起業準備のコツ教えます〜失敗しない起業の5つのポイントとは?
何も準備せずにいきなり起業する人は少ないと思いますが、では起業するにはどんな準備が必要なのでしょうか?
起業前に準備をしっかりすることで、成功する確率は上がります。
起業する前に何から準備していいか分からないという方のために、成功に近づけるためのポイントをまとめます。
20年以上にわたって1万人以上の起業家・経営者を指導してきた経験、ノウハウを元に解説します。
起業準備について大きく5つのパートにわけています。
- 起業して収益化するまでに必要な準備
- 立ち上げ時の手続きなど
- 個人事業主と法人、どっちで起業する? 違いは?
- 起業の資金
- 準備に必要な期間、起業タイミング
起業して収益化するまでに必要な準備
起業しても、多くの事業が思うように収益が出ないまま撤退していきます。
事業は継続させてこそです。そこで、まずは収益化について触れます。
大きく次の4つを意識すると成功につながりやすいです。資金に関しては別項目でも取り上げます。
- 事業アイデア(ビジネスアイデア)
- 資金
- 見込み客
- 人脈
一つひとつ解説していきます。
事業内容(ビジネスアイデア)の決め方
最初は事業アイデアです。これがなければ始まりません。
事業アイデアは、少しでも多く出すことが大切です。
数が多いと、いろいろと比較でき有望な事業も見えてきますし、その過程を経ることで後の経営に生かされこともあります。
最低でも10個以上の事業アイデアを出すことが望ましいでしょう。
自分がやりたいと思えること、需要が伸びるている分野、課題があると分かっている分野、法律などの変化がある分野、得意な分野などさまざまな切り口で考えるといろんなアイデアが出てきます。
起業したとしても、途中で事業内容を変更することもよくあります(ピボットと言われます)。また、何をやるか考えているだけで先に進まないのも問題ですから、考えすぎず先に進めることも重要です。
資金
起業するにあたってはどうしてもお金が必要になってきます。
開業資金はもちろんなのですが、生活費も必要となってきます。
安定的に毎月給料がもらえる会社員とは違い、起業するとなると収入は安定するとは限りません。
起業してすぐは無収入の可能性もあります。
ですので当面、最低でも6ヶ月分の蓄えがあるといいでしょう。
資金に関しては、後ほど深掘りします。
見込み客
起業の準備段階から見込み客集めやファンづくりをしておくと、いざ事業を始めたとき(=商品やサービスを販売)に心強いです。
どんな事業をするかなども影響しますが、見込み客やファンを集めるためには、
- HPやブログ・メディアなどの自社媒体の運用
- Twitter、Instagram、YouTube、Facebook、TikTokなどのSNSの運用
- 広告の運用
などさまざまな方法があります。
無料で始められる方法もありますから、必ずしもお金をかける必要はありません。
事前に見込み客集めができていると、起業はだいぶ楽になります。この時点ですでに起業が始まっているといってもいいかもしれません。
もし、自分のスキルを使った事業、例えばセラピストやカウンセラー、コーチ、コンサルタントなどで起業しようとしているなら、ストアカやココナラといったプラットフォームを使ってお試しのような形でやってみるのも手です。
もっと具体的なことを知りたい場合は、こちらのセミナーに参加してみてください。
これから起業したいと考えている方に向けて、
はじめての起業で何が必要か?
何を重視するべきか?
まずは何をする?
人脈
起業するにあたっては人脈も重要なポイントとなってきますので、準備段階でいろんな人とつながっておくとチャンスが広がります。
もし、人脈がないという場合は、これから人脈を増やしていくことをお勧めします。
そのためには、人との出会いが大切ですから、
- SNSで交流する
- 交流会に参加する
- セミナー・イベントなどに参加する
といった形で人との出会いをとにかく増やすことが重要です。
オンラインだけでもいろいろな人と交流はできますが、直接会える機会があれば、積極的に出向きましょう。
ただ、参加する前には必ず目的を忘れずに、目標を立てるようにします。
自分の事業に関係する人脈を増やすわけですから
- 何人の人と名刺交換するか
- SNSで知り合いになってもらう
などといったように決めておきます。
起業に必要な手続き
起業するにあたってどのような手続きが必要になってくるかも起業の準備として知っておく必要があるでしょう。
どう起業するかにもよりますが、個人で始めるのか、法人をつくって始めるのかを決めます。
もし、一人で小さく始めるなら個人事業者として個人で始めることをお勧めします。
そうはいっても、個人と法人の違いを知らないと判断がつきにくいと思います。
そこで、個人事業者と法人の違いや選択基準などをお伝えします。
個人事業主と法人、どっちで起業する? 違いは?
自分1人で起業する場合は、まずは小さく個人事業主で始めるのがお勧めです。詳しくは以下にまとめていますが、法人は利益がある程度は出ていないとそのメリットを教授しにくくなります。
個人事業主と法人の主な違いは以下のとおりです。これらも押さえておけば選択に迷わなくなると思います。
- 社会的信用の違い
- 立ち上げと廃業時の違い
- 税金面の違い
- 社会保険の違い
個人と法人の社会的信用の違い
個人事業主よりも、法人の方が信用面で有利となケースはあり得ます。
例えば、相手がどこに発注するか決める際にも個人よりは法人となるケースもあります。
また、ある程度の規模のある企業と取引する場合、個人では取引できないこともあります。
実際、立志財団の支援を受けた起業家の中にも、個人とは取引できないので、法人化してくれと言われて法人化した人もいます。
立ち上げと廃業時の違い
個人事業主は法人よりも立ち上げ・廃業ともに手間がかからず、時間もお金もかかりません。
個人事業主の場合、開業する(立ち上げ)ときに税務署に開業届を出すだけで終わりという場合もあります。例えば、デザイナーやカウンセラー、コンサルタントなど特に届け出などが不要な場合は簡単に始められます。
一方、飲食店のように保健所とのやりとりが必要なケースもありますので、自分が何をやるかによってどんな手続きが必要になるかは調べておきましょう。廃業の場合も同様です。
一方、法人の場合には立ち上げ時にいくつか書類を用意するだけでなく、実印を用意したり、収入印紙代もかかったりと手間と時間、そしてお金もかかります。
代行を頼まず全部自分で手続きしたとしても株式会社なら15万円以上、合同会社なら6万円以上は確実にかかります。印紙代や公証人役場での費用といったものなので、これ以上、安くすることはできません。
法人の場合、廃業するときも個人事業主のように届け出を出して終わりというわけにはいかず、廃業の登記などの手続きがあり、手間と時間とお金がかかります。
個人と法人の税金面の違い
税金を考えると、個人よりも法人のほうが有利と考えていいでしょう。
ただ、法人の場合、設立時の費用や赤字でも税金の支払いがある、社会保険料の違いなど個人との違いがあり費用がかさむ可能性がありますので、注意が必要です。
以下、個人と法人の場合の税金を見ていきます。
個人事業主の場合
個人事業主の場合、1月から12月までの1年間を区切りとして、どれだけの売上があったか、経費をどれだけ使ったかなどを自分で計算し税務署に提出します(確定申告)。
その際、青色申告か白色申告かで税金面の違いが出てきます。青色申告の場合、帳簿の付け方によっても税制が分かれるので、次の3パターンがあります。
- 青色申告(複式簿記)
- 青色申告(簡易簿記)
- 白色申告
会計ソフトを使えば、そこまで複雑にはならないと思いますし、簡単な簿記は知っておいたほうがいいので、青色申告(複式簿記)がお勧めです。税金面のメリットも他の2つよりも大きくなります。
主な違いは以下のとおりです。
青色申告 (複式簿記) |
青色申告 (簡易簿記) |
白色申告 | |
---|---|---|---|
控除額 | 65万円※1 | 10万円 | 10万円 |
赤字繰り越し | 3年 | 3年 | なし |
減価償却 | 30万円まで 一括償却可 |
30万円まで 一括償却可 |
10万円まで 一括償却可 |
記帳方法 | 複式簿記 | 簡易簿記 | 簡易簿記 |
保存が必要な帳簿※2 | 多い | 多い | 少ない |
提出書類※2 | 多い | 多い | 少ない |
選択するための要件※3 | 事前承認が必要 | 事前承認が必要 | なし |
※1.青色申告での控除額
電子申告または電子帳簿保存であれば、65万円控除。そうでない場合には55万円控除。
※2.帳簿や書類
青色申告の場合、複式簿記でも簡易簿記でも、必要な帳簿や書類はあまり変わりませんが、少しだけ簡易簿記のほうが少なくなります。帳簿には総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳があります。また、提出書類も貸借対照表や損益計算書など複数あります。
それらは会計ソフトを使って必要な数字を入力すれば、自動的に計算して作成してくれます。どんなものかは知っておいたほうがいいですが、起業するにあたって細かく知る必要はないでしょう。
※3.要件
青色申告の場合、3月15日までに青色申告承認申請を出します。その年の1月16日以降に事業を始めた場合は、その日から2か月以内。
開業届の提出も必須ですので、同時に出してしまうのがいいでしょう(そもそも開業届は提出義務があります)。
法人の場合
法人は個人と比較すると経費として計上できる分が増えるなど、柔軟な対応をとれます。例えば、自分への給料(役員報酬)、出張費の日当や、社宅などがあります。
法人の場合も個人と同様に確定申告をして支払う税金を申告します。種類も青色申告と白色申告があります。
ただ、法人の場合は、決算期を自由に決められますので、締めの月から2か月以内に確定申告を行います。上場企業などは4月から翌年3月までとしているケースが多いです。
法人の場合、個人と違って白色申告でも貸借対照表や損益計算書が必要になるので、白色申告のメリットはないものと思います。
青色申告 | 白色申告 | |
---|---|---|
赤字繰り越し | 10年※1 | なし |
欠損金の繰戻還付 | できる | できない |
減価償却 | 30万円まで一括償却可 | 10万円まで一括償却可 |
記帳方法 | 複式簿記 | 簡易簿記 |
保存が必要な帳簿 | 多い | 多い |
提出書類 | 多い | 多い |
選択するための要件※2 | 事前承認が必要 | なし |
※1.赤字繰り越し
2018年3月31日までに開始した事業年度の場合は9年間。
※2.要件
事業年度開始日の前日までに申請する。4月スタートなら3月31日まで。法人設立時は、設立後3か月または設立事業年度終了の日のいずれか早い日。
社会保険
個人事業主と法人とでは社会保険も違ってきます。
ちなみにここでいう社会保険とは次の5つをさします。
- 年金保険
- 医療保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
個人事業主なら基本的には、国民年金と国民健康保険、国民健康保険の額に応じて介護保険。
法人なら基本的には、厚生年金と健康保険、健康保険の額に応じた介護保険になります。
おそらく年収700万円くらいまでの小規模事業であれば、個人事業主のほうが負担は少なくなるものと思います。
個人事業主の社会保険
個人事業主の場合、以下のようになります。
- 年金保険:国民年金(+国民年金基金)
- 医療保険:国民健康保険など
- 介護保険:医療保険と一緒に徴収(40歳以上)
- 雇用保険:なし
- 労災保険:なし
個人事業主の年金保険
年金は国民年金となります。法人の厚生年金と比べて支払い額は減りますが、当然、その分、もらえる額も減ります。国民年金基金に加入することで支給額を増やすことはできます。
個人事業主の医療保険
医療保険は基本は国民健康保険ですが、次の3つを選択できます。
- 会社員時代の健康保険の任意継続(最長2年)
- 国民健康保険組合に加入
- 家族の扶養に入る
会社員を辞めて個人事業主になった場合は、会社員時代に入っていた医療保険を継続することもできます(最長2年間)。
ただ、会社員時代よりもかなり増えますので要注意です。医療保険は労使折半※ですので、会社が負担していた分を自分で負担する必要があるためです。
※会社側が半分以上負担という規定ですので、場合よっては会社が半分以上払っているケースもあります
一部の業種・地域においては国民健康保険組合があり、そちらに加入することで国民健康保険よりも支払い額を減らせるケースもあります。ただ、国民健康保険組合には加入条件があり、別途、会費などの費用がかかることもありますので注意が必要です。
国民健康保険組合の一覧はこちらの全国国民健康保険組合協会のページを見てください。
医師や歯科医師、薬剤師といった医療関係、建設関係が多く、その他にも芸術、芸能、飲食、食品、理美容などの分野で組合があります。
文芸技術国民健康保険組合は、フリーランスのライターやWebデザイナーなども該当しますので、可能性のありそうな組合があれば調べてみましょう。
個人事業者の介護保険
介護保険は40歳以上に加入義務が生じ、医療保険と一緒に払うことになります。額も医療保険に連動します。
個人事業主の雇用保険と労災保険
雇用保険も労災保険も基本的に個人事業者は加入できませんので負担はありません。
ただ、上記はあくまで本人の話ですので、人を雇う場合には雇う人に対して加入義務が発生します(条件により)。
労災保険に関しては建築関係や運送業者、タクシー運転手、漁業、林業などは加入できます。詳しくは厚生労働省の労災保険特別加入制度のしおりを参照してください。
法人の社会保険
法人の場合にはこちらのようになります。
- 年金保険:厚生年金
- 医療保険:健康保険(厚生年金とセット)
- 介護保険:医療保険と一緒に徴収(40歳以上)
- 雇用保険:条件により
- 労災保険:条件により
法人の年金、医療保険、介護保険
法人の場合、年金は厚生年金になり、健康保険とセットで加入することになります。
国民年金や国民年金は個人が払うだけですが、法人の場合、法人側も負担が生じます。労使折半で負担するケースがほとんどかと思います。
株式会社や合同会社などの法人の形態や従業員の有無を問わず厚生年金への加入が必須です。
介護保険は40歳以上の場合に、医療保険と一緒に請求されます。額は医療保険に連動します。
法人の雇用保険、労災保険
役員は加入できませんので、自分一人しかいない法人の場合は支払いはありません。
条件によりますが、人を雇う場合には加入義務が生じます。
個人事業主と法人の違いをまとめると
個人事業主と法人の違いをまとめると以下のようになります。
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
形態 | 個人事業主というくくりのみ | 株式会社、合同会社、 NPO法人、社団法人、 財団法人などさまざま |
社会的信用 | 一般的に法人より低い。 法人相手の取引で不利になることも |
一般的に個人より高い |
事業開始の手続き | 開業届の提出 許認可が必要な場合はその手続き |
商業登記、書類や印鑑など 手間と時間とお金がかかる |
事業廃止の手続き | 届け出を出す | 登記の手続きなど手間とお金がかかる |
税金面 | 赤字なら税金はかからない。 損失の繰り越しは最大3年。 一般的に収入が多くないなら 個人のほうが納める額は少ない |
赤字でも7万円は最低限かかる。 損失の繰り越しは10年。 収入が多くなると法人を 活用したほうが 納める額は少なくなる |
税金面(手続) | 法人よりシンプル | 個人より複雑 |
税金面(経費) | 法人より認められる経費が少ない | 個人よりも認められる経費が多い |
社会保険 | 国民年金+国民健康保険 | 厚生年金+社会健康保険。 負担は労使折半 |
個人事業主か法人か? 選択基準
個人事業主と法人の違いが分かったとしてどちらを選択するのがいいのでしょうか?
どんな事業かにもよりますが、一人で小さく始めるなら個人事業主として始めるのがいいでしょう。
やがて利益が出てきたら法人化するパターンが多いです。法人化の目安は年収700万円くらいになると思います。
ただ、個人事業主よりも、法人の方が信用面で有利ということはあり得ます。
また、ある程度の規模のある企業と取引する場合、個人では取引できないケースもあります。
実際、立志財団の支援を受けた起業家の中にも、個人とは取引できないので、法人化してくれと言われて法人化した人もいます。
ですから自分が何をビジネスにし、どんな顧客を付けたいかなどで考えてみるのは1つの方法です。
前述したとおり個人より法人のほうが税制面の有利さはありますが、立ち上げ時や廃業時に手間とお金と時間がかかります。
なので、まずは個人事業主で始めて軌道に乗って利益が増えてきたら法人化するのがよくあるケースです。
必要な事業資金、運転資金の額は?
起業するうえで必要な資金は
- 事業資金
- 経営者の生活資金
です。
では、起業してからスムーズな経営を行っていくために必要な資金はどのくらい用意したらいいでしょうか。
といっても、
- 業種・業態
- 1人で始めるか複数人で始めるか
- 人を雇うか雇わないか
- 店舗やオフィスなどは必要か不要か
- 設備は必要か
など、どんな事業かによってかなり大きく左右されます。
なので、一概には言えませんが、300万~500万円を起業前に準備することが多いように思います。
パソコンがあれば十分なビジネスの場合には、お金はほとんどかかりませんので、もっと少なくなるでしょうし、店舗や設備がないと始められないような場合はもっと必要になることもあるでしょう。
人を雇う、オフィスや店舗が必要な場合
人を雇う予定がある場合は最低3か月分の給与も事前に準備しておく必要はあるでしょう。
オフィスや店舗を借りる場合は、賃貸の場合は敷金礼金と最低3か月分の賃料を準備しておく必要があります。半年分など、もっと要求されるケースもあります。個人が住まいを借りるときとは大きく違いますので、注意が必要です。
自宅をオフィスにすると費用も抑えられるため、経営が軌道に乗るまではオフィスを持たないというのも一つの選択です。
バーチャルオフィス、コワーキングスペースを使用したり、シェアオフィスを借りたりするだけでも十分ならそちらをお勧めします。
地域にもよりますが、月に1万円から2万円もあれば借りられます。個室などを希望する場合はもう少し費用はかかりますが、最初はできるだけ費用を抑えたほうがいいです。
なお、立志財団で運営している立志オフィス日本橋では、バーチャルオフィスは月4,950円、コワーキングスペースが月9,900円から利用可能です。
起業のための資金を準備する方法
起業のためにお金を準備する方法は、
- 自分で貯める
- 借りる
- 投資家に出資してもらう
- クラウドファンディング
などいくつかあります。
リスクを抑えるなら自分で用意するのが一番ですが、金額によっては難しいと思いますので、借り入れや出資も視野に入るでしょう。
借りるといってもさまざまありますので、少し細かく見ていきます。
公的機関から借りる
日本政策金融公庫の新創業融資や信用保証協会の制度融資などがあります。
無担保、無保証で融資を受けられる制度で、新創業融資は、資本金額の約2倍の融資が下りる可能性があります。
ほかにもさまざまな制度がありますので、日本政策金融公庫などに相談してみるといいでしょう。
まずはこうした公的機関の制度を検討してみるのがいいと思います。
当然、起業するにあたってどんな事業をどう展開していくかを提示する必要があり、事業計画が要求されます。
補助金や助成金を活用する
公的機関の補助金や助成金などもあります。補助金も助成金も基本的には返済不要です。
ただ、特に補助金は簡単にもらえるわけではありませんし、準備も必要な書類や条件、受け取った後の事務処理などもあります。
必要な分が全額もらえるとも限りません。
民間の金融機関から借りる
起業間もない会社にメガバンクが融資することはまずないため、審査が通りやすい信用金庫や地方銀行に審査をお願いしましょう。
当然、利子が付き、返済義務もあります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは大きく次の3つの分類があります。投資型には出資型、ファンド型、融資型とさらに3つに分けられます。
- 寄付型
- 購入型
- 投資型
- 出資
- ファンド
- 融資
クラウドファンディングのプラットフォームは購入型をよく目にすると思います。
例えば、CAMPFIREやMakuake、GREEN FUNDINGなど、他にもいくつかあります。寄付型はReadyfor、投資型はFUNDINNOなどが主なプラットフォームです。
起業するうえで資金を集めるという観点からは、購入型か投資型を活用することになると思います。
出資を受ける
株式会社の場合、株式を発行し、投資家が購入することで資金を得られます。
個人だけでなく、ベンチャーキャピタル(VC)から出資してもらうこともあります。
持ち株比率が50%以下になると経営権がなくなるので注意が必要です。
当然、知らない人やものには簡単には投資しませんので、事業内容はもちろん、人脈も大きな意味をもつ要素になります。
投資家などから集めたお金は資本金となります。
資本金とは出資を受けたお金で、会社の経費としてしか使えません。
よく「資本金は使っていいのでしょうか?」という質問をされることがありますが、もちろん使っていいお金です。事業を進めるために必要なお金を調達する方法の1つが出資であり、調達したお金は資本金になります。
出資者はお金を出す対価として事業で利益が出たら配当金を受け取れます。上場した場合には持っている株を株式市場で売って利益を得ることもできます。
資本金は一般的に会社の信用と強く関係しています。
資本金の額は6か月分の運転資金を賄える金額を資本金とする事業計画が多いです。
1か月目から損益分岐が見込める場合は3か月分で十分ですし、1件の客単価が低い場合などは1年分準備しておいた方がいいでしょう。
自分の貯金や友人・親戚から借りて資本金に充てることができれば、そうすることをおすすめします。
経営者の生活資金も事業資金とは別に用意
会社のお金と経営者のお金は完全に別会計です。自分一人しかいない会社の場合、自分のお金と勘違いするケースがありますので注意してください。
決して公私混同しないように気を付けましょう。
経営が困窮している場合などは、経営者は自分の資金を会社の資金として使えますが、その場合、会社は経営者(個人)から借り入れをしていることになります。
反対に、経営者(個人)の生活資金に困った際には会社は個人に貸し付けすることができます。
しかし、会社から個人への貸し付けは経営上の観点からも、税務上の観点からもいいこととはいえません。
また金融機関からは公私混同とみられ、融資の審査で不利になることもあります。
資本金は会社の信用を見る上で重要ですが、個人資金の全てではなく、生活資金以外の資金を充てるようにしましょう。
起業準備の期間はどれくらい?
起業の準備に長く時間をかければいいというものではありません。
5年も10年もかけたところできっと起業せずに終わってしまうでしょう。
では、どのくらいの期間がいいかというと、これも業種業態などによって変わりますので一概には言えません。
必要な資格を持っているか、取るのにどれくらい時間がかかるか、設備を用意するのにどのくらい時間がかかるか、費用を工面するのにどのくらい時間がかかるかなどを考慮します。
店舗を構える場合、いつ良い物件が見つかって契約できるかにも依存します。十分に検討しないで進めてしまってはハイリスクですが、だからといってズルズルと伸ばしていたらいつまでたっても始められません。
大切なのは、やるべきことのリストアップと期限を決めてやるということです。
何をするかにもよりますが、1年という期間は1つの目安になると思います。
副業から小さく始められるならそれがお勧め
事業によっては副業から少しずつ始めることもできます。例えば、カウンセラーやコンサルタント、デザイナーなどは働きながらでも少しずつ始められます。
そうすればリスクは抑えられますので、1年もかける必要はないと思います。にすぐにでも始めてみるのがいいでしょう。うまくいかなかったらやり直せばいいだけです。
起業の準備期間中の経費計上できる
起業準備中に使用した開業費は起業後に経費精算できるものがあります。
例えば、
- 名刺
- 印鑑
- 文房具類
- 打ち合わせのための交通費や飲食費
- 挨拶のための手土産代
- 書籍や研修、セミナー、コンサルティングなどの料金
なお、開業費として計上できるのは、起業前の半年ほどの期間に買ったものになります。
起業準備期間中はクレジットカードの支払いなどに注意
起業準備期間中は、資金面に気を付けましょう。
例えば、個人信用情報に記録が残るようなクレジットカード支払いの滞納等のトラブルや税金の滞納は、融資審査の際に不利に働きます。
会社を辞めるタイミング・辞め方について考える
できるのであれば、副業から始めて軌道に乗ってきたら、というのがベストだとは思います。
そうはいっても、なかなかうまくいかないということもありますから、起業に専念し、後ろの扉を閉めて腹を括る! というのも手ではあります。
起業時のそうした意気込みはもちろん大事ですが、起業後、事業を継続させていくことも大事です。
お金の面を考えると、会社を辞めるタイミング計画的に動くことをお勧めします。
目指している人たちとのつながりを大切にし、ご自身にとって効果的な環境に身を置いて起業をすすめていきましょう。
まとめ
いざ「起業しよう!」と決断したら、ビジネスアイディアを決めたり、ビジネスモデルを考えたりすることは当然ながら、さまざまな手続きも発生します。
やることが多いなと思うかもしれませんが、手続きなどは専門家にお願いすることも可能です。特に法人設立などは、何も知らないところからやるのは大変ですから任せてしまう人も多いです。
起業は失敗しているケースが後を絶たず、決して甘いものではありません。しかし、準備不足からくる失敗も少なくないでしょう。逆に準備しすぎて何も始まらないのもある種の失敗と言えます。
重要なのは過度にリスクを捉えるのではなく、できるだけリスクを抑えつつ小さく始めることです。
そのためにもここで解説した準備をしながら、起業に向けて進んでいっていただければうれしく思います。
また、立志財団ではこれから起業しようと思っている方に向けたセミナーを開催しています。
20年以上にわたって延べ1万人を超える起業家・経営者を指導してきた実績を活かして、はじめての起業について分かりやすく解説しています。詳しくはこちらを見てください。