、会社を辞めたい時に注意をすることの3つ目はいかがでしょうか。

坂本 3つ目は、お金のことをしっかり考えるということです。
会社を辞めたい時に、今後の生活費などをどう確保していくかです。
自分の生活の収入がいくらで支出がいくらというキャッシュフローや、貯金とか預金がどのくらいあるのか、このようなお金のことをちゃんと現実的に考えた上で、さきほどお話した強みが活きる仕事がいいですね。

単に何か嫌だからやめようとか、つらいからやめようという目先の理由ではなく、そこは一旦ちょっと落ち着いて考えていただいて、10年後、20年後、できたら30年後くらいまで踏まえて、理想像につながる仕事というものをきちんと選びつつ、お金も計算しながら考えていくということです。

もし10年後、20年後の将来図を実現できるのなら、一時的に収入が落ちても受け入れられるという所をちゃんと計算します。数字でちゃんと把握するということです。給料が下がることで、生活水準をどこまで落としていいかをちゃんと知ることは、すごく大事です。

そこを知らずにやってしまうと後で後悔してしまうこともあるので、きちんとコントロールして行くことです。
例えば、「給料が月3万違うからこっちにしよう」というような単純な理由だけでやっていると、後で後悔する可能性はとても大きいですね。
仕事って、お給料はもちろんですが、働き甲斐ややりがい、自分のキャリアになるのかということですね。若いうちは「何でもやります!」でいいのですが、年齢を重ねてくると勝負になるのは実績です。何をやってきたかが問われてきますから。
そこをちゃんと積める仕事かどうかということは、すごく大事かなと思います。

森川 一般的に、例えば会社を辞めたい時に相談をすると、転職先は会社を選びなさいとか、起業はやめましょうというような回答がインターネット上では多いように感じますが、坂本先生はもっと前提条件を考えることを勧められてるようですね。

坂本 もちろんどういう会社が良いかなど会社の研究をすることも大事です。それ以上に大事なのは、自分がそもそもどうなりたいのかです。そこがわからないと、選びようがありません。選ぶ基準が、目先の給料の良さや福利厚生の良さなどだけになってしまいます。

給料は確かに良いけれども、結局はやりたい仕事があまりできないとか、次のキャリアにあまり繋がらないということになってしまいます。目先の給料ももちろん大事ですけれども、最低でも10年後にどうなりたいかをちゃんと考えた上で選ばないといけません。

転職を1回するというのは、かなりのエネルギーが必要です。それを、「はい、辞めました」というふうにすぐ変えられるかというと、なかなか変えられないわけです。
ですから面接用の自己PRのためではなく、本当に自分が何をしたいのか、どうなりたいかを考えた上で、この条件に適した企業をこちらから選んでいくというように考えた方が良いと思います。
きちんと深堀して自分のやりたいことが明確になっていると、例えば面接でその部分についての質問ができるので、実は面接が通りやすくなるんじゃないかなと私は思うんです。

森川 そうだと思います。世の中には転職活動の面接必勝法みたいなものがありますが、本当の意味での必勝法というのは、自分で腑に落ちるところまで落とし込むことで血が通った質問をすることかもしれませんね。

転職は自分の大事な時間と命を使う場選び

坂本 そうですね。転職するということはその会社の奴隷になるわけではありません。
ですから、会社に選ばれるのではなく、自分が主体的に選ぶという意識を持つことができるかどうかですね。
自分の大事な時間、命です。その会社に自分の命を売ってあげるわけですから、売るに値する会社なのかをちゃんと吟味しないといけません。

そのためには、売り物である自分はいったい何なのか、どういう方向に向かってどういう価値を会社に提供できるのか、そういうことをしっかり知った上で、売らないといけません。自分の商品のことを何もわからないのに営業しても、これでは売れないですよね。

森川 そうですね。

坂本 そこを知った上できちんと会社も選んでいくことです。単純に給料だけで選んでしまうと、あまりいいことはないかなと思います。

森川 今回は、会社を辞めたい時に注意することとして3つのポイントを教えていただきました。坂本先生、今回もありがとうございました。

坂本 ありがとうございました。