ラーメン屋開業、低予算の資金で始める方法。初めての起業でラーメン店を立ち上げるには?
ラーメン店の開業資金は本当に1000万円必要? 実は300万円、多くとも500万円以下の開業資金でラーメン屋を80店舗以上、開業させてきた人がいます。
店の大きさや立地などによっても大きく変わってきますが、15坪程度のラーメン店(20席前後)でも1000万円は用意したほうがいいとは言われます。
ですが、やり方によってはもっと開業資金を抑えて低予算でも独立開業は可能というのは冒頭のとおり。
開業資金を少なくできれば、その分、リスクは減ります。初めての起業でラーメン屋を始めるなら低開業資金で始めるのがお勧めですし、それを望む人も多いでしょう。
そこでこの記事では、できるだけリスクを抑えて低予算でラーメン屋を独立開業するためにはどうしたらいいか、それをお伝えします。
はじめてのラーメン屋開業でこんな人に向けた記事です
なお、前提として
- はじめての独立開業
- 店で働くスタッフは自分1人、もしくは自分以外にもう1人
- 店の大きさは15坪程度(20席前後)
を想定しています。
初めての起業であれば、たいていの人にとってこのくらいの規模感がお勧めですので、このような前提にしています。
今回の内容は、
- ラーメン屋を84店舗開業させてきた
- 低予算での開業(220万円で開業したことも)
- 不動産デベロッパーの経験
- 自身もラーメン店、パン屋、コンビニの店舗経営に携わる
という経験豊富な株式会社メントレプレナージャパン代表取締役の矢田裕基さんと、
- 起業家、経営者教育のプロとして20年で1万人以上を指導
- 元銀行員として中小企業に融資してきた
という立志財団理事長の坂本憲彦による「坂本憲彦のYouTube経営塾」の動画をベースに作成しています。
ラーメン店の開業資金に1000万円は本当に必要か?
冒頭でもお伝えしたように、小さなラーメン屋でも1000万円を用意すると言われることがあります。
例えば、中小機構などのサイトを見るとこうあります。
事業形態により異なりますが、一般的には店舗の内装費や看板などの外装費、厨房設備費などを含めて概ね800万円から900万円ほどは必要となります。また、これ以外にも運転資金として、従業員に払う給料や毎月の家賃、チラシなどを作成するための広告宣伝費などで毎月100万円程度の資金が必要となり、合計で1,000万円程度の資金が必要になることが分かります。
https://j-net21.smrj.go.jp/qa/startup/Q0091.html
ですが、やり方によってはもっと開業資金を抑えることはできます。
実際に500万円以下の開業資金でラーメン屋を開業させているのが矢田さんです。
しかも、これまでに矢田さんが開業に関わったラーメン店の数は80を超えますから、たまたま低予算でできたというわけではありません。
本当にそんなに安くできるのかと思うかもしれませんが、開業資金220万円ではじめたラーメン屋もあります。
220万円というのはかなり恵まれた条件だったからというのはありますので、努力すれば誰でもというわけにはいかないとは思います。
ですが、開業に1000万円もかけなくても十分、ラーメン屋の開業はできます。
初期投資を早く回収するのが鉄則
最初にたくさんお金をかけてしまうと、回収までに時間がかかり、リスクが高くなります。できるだけ早く最初に投じたお金を回収するのが鉄則です。
では、初期投資を回収する期間はどのくらいの期間を目安にすればいいのでしょうか?
できれば、1年で初期投資分を回収できるように開業するのがいいでしょう。
そのためにも、できるだけ開業資金は安くするのがいいわけですが、なんでもかんでも安くできるとは限りません。妥協できない点もあると思います。
なかなか難しいところではあると思いますが、自分が大切にすること、価値観、なぜラーメン屋をやりたいかなどは明確にしておくと進めやすいです。
自分にとって何が重要かを元にメリハリをつけられれば、お金をそこまでかけなくてもいいところ、お金をかけるところがはっきりしやすくなります。
ラーメン屋の開業で使う資金の内訳は?
開業資金は大きく以下のような内訳です。
不動産
初期費用(礼金や保証金など)、最初の家賃など。
内装・外装
店内の床、壁、客席や外壁、看板など。
設備
厨房、食器類、空調、レジなど。
運転資金
ある程度先までの人件費(自分の生活費含む)や水道光熱費など。
細かく見ていけば、例えば、冷蔵庫、製氷機、ガス設備、炊飯器、寸胴、その他調理機具などたくさんあります。
ラーメン屋の店づくりを低予算で済ませるには
初期費用の大きな割合を占めるのは、一言で言えば店作りです。
言い方を変えると、立地(賃料)と設備が初期費用の多くを占めることになります。
設備に関しては、もともとラーメン屋を始めるにあたって必要な設備が備わっている居抜き物件を選ぶと低コストで店作りを進めていけます。
居抜きは、もともとラーメン店だった物件を借りて、それまでの設備を再利用するというやり方ですね。
もちろん、単に居抜きであればいいということはなく、立地も重要で駅前などのいわゆる一等地は避けます。
「一等地の立地のいいところを選ぶんじゃなくて、避ける? それで大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、問題ありません。
ラーメン屋を低予算で開業するならこんな立地の店舗を選ぶ
では、どんな条件で店舗を選べばいいのか(最初にお伝えしたとおり、低予算という前提です)。
ポイントは居抜きと立地でした。
立地は一等地は避け、「三等地」を狙います。
駅前などの好立地ならお客さんは来やすいでしょうが、それはコストを上回るほどのものか? という点を考慮する必要があります。
確実にかかると分かっているコストが大きくなれば、リスクも大きくなります。
開業にはそれなりのお金がかかりますから、一店舗目の開業は特に慎重にするのがいいと思います。
ちなみに三等地というのは一般的な用語ではありません。
ラーメン屋は三等地で開業する
三等地とは具体的にはどんなところかというと、
- 片側一車線の県道・市道・バス通りなど
- ある程度の視認性
- 車を入れやすい駐車場がある(席数の半分の台数が置ける広さがあるとベター)
- 遠くからも目につく視認性がいいところ
といった条件に当てはまる場所です。
そうした場所で居抜き物件を狙っていきます。
もしかしたら、居抜き物件なら一等地でも最初は費用が抑えられるのでは? と思うかもしれません。
ですが、造作譲渡金という名目で店の設備に対する対価を要求されてしまい、居抜きなのにあまり安くならないこともあります。
それどころか、ほとんど使い物にならないような設備に対しても造作譲渡金を要求されることすらあります。
三等地での居抜き物件の選び方はこちらの記事でより詳しく解説しています。
物件選びにどれくらい時間と手間をかける?
良い物件を見つけることがラーメン店開業にはかなり重要なウェイトを占めます。
何もないところを借りてお金をかけて開業するとリスクが大きくなるというのは先ほどもお伝えしたとおりです。
なので、居抜きを狙うのは必須とも言えますが、すぐに居抜き物件が見つかるとも限らないのが現実でしょう。
つい妥協してしまって居抜きではない物件で始めてしまう人もいるのですが、失敗の元になりかねません。
ちなみに、飲食店は1年で3割強、2年で約半分が倒産しているとも言われます。
出店開業をサポートしている飲食店.comの調査によると、同サイト運営のデータから1年以内で約4割、3年以内で約7割のラーメン店が閉店していたことが分かっています。
2015年に出されたデータではありますが、今も同程度とみても大きくずれることはないと思います。
参考:飲食店.comの調査
店がつぶれてしまう理由はお金が回らないから、というのがほとんどでてす。
ですから、少し探して見つからないくらいで妥協してしまうと痛い目にあいかねません。
とはいえ、延々と探し続けるわけにもいきませんから、1つの目安として半年くらいは物件選びの期間を見積もっておくといいと思います。
また、会社員の方であれば、少なくとも店舗が決まるまでは会社を辞めないようにしましょう。
収入が途絶えてしまうと、焦りから物件選びに時間をかけられなくなる可能性があるためです。
ラーメン屋開業の資金を融資で用意するときの注意点
ラーメン店の開業資金は自己資金でまかなえるから融資は考えない、借金はなんとなくイヤだという人もいると思います。
ですが、借りられるなら借りておくのがベターです。
当然、どこでもいいからとにかく借りるということではありませんから、金融公庫などで良い条件で借りられるなら、です。
ただ、これからラーメン屋を開業するの人の多くは融資にあまり馴染みがないものと思います。
なので、知っておくと良いポイントを3つまとめておきます。
- 創業時は融資が通りやすくお金を借りやすい
- 黒字倒産でも手元にお金がないと倒産する
- 借りたお金は必ずしも使う必要はない
融資に関してより詳しい内容はこちらを参考にしてください。
リスクについてはできるだけ知っておいたほうがいいと思いますので、ここでは主に黒字倒産について触れておきます。
黒字でも倒産する現実
黒字なのに倒産? と思う人もいるかもしれませんが、倒産した会社のうち約半数が黒字倒産というデータがあります。
例えば、東京商工リサーチの調査で以下のように報告されています。
倒産企業340社のうち、営業黒字企業の割合は前々期63.5%(216社)→前期57.0%(194社)→最新期50.0%(170社)と減少をたどり、業況は悪化を強めている。
2020年「倒産企業の財務データ分析」調査
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210330_01.html
ラーメン屋や飲食店に限った話ではないのですが、黒字でも倒産するということがよく分かると思います。
たいていの場合、他社への支払いができなくなった時点で倒産となります(支払いさえできれば、赤字でも倒産とはなりません)。
売上は立っているものの、手元に現金が届くまでに時間がかかってしまい、支払いが間に合わなくなって倒産、というケースはめずらしくありません。
なので、手元にある程度は現金を置くことが重要になってきます。
自己資金だけで開業資金がまかなえるからいいとだけ考えていると、思わぬ落とし穴が待っていることもあります。
お金は借りたいときに借りられるとは限らない
現金がたくさんあって困ることはまずないですから融資が得られるのであれば、借りておくのは有効な手立てです。
あとから急に必要になってもお金を借りられるとは限りません。
むしろ、最初よりも借りるハードルが高くなり、借りにくくなります。
銀行にしてみれば、融資したお金が返ってこなくなるリスクが高くなるわけですから、なおさら借りにくくなります。
ですから、創業時に融資を受けられるなら受けておくのがベターというわけです。
まとめ
以上、できるだけ少ない開業資金でラーメン屋を開業するための方法、指針をお伝えしました。
この記事では、ノウハウ的な部分を中心にお伝えしましたが、重要なのは自分がどんなラーメン屋を始めたいかでしょう。
そうした根本的な部分がないと、何かあったときに諦めてしまいがちです。
なんとなくラーメン屋をやってみたいでうまくいく人もなかにはいると思いますが、記事内でも触れたように実際、1年以内で約4割、3年以内で約7割のラーメン店が閉店している現実があります。
逆風にも耐えて経営を軌道に乗せている人たちは、少なからず自分の芯がしっかりとしている人たちです。
「なんでラーメン屋をやるの?」と聞かれて、すぐに明確な答えが出てくるような人とも言えます。
もし、自分の中にそうした芯になるようなものがあるか不安、もう少し起業するための方法などを知りたいという場合には、こちらのセミナーに参加してみてください。
また、今回の内容はこちらのYouTubeでも話していますので、こちらも参考にしてみてください。