起業アイディアがないけど起業するためには?
毎週日曜朝9時半から、FM那覇で放送中の『坂本憲彦のラジオ経営塾』。起業家の専門家、坂本憲彦がはじめての起業で成功するために大切なポイントをお届け。沖縄で起業したい人を応援するラジオ番組です。
今回は「起業アイディアがないけど起業するためには?」というお便りについて坂本憲彦氏に答えて頂きます。についてお伝えしています。
動画は、下記のYouTubeよりご覧いただけます。
起業アイディアがないけど起業したい!
森川:今回も坂本先生に答えていただきたい質問がります。起業のアイディアがないという悩みを持っている方が多いんですけれども、今回まさに起業アイディアがないけど起業したいという想いを持たれている方がどうしたらいいんでしょうかというご質問をいただいておりますので、よろしくお願いします。アイディアがない方って少なからずいると思いますが、起業で成功している方っていうのは、どうやってアイディアを生み出しているんでしょうか。
坂本:起業アイディアがないっていう悩みって結構多いと思うんですね。私も最初は「なに」で起業をすればよいのか全く分からなかったです。私は父親もサラリーマンだったので。そもそも親の商売引き継ぐとかもなかったです。まず何屋さんをやればいいのかわからなかったっていうところですね。私のところにそういう方が来ることが多いです。「なんかやりたいんだけど何していいかわからない」っていう方ですね。なので、今日は起業で成功している人はどうやってアイディアを生み出しているのかをお話していきたいなと思います。
起業のアイディアを出すときに大事になってくるのが、アイディアって何をするのかっていうところですね。アイディアっていきなりその画期的なアイディアが必要とは限らないっていうところですね。皆さんアイディアっていうのは奇抜なことをいきなりやらなければいけないんじゃないか、すごい特殊な発明品を出さなきゃいけないと思う方多いんですけど、実は企業ってそういう特殊なアイディアばかりがないとできないわけではないです。
森川:私なんかもイメージとして、起業のアイディアがないっておっしゃっている方の半分くらいはほんとに何も思いつかないって方いると思うんですけど、あとの半分は思いつくことはあるけれどももうすでにだれかやってるとか、ビジネスにほんとになるのかなとかの半信半疑になっていて、画期的なアイディアが必要になるんじゃないかと思っている方が多いと思うんですけど、先生は必ずしも画期的なアイディアが必要とは限りませんよというということですね。
組み合わせで新しい起業アイディアを作る
坂本:起業のアイディアって新しい画期的なことをやる人もいるんですが、そうじゃなくて既存のものを組み合わせてやる人も多いですね。新しい組み合わせを作るっていうのがビジネスのひとつのアイディアかなと思います。自分の強みを組み合わせたりですね。これはカウンセラーをやっている方なんですけれども、その人はカウンセリングを主でやっている方でして、その方も最初は独立してやっていたんだけれどもお客さまがなかなか来ないという悩みがあったんです。
彼はどこにターゲットを絞ろうかってなったときに、自分自身があがり症で悩んでいたので、あがり症を克服するカリキュラムを作りたいと思ったんですね。彼が組み合わせたものがカウンセラーという資格と、スピーチの勉強会に参加していましてスピーチ力を磨いていたので、あがり症の方にスピーチのトレーニングを教えることで克服していくというかたちですね。そういうかたちで心理カウンセリングとスピーチという違うものを組み合わせることであがり症を克服するプログラムを作ったというような感じですね。自分の中の違うものを組み合わせていくっていうのがひとつのアイディアとしてあるかなと思います。
森川:今のお話だと、一つ一つを単体で見るとありふれているものだなと思うんですが、それを掛け合わせると今までになかった独自なジャンルが生み出されるということですね。あるものとあるものの組み合わせ方っていうのは、ゼロから何かを生み出すよりも今までかけ合わさっていなかったものを掛け合わせたことによって新しい価値が生まれるという認識ですね。
坂本:新しい掛け合わせってすごくビジネスになりやすかったりするので、今までにない新しい組み合わせが自分の中で出来ないか、自分の中で苦手だったものと得意なものがあったらそれを組み合わせることですね。わかりやすい例ですとAppleですね。MacとかiPhoneとかありますけど、Macにあるフォントって使いますよね。WordとかExcelとか。あと、PowerPoint使っていると文字の書体を変えたりとかすると思うんですけど、あれも文字の書体をきれいな書体とか見栄えのいい書体を入れるっていうのは、スティーブ・ジョブズが初めてやったんですね。
それまでパソコンっていうのはデジタルな表示だったので、書体の美しさとかを問うものではなかったんですね。でも、それはスティーブ・ジョブズが美しいパソコンを作りたいと思って、書体・フォント機能を入れたんですね。なので、PowerPointの資料とかWordとかでチラシとかを作ったりする人いると思うんですけど、パソコンに美しい書体が入っているのはスティーブ・ジョブズのおかげなんですね。スティーブ・ジョブズが大学を中退したときに、大学の授業が面白くなくて自分の好きな授業を受けたいってなったときに、カリグラフィーっていう書体の授業があって、それを面白く勉強していたっていうのがもとになっているんですね。それでいざ自分が起業してパソコン作っていって機能が搭載されるってなったときに、美しい書体を入れようってなったんですね。
スティーブ・ジョブズが大学のときにカリグラフィーの授業受けてなかったら、私たちが使っているパソコンが美しく表示されることがなかったんですね。そういう意外な組み合わせ、パソコンにデザインを組み合わせたのでこれだけ世界中の人が利用している、新しい価値を生み出したので利用していると。ただ、機能としては別にWindowsだろうがMacだろうが同じことが出来ますので変わらないんだけどもっていうところですね。
自分の起業アイディアを守る
森川:スティーブ・ジョブズっていう名前を聞くとビックネームなのですごそうなイメージがあるのですが、経緯を知ると日常の当たり障りのないところにヒントってたくさんあって、新しい価値を生み出すのかなっていう印象になりました。アイディアってたくさんあると思うんですけれども、自分が思いついたこととかが何かに似てるなとかパクったと思われそうだなとかを心配される方って出てくるのかなって思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
坂本:自分がアイディアをパクる場合、真似しちゃう場合ですかね。
森川:とかもありますし、かけ合わせて自分では斬新と思ったことでも調べてみたら他の誰かがやっていた場合ってこういうふうにしたらいいとかあるんでしょうか。
坂本:調べてもうあった場合はどうしようもないのでできないのですが、自分のアイディアとかはなるべく守りたいとかはあると思います。例えば言葉であれば商標権をとるとかですね。「®(マルアール)」ってついているやつですね。弁理士さんにお願いするととれますので新しい言葉であればとるっていうのは大事ですね。デザインとかでも商標とれたりしますから、デザインやロゴはとってたりしておくとかは自分の権利を守るということではすごくあるかなと思いますね。
森川:自分のアイディアを守ったりとか、誰かの守ったアイディアにふれてはいけないっていうルールの問題ですね。一方で学ぶは真似るみたいな言葉があって、どれだけうまくいっている人のことを真似ることが出来るかみたいな話を聞いたことがあるんですけど、起業のアイディアっていう観点でどのように考えたらいいとかってありますか。
坂本:アイディアを参考にすることもひとつの手だと思います。ルールはきちんと守らないといけないのでおすすめできる例じゃないです。例えば中国の上海にディズニーランドみたいなやつがあるとかですね。日本でも飲食のチェーン店で業態が流行るとそれを真似するってよくあるんですね。誰かがやってうまくいった業態を真似して取り入れるっていうのはリスクが少ないやり方かなと思います。最近だといきなりステーキが流行りましたが、類似の業態、立ち食いステーキの業態をほかの会社もけっこう出してきまして、いきなりステーキさんの業績がちょっと下がったっていうようなニュースもありましたね。そのような形で類似の業種を真似るのはあるのかなと思います。
専門特化することで新しい起業アイディアが生まれる
森川:今飲食店の例を挙げていただいたんですけれども、飲食店は多くのお客さんを見込めるメジャーな市場のイメージなんですけれども、一方で市場規模が大きいところよりもニッチを狙った方がいいとおっしゃる方もいらしたりしますよね。ニッチがいいとかメジャーがいいとかは、アイディアを考えた時にどっちがいいというのはありますか。
坂本:専門特化するのがいいと思います。みんなに売ろうとすると大変なのでターゲットも絞りますし、売り物も絞っていくのも大事ですね。居酒屋も最近だと総合居酒屋は流行らなくなってきていますよね。なんでもおいてる居酒屋さんっていうのが流行らなくなってきています。例えば鳥貴族さんは焼鳥専門店で客単価も安いとか、串カツ田中とかもそうですね。この料理だったらここっていうふうに専門特化している業態、ワタミさんのお店は業態転換してるんですね。
ミライザカっていうのと鳥メロっていうのに全部業態転換してまして、要は総合的になんでもありますよっていうのがうけなくなってきているんですね。だから、鳥貴族のように焼鳥専門店ですって謳った方がお客様の引きが強いという形ですね。価格帯も安い料理から高い料理までそろえるっていうのはお客様のニーズには合わないので、徹底的に安いものをそろえる店なのか、それとも高級食材のみを取り扱う店なのかっていう形で特化させて、分けるっていうのがスタートアップの段階では有効かなと思います。資金があまりない状態ですからいきなり全部提供しますは無理なので、そこをどれだけ絞れるのか、他社と差別化できるのが大事だと思いますね。
起業アイディアを見つける1番の方法
森川:実際に今アイディアがないってお悩みの方に今お話しいただいたものはヒントになることが多かったと思います。アイディアを見つけるための方法やアドバイスはあるんでしょうか。
坂本:アイディアを見つける方法としてまず一つは、自分が面白いと思うものは全部体験することですね。このイベント面白そうだなとか、流行りのお店や流行っているものを実際に買って見たりとか体験してみたりとか。例えば「○○の店が流行ってるよ」って聞いたら行ってみるんです。それで、なんでこの店が流行っているかを考えるんですね。味がいいのか、サービスがいいのか、人がどういうものに引き寄せられているのかを体験しなるべく体感したいですね。知識で覚えるのも大事なんですけれども、それ以上に体感したら絶対に忘れないので、なぜ流行っているのかを体感するのが大事ですね。
森川:イメージとしまして、いろいろなところに遊びに行っている人が体験や経験をインプットしているのかなと思いました。
坂本:遊びに行くのはすごく大事です。遊んで自分が面白いと思うことをいろいろやってみることがすごく大事で、自分が面白いと感じるからそれを人にも教えたいってなるし、自分のやつに取り入れられないかなって思うことが出来るので。
森川:取り入れた経験とかを趣味の域を超えてビジネスに昇華させないといけないと思うんですけれど、そうしたときにした方がいいこととかすすめられていることってありますか。
起業アイディアを見つけるときに大切なリサーチ
坂本:いろんな体験をしたりとかもそうなんですけれども、アイディアを見つけるときに大事になってくるのがリサーチですね。最初は飲食に興味があったら飲食でもいいですし、ITだったらITの分野っていうふうに漠然とでもいいので定めるとその業界の人がどういうことに困っているのか、そこを利用しているお客さんが何に困っているのかを見つけるっていうのはすごく大事な要素になってきますね。
森川:今坂本先生が言われたリサーチの目的っていうのは、業界の中で困っていることを見つけるということですね。
坂本:困りごと悩み事が何かっていうところですね。人が困っていることを解決してあげると、それはビジネスになる可能性がすごく大きいので、困りごとを解決するのがビジネスの基本になります。そこの業界やそこのお客様が困っていること何かないかなっていうことを探していくことですね。それで自分たちが解決できる手段はないかっていうところを探していくと、ビジネスのヒントっていうのはすごく出てくるかなと思います。
前に見た会社だと、東京の職場でお昼にご飯を買いに行く時間がないので会社の中におかずをおいておくというサービスがありました。レンジでチンできるおかずが会社に置かれてて、自由にとってお金入れるって感じですね。そうするとわざわざ下のコンビニ行く必要ないってなります。人が困っていることを解決してあげるとビジネスになる可能性が非常に高いので、それを探していくって感じですね。
森川:印象として、すごくリサーチしたりとか自分がいろいろなものを体験したりとか困りごとを見つけようとしていると、頭が忙しく働いてたくさんのことを思いつきそうですけれど、アイディアってたくさん見つければ見つけるほどよかったりするものなんでしょうか。
アイディアは量が一番大切
坂本:アイディアはまず量が勝負なので、いきなり画期的なすごい儲かるアイディアがでるってことはほぼないですね。そこは訓練もあるので、こうやったらおもしろいなとか、こうやったら人に喜ばれそうだなとか、こうやったら儲かりそうだなっていうアイディアを出す癖っていうのをつけた方がいいです。たくさん出す中で100個に1個が当たりそうなビジネスモデルもあるので。
アイディアはまずは質よりも量ですね。量を出していることで質が高まってくるので、まずはバカみたいなアイディアでもいいわけですよ。これやったらおもしろそうだなとか、そんなのでかまわないです。そういうアイディアを出していくっていうのがすごく大事です。
森川:ビジネスとして成り立ちやすいアイディアの特徴みたいなものってあったりするんでしょうか。
坂本:ビジネスのなりやすいアイディアの特徴としましては、悩み事困りごとを探すのですが、お金払ってでも解決したいと思っているかかどうかってことですね。悩みっていっぱいあるんですけど、人によってはその悩みはお金払うほどでもないなって悩みもあるわけですね。だからこの悩みはお金払ってでも解決したいなっていう悩みであれば、それはビジネスになりやすいです。お客さんがどこにお金を払っているのかを見るのはすごく大事ですね。
スマホゲームとかってアイテム買うのにお金払うじゃないですか。あれって一昔前だとゲームの中のアイテムにお金払うのかっていうのが分かっていなかったと思うんですけど、どこかの会社が試しにやってみたらお金払う人が一部いるなっていうふうにわかって、それが大きな収益モデルになってるんですね。お金払ってでもキャラクターを強くしたい、そういうニーズがないかというところを探していくと、ビジネスチャンスが広がっていくんじゃないかなと思います。
起業アイディアを生み出す実践的なフレームワーク
森川:考え方とかアイディアを出すときに、フレームワークみたいなのってあったりするでしょうか。
坂本:ビジネス考えた時に私が使っているのが「誰に何をUSP」というコンセプトですね。これは誰向けなのか、どんな価値提供をするのか、そしてUSPっていうのが「Unique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)」といいますが他と何が違うのか、独自性は何かというところですね。誰に提供するのか何を売るのか独自性は何かの3つのポイントでビジネスモデルを考えていくと、非常にシンプルにビジネスモデルっていうのは構築出来ていくので、この3つのフレームワークは私もよく使ってますし、非常に効果が高いのでぜひ使ってほしいなと思います。
森川:今回の内容は以上になります。企業したいけれどもアイディアがでないというふうに悩んでいらっしゃる方にはすごく役に立つ内容だったのではないかというふうに思います。この番組ではあなたの起業の役に立てるようご意見ご質問を募集しております。インターネットで「立志財団」と検索していただき、質問フォームからお送りください。その時にはお問い合わせ内容の欄に「ラジオ起業塾について」とご記載ください。次回もあなたの起業の成功のお役に立つ内容でお送りいたします。では坂本先生、本日もありがとうございました。
坂本:ありがとうございました。