逆境の時こそ大切なのは「自分の情熱に耳を傾けること」

毎週日曜朝9時半から、FM那覇で放送中の『坂本憲彦のラジオ経営塾』。起業の専門家、坂本憲彦がはじめての起業で成功するために大切なポイントをお届け。沖縄で起業したい人を応援するラジオ番組です。

今回は、逆境の時に経営者はどう行動するべきか、坂本憲彦氏に答えていただきます。年商5億円の会社社長を辞めるという逆境を経験した坂本氏が、自身の経験も踏まえて逆境の時の事業の見直し方についてお伝えします。

ゼロベース思考とU理論で逆境を活かす

中田:最近コロナの話題一色で、どの会社さんも大変な時期と言われています。

坂本先生は30代で起業をして会社を年商5億円まで成長させましたが、順風満帆だったわけではなく、38歳で一度社長を辞められてリスタートされていますよね。

逆境の時のターニングポイントなどについて、お話を伺えたらと思います。

よろしくお願いします。

 

坂本:コロナで経営状況が厳しい方もいらっしゃると思いますが、そういう時にどう事業を見直していくかをお話できたらと思います。

 

先ほどお話があったように、僕は30歳の時に起業をして会社を3つ経営していました。約8年会社をやって、一番いい時で年商5億円までいきました。メインの事業がビジネススクール、それ以外にも不動産の賃貸や速読の講座、飲食店などをやっていました。

社員が40人くらいまで増えたので会社の方向性を話し合った時に、幹部同士の方向性がまとまらず、38歳の時に社長を辞めることになりました。

誠心誠意やっていた事業を離れることになってどうしようかと思いましたが、今はその経験があってよかったと思っています。

 

僕は物事を考えるときにゼロベース思考を大事にしています。

今までのいろいろなしがらみを捨てて1回ゼロにして考えることは、経営者に必要なことだと思います。しがらみの中でずっと考えていると発想自体が小さくなってしまうんですよね。

ゼロになった時にそもそも本当にこの事業をやりたいのか、どの方向に行きたいのかを考える。

僕は幸か不幸か社長を1回辞めることになってゼロになり、自分が事業をどうしていきたいのかを考え直すきっかけになりました。

 

もう一つ、U理論という考え方があります。U理論は簡単に言うと、今やっていることの原点、やりたい理由を深く掘り下げてもう一度再構築していく方法です。

 

情熱がない事業は衰退する

坂本:僕は38歳で会社を辞めてから2年くらい、そもそも自分はこの事業をやりたいのか、試行錯誤をしました。新しい事業もやってみましたが、そういう時は何をやっても上手くいかないんですよね。お金を稼ぐためにやっている事業はうまくいきません。

 

その時にやっていたのは英語講座です。

社長を辞めた後、残った事業に速読の講座がありました。この講座を紹介してくれていたのが英語のメルマガを書いている方だったので、英語の商材を作ったら売れるんじゃないかということでできた講座です。最初は売れましたが、1年くらいで売れなくなってしまいました。

 

売れなかった一番の原因は何かというと、僕が全く英語に興味がなかったことです。学生の頃から英語の点数が悪くて受験に失敗しましたから。僕が今さら頑張るよりもGoogle翻訳さんが頑張ってくれた方が間違いなくいい英語力になると思っていたので、英語を上達させることに情熱がないわけですね。

コンサルも入れていましたが、どんなに優秀なコンサルが入ったところで経営者に情熱がない事業は衰退すると思いました。

 

一回出来上がったものが売れ続ければいいですが、そうはいきません。常に改善していかないと売れなくなります。情熱がないものは改善が入らないので、自分が長く興味を持てることが大切です。

 

短期視点で今一番何が儲かるかも大事ですが、事業のリスタートを考えている方がいれば、ちょっと立ち止まって長期の目線を持ってほしいです。最低でも10年後にどうなっていたいか、理想的には20年後、30年後にどうなっていたいのか。究極的には死ぬまでにどうなっていたいのか。

経営者はこの長期のビジョンを持っているか持っていないかで選択が大きく変わります。目の前のことだけをやっていると目の前の状況に翻弄されてしまい、うまくいかなくなることはよくあります。

長期のビジョンを社員に伝え、みんなでそこに向かえるように導くことがトップの大切な仕事です。

 

コロナで大変な状況になった方もいると思いますが、逆にそこをプラスに捉えてみてください。ゼロベースで考えて、本当に自分がやりたかった事業は何か、ビジネスは何かを見つめなおす機会にしてください。長く続けたいビジネスモデルは何かを考えて、スタートしていただくのがいいと思います。

 

手放すことで情熱を取り戻す

中田:手に握っているものを手放す時は恐怖心があると思います。ゼロベースにする際にそういった不安や恐怖心を払拭して支えてきたものはありましたか。

 

坂本:僕も確かに怖かったです。何を手放すのが一番怖かったかというとそれまで学んできたマーケティングやセールス、集客や営業のスキルです。でも一旦全部考えるのをやめようと思って手放しました。

売るためのテクニックや戦略ばっかりを考えていると本当に伝えたいこと、自分のやりたいことがぶれると思ったからです。

今まであったもの捨てるのは勇気がいるし、怖いし、大変ですが、捨てたらシンプルになるんですよね。そうやって捨てたら、僕が今やっている経営塾も非常にいいものになったと思います。

 

今は捨てたものをもう一回拾っているという感じです。ようやく取り戻してきているフェーズです。

一回捨てたものも捨てっぱなしではなくて、どこかでそれが合わさるタイミングが来ると思います。

 

中田:今逆境かなと思えるところで何かを捨てたとしても、最終的には志とともに統合ができる楽しみもあるという感じですかね。

 

坂本:人のために真剣にやっている方は、最終的にはいい結果になると思います。ビジネスの原点は困っている人を助けることです。そこをやっていれば、今厳しい状況でも必ず誰かが応援してくれると思います。

 

中田:大事な原理原則を聞かせていただきありがとうございました。

 

次回:【第90回】坂本憲彦のラジオ経営塾「読書の秋第1弾!【金持ち父さんのパワー投資術】から学「投資の正しい認識」