「経営者が大切にすべきパートナーシップの3つのポイント」マナビスタ(株)金子佳久社長、弥生社長
毎週日曜朝9時半から、FM那覇で放送中の『坂本憲彦のラジオ経営塾』。起業家の専門家、坂本憲彦がはじめての起業で成功するために大切なポイントをお届け。沖縄で起業したい人を応援するラジオ番組です。
今回は、夫婦で共同経営をされている、マナビスタ株式会社代表取締役の金子佳久さん、弥生さんお迎えしています。夫婦関係が与える仕事への影響や、夫婦の良い関係を築くポイントについてお伝えしています。
こちらの音声は、Podcastよりお聴きいただけます。
動画は、下記YouTubeよりご覧いただけます。
パートナーシップと仕事の関係
中田:今日は素敵なゲストをお迎えしております。マナビスタ株式会社代表取締役の金子佳久様、弥生様です。ご夫妻で共同経営をされ、人材育成と企業のPRコンサルティングで活躍されています。
今日はよろしくお願い致します。
金子(佳)(弥):よろしくお願いします。
坂本:今日お二人にお話いただきたいことは、経営とパートナーシップです。
僕もちょこちょこ聞きますが、経営者の方で夫婦関係に悩んでいる方は多いと思います。経営者の方が家族内で揉めていたり、奥様との関係が良くないと、仕事にも影響が出てくると思います。
会社の業績が良くても家庭内の環境が悪いと、経営者自身の幸福感が感じられないということもあります。
佳久さんは人材育成でいろいろな経営者の方をみていらっしゃいますし、弥生さんもご主人を支えて一緒に会社をされていらっしゃいます。お二人に経営とパートナーシップの大事な3つのポイントをお話いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
まず簡単に自己紹介をお願いします。
金子(佳):マナビスタ株式会社の金子佳久です。主に人材育成分野のコンサルテーションをしております。企業内の人材育成、または経営者の方のコーチングをメインの事業としてやっております。
こちらは妻であり、共同代表でもある弥生です。
非常に珍しがられますが、研修の登壇を2人でやることもあります。掛け合いのように進めていくということで、ユニークな研修だったと言われることが多いです。ぜひ機会があれば来ていただけたら嬉しいです。
金子(弥):金子弥生と申します。坂本さん、今日はこのような機会をいただきありがとうございます。中田さん、禰覇さんも今日はお世話になります。よろしくお願いします。
中田・禰覇:よろしくお願いします。
坂本:経営者の方で夫婦関係やパートナーとの関係に悩んでいたり、または経営者が外で女の人と遊びすぎたり、愛人を作ったり、社内不倫があったり、パートナーシップについてのいろんな問題があると思います。
金子(佳):先ほど坂本さんからもお話がありましたが、愛情の問題は大きく経営に影響してくると思います。経営者の方のコーチングをしていく中で、そういった話が出てくることがあります。社内の雰囲気や社員のモチベーションなど、様々な影響が出てくるのは傍から見ると分かりますが、ご本人は隠しているので、影響はないと思っている方もいらっしゃいます。
ラジオを聴いている方は先ほどの愛人とか、びっくりするようなお話かもしれませんが、実際にたくさんあります。でも、急に愛人と別れなさいとか、愛人にお金を使ってはいけませんと押さえようとしてもうまくいきません。
私は、パートナーシップが経営に影響することをお話して、本当の意味でのパートナーシップを育んでいくことを強調しています。パートナーと真の関係を育むと、おのずと間違った方向に意識が向かなくなり、奥様との関係が非常に良くなってきます。結果として社内の雰囲気が良くなり、経営者のインスピレーション、直観力や決断力も明らかに強くなってきます。
奥様が以外にも女性がいると気持ちの面でもブレブレになっていることが多いんですね。それを隠そうとして使っているエネルギーが、まっすぐに仕事や本来愛情を向けるべき人に向かうので、エネルギーや決断力のブレがなくなるのが手に取るように分かります。
金子(弥):なぜ夫婦なの、というところですが、一番身近な相手なのでごまかしが効きません。そうすると本当の自分の状況が出やすいので、そこにある自分の状態がどの人間関係にもあてはまってくる。一番身近なパートナーとの関係がどこまでうまくできているかが、経営者の方の仕事仲間や、部下、同僚、お客様との関係にも全部影響がある。実は恐ろしい事実が見えてしまう場所かなという気がします。
分かりやすい例だとお笑いのコンビです。昔は仲が悪くてやり合っているコンビもあったと思いますが、最近は仲が良さそうなコンビが人気だと思いませんか。
坂本:そういう人が増えていますよね。
金子(弥):仲がいい状態は人の信頼を得ることができると思います。
経営者はいろいろな人の信頼を得ることが大事な職業だとすると、一番身近な人を大事にしているかどうかは、その人の性格や人間性、生き方を伝えてしまう大事なポイントではないかと思っています。
坂本:ありがとうございます。僕も耳が痛いなと思いながらお話を聞いていました。やっぱり奥さんへの態度は大事だなと改めて思いました。
僕も妻に仕事を手伝ってもらっていて、仲良くやっています。ただ、身内に甘いとだめかなと思って、人前だと厳しく当たってしまうので、それが空気を悪くしている時があると思います。妻に厳しめに言うとミーティングが静かになってしまうことがあるので、気をつけないといけないなと。
夫婦関係はすごく大事ですよね。特に経営者はどれだけまっすぐ事業にエネルギーを注げるかです。それが家庭内の問題などで別の方向にエネルギーを使っているとなかなか成長しないので、大事だと思いました。
パートナーシップをうまく保っていくための3つのポイントを教えていただけますか。
ポイント1:話を聞く
金子(佳):ポイント一つ目は“話を聞く”ことです。
言葉にすると簡単ですが、経営者の方は主張の強い方が多いので、聞く前にいろいろと言ってしまうことが多いようです。これは奥様やパートナーに対してもそういう傾向が強いと思います。
私も偉そうに言っていますが、聞くことの大切さが本当に分かるまでにはかなり時間がかかりました。私は人材育成をやっておりますので、例えば管理職向けの研修でも部下の話を聞くとか、上司の話を聞くとか、とにかく話を聞くことの大切さを教えています。
当然それは自分も実践者でなければならないと思いながら、気が付くと自分がずっとしゃべっていることも多かったです。
坂本:話を聞くことはなかなか難しいと思いますが、女性からの意見として中田さんどうでしょうか。
中田:他人の話は聞く技術をもってちゃんと聞けるけれど、夫婦は近すぎる分、しかも経営という土台が一緒だとなかなか話を聞くことが難しいと思います。何かコツはありますか。
金子(佳):聞くことの重要性をどれだけ本当に身をもって分かっているか、が前提にあると思います。
実は私は2回目の結婚です。自分が相手よりも多くを知っていて、正しいことを言っていると思っていたので、1回目の時には相手の話が全く聞けていなかったと思います。
忘れもしないクリスマスのある日、人生で最も大きな商談をまとめ上げて、喜んで家に帰ったら妻がいなかった。ドラマのような離婚劇がありました。それまで自分が人の話を聞いていないという自覚はありませんでした。離婚という流れに至った時に話し合う中で、初めて相手の気持ちを受け止めたり話を聞いていなかったと気づきました。結果として、その時一番大切な人を失ってしまい、聞くことが大事だと実感しました。
ところが再婚しても、聞くことの大事さを分かっていても、やっぱり聞けないことが多かったです。ただその時に、“何があっても乗り越えて2人のビジョンを実現していく”“自分と同じように相手も大切にする”と決めていました。これがあるかないかで分かれ道になると思います。
ポイント2:共通のビジョン
金子(弥):パートナーシップの最初がちゃんと話を聞くことだとすると、2つ目が2人の共通のビジョンがあることだと思います。
私たちは喧嘩が激しい夫婦でしたが、それを乗り越えられたのは、その先に2人で到達したい場所があったからです。“パートナーシップに至っていこう”という、そこだけは2人ともぶれていませんでした。今はあくまでも途中段階だと思っていたので、そこであきらめなかったということがあると思います。
金子(佳):共通のビジョンがあったからこそ、聞けない時があってもそこに一喜一憂せず、自分を責めずに次またチャレンジをする。次こそは相手の話をしっかり聞くぞという気持ちに何度も立ち返れました。あきらめずに何度も何度もチャレンジをしていくうちに、人は成長して聞けるようになっていく。
自分が分かってもらえていないと聞けなくなってしまうので、特に聞けていないという時は、自分自身はちゃんと分かってもらえるという安心感や、自分の言いたいことをちゃんと伝えることができるという安心感があると聞くことができます。
坂本:喧嘩をしている時は、相手がどういうことをやりたいとか、どういう未来を描いているとか、そういうことが全然分かっていなかった状況ですか。
金子(佳):そうですね、難しい質問ですが、普段から共通のビジョンが大事だということで、紙に書いてお互いに壁に貼っていました。これは本当にお恥ずかしい話ですが、その頃喧嘩になってしまうと私の方がイライラして、せっかく作った共通のビジョンの紙をベリッと剥がしてグルグル丸めてポイっとしたりしていました。
坂本:それはかなりやばいんじゃないですか。大丈夫だったんですか。
金子(佳):かなりやばいと思います。その後反省して、くしゃくしゃになった紙を一生懸命のばして、なるべく綺麗にして、もう一回貼っておくとか、もう一度作り直したりとか、そういうことをしていました。危機を何度も乗り越えながら、お互いにビジョンを作り続けたという感じです。
ビジョンは一度作って終わりではなく、プロセスが大切だと思っています。一緒に考えてそれを掲げていく、そのプロセスが何度も何度も繰り返される中で深まって、本当にお互いのビジョンだと思えるものが出来上がったと思います。そのビジョンに支えられて、日々相手の話が聞けるようになってくるという感じでした。
ポイント3:自分が正しいという場所から卒業する
坂本:今の話を聞いて、弥生さんが素晴らしいのかなと思いました。
金子(弥):結局、喧嘩をしていた時に何が起こっていたかというと、私と佳久はどっちが正しいか競争をしていたんです。ビジョンがあっても自分の方が正しいことを何よりも取りに行くわけです。それは多分、佳久がやっているのもそうだし、佳久がやっているということは私もやっているということです。そこがぱっと見、佳久が悪い人、私がいい人みたいに見えるけれど実は同じレベル、夫婦はどこまで行っても同レベル。
どんなに私は正しい、あいつは間違っているといっても、いやいや同じだよというところにまず気づきを持つこと、自分が正しいという場所から卒業するということが大事です。
一人ぼっちでは生きていけないし、経営者は一人で成功する人はいない。夫婦でなくても必ず誰かと一緒に経営をすると思います。その時に、俺は正しいと言った瞬間に、周りが間違っているになりがちです。俺もお前も正しいという、つまり今までのやり方を捨てて、相手と新しいやり方を作ることにコミットしない限り喧嘩が続くということを体感しました。
坂本:大事ですよね。大事だけれどなかなか難しいと思います。どうしても最初は自分のやり方が正しいと思いますしね。特に夫婦となると、仕事だけじゃなくて家庭の部分でも、例えばごみの捨て方で私の方が正しいとかいろいろなりますよね。
金子(佳):だいたいそれがきっかけに喧嘩が起こって、後で冷静に考えるとなんで喧嘩を始めたのかすらも忘れてしまっている。最後はもともとのきっかけは何でもよくて、とにかく相手に勝つことだけが目的になってしまうという。その愚かなことを何度も何度も繰り返していました。
あるときに、相手も話を聞いてほしいんだなとしみじみと感じたことがありました。話し合いを重ねた結果ですが、その時をきっかけにお互いに話を聞けるようになりました。
その効果たるや絶大なもので、これまで結婚してから何年かかってもまとまらなかった話が、お互いに話を聞き合うことができるようになって、15分くらいでまとまるようになりました。話を聞くことは人生の貴重な時間を大切にすることだと感じました。
喧嘩という無益なことに費やしてしまうのか、お互いに生産的な会話をするのか。経営ですから生産性という話に置き変えると、全く違うレベルの生産性を実現できると感じました。
坂本:それだけ長くいざこざがあったものが、たった15分で解決するというのはすごく大きいですね。
禰覇さん今までのお話を聞いていかがですか。
禰覇:めちゃめちゃ勉強になりました。いろいろお話を聞いていると、自分の中にもそういう概念や思い込みがすごくあるので、それをまず外すことが何より大事なのかなと感じました。
坂本:夫婦関係はどうしても自分の我を通すということが出てきますが、そこを1歩引いて、相手がどのように思っているのか、どういう未来を作りたいのかというところをしっかり聞いてあげて、そのうえで正しいものを作っていくことが大事だなと思いました。
ありがとうございます。
中田:最高の夫婦のミーティングが最高の経営者会議になっているということで、今日はいろいろ教えていただきました。お時間があっという間で、次回もまた引き続きお迎えしたいと思います。
改めて坂本先生、禰覇さん、そして金子佳久さん、弥生さんありがとうございました。
金子・坂本・禰覇:ありがとうございました。
次回:【第95回】坂本憲彦のラジオ起業塾「「夫婦で会社経営をするメリットと強み」マナビスタ(株)金子佳久社長、弥生社長」
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