より良い経営者の8つの条件

自分のビジネスを成長させるため、より良い経営者を目指そうと志ある方なら誰しも思われるでしょう。

『7つの習慣』然り、経営者のための名著は数多くあり、インターネット上にもたくさんの記事が存在します。

それらの著書や記事を読み集約していくのはなかなか骨が折れると思います。では、より良い経営者に必要な条件は何か。

今回は1万人以上の経営者を指導してきた坂本憲彦氏に、「より良い経営者の8つの条件」をお話いただきました。

この記事を皮切りに、あなたが更に伸ばしていくべきポイントを見つけ学びを深めていくきっかけにしていただければ幸いです。

スピードある決断力

正しさよりも早さが大切

経営者に求められるものの筆頭に挙げられるのが「決断力」です。それは意思決定こそが経営者の仕事であるからです。

「やる」「やらない」、「進む」「戻る」といったことを短期、中長期的な尺度で決断しなければなりません。

決断力において重要なのは「スピード」です。早い決断は正しい決断に勝ると考えて良いほど重要になります。

決断にスピードがなければ来たるべきチャンスを生かすこともできませんし、迫り来るリスクを回避することもできません。

仮に決断を誤ったとしても、修復可能なうちに軌道修正すれば良いのです。それもまた決断です。

決断するための指針を持つ

決断を早く下すためには、指針となる判断基準を持つことが大切です。

もっとも大きな基準で言えば、なんのためにビジネスを行うのかという「志」「経営理念」です。

これに沿うかどうかがまず大元の判断基準とすることができます。さらに下に落とし込んだものが「行動指針」です。

社員がその企業において何を指針にして動くべきかを示したものです。これらはただ掲げているだけでなく、経営者が決断をブレなく行い、社員もまた迷いなく行動できるようにするためのものです。

今のあなたのビジネスにおける判断基準は何か、再度見直してシンプルにしてみましょう。スムーズな決断をする精度をあげられるでしょう。

ビジョンを形にする実行力

行動量が多い

経営者には「実行力」がなければなりません。経営者における実行力とは描いたビジョンを形にする力をいいます。

実行力のある人の特徴はひとえに「行動量が多い」ことです。まずビジネスを立ち上げるためには行動量を上げなければスタートしませんし、軌道にも乗せられません。

絵に書いた餅で終わらないよう、特に初めは行動量を上げて実行に移していきましょう。

能力ある人を使う

ビジョンを形にするためには一人だけでは叶わないことがたくさんあります。なので立てた計画をチームで達成する必要があるのです。

つまり、実行力とは「人を巻き込んでいく力」も含まれているのです。ここが個人事業主か経営者かの別れ目とも言えます。

実行力のスピードを上げていくためには、「自分より能力の高い人」の力を借りれるかが鍵となります。

例えば自分にないITスキルといった技術や営業力を持っている人材を味方にできるか、適正を見極めて役割を細分化できるかというチームマネジメント力が大切です。

能力ある人を巻き込んで実行力を上げていくために、経営者としての事業を行う志や計画を示して、自身も行動量を上げていきましょう。

2つの責任感

組織のトップに立つ以上、起こったことに対する責任を持てなければなりません。責任を取れない経営者は決して顧客にも社員にも信頼されることはありません。

責任感のある経営者の理想としては司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』にも登場する大山巌が挙げられます。自身が部下の行動の責任を負う姿勢が描かれています。こちらも参考にしてみて下さい。

では、よく言われる責任感とはどのような態度で示されるのでしょうか。求められる責任感は大きく2つに分けることができます。

結果責任

1つ目は売上、利益といった数字に対する結果責任です。自身が代表者として組織、事業を動かすのですから実際の結果に対する責任は真摯に受け止めなければなりません。

これは言うまでもないかもしれませんが、売上が立たなければ自身の経営力の結果であるという自覚をしっかりと持って対策をしましょう。

社員の働き方が悪いからと唾棄するのは論外で、人を動かすことが経営者としての責任です。

説明責任

2つ目は説明責任です。掲げる目標数字や結果の数字について、どうしてこの数字なのかを社員に対して説明する責任が経営者にはあります。

例えば給料の上下についてもそうで、どういった理由でその評価なのかという透明性を示さなければいけません。

また、顧客を始めとしたステークホルダーに対しても説明責任を持つ必要があります。でなければ価格の適正さにも疑問を持たれてしまいます。

理由を明確にせず、ただ高い目標を押し付けるだけでは社員はついて来ず不満がたまるばかりです。

「やりがい」といった漠然とした言葉で済まさずに、なぜその数字を追う必要があるのかを共有して、一丸となって働くためにも説明責任を果たしていきましょう。

現状を知る数字力

経営者として数字を見る能力がなければ事業を動かしていくことはできません。

お金のためだけに事業をするわけではないですが、これは必須の能力です。でなければ、利益を社員や顧客、地域社会に還元することもできません。

経営における数字を見る力とは、起業を車とすればスピードメーターのようなものです。自分たちが今、どう進んでいるのかを知る指標になるからです。

車を運転するとき、スピードが早すぎては事故になってしまい、かといって遅すぎてもいけませんよね。進んでいる道によってスピードを見極める必要があり、それによって上手くハンドルも切れるのです。

なので、最低でも月次で損益を計るようにしましょう。多いところでは週次、日次でもやっていますよね。

数字を見るために、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフローの3つは必須です。

とはいっても数字を扱うのがどうしても苦手という人はいらっしゃいます。そんな方にはゲームで楽しくお金の動きを学んで行けるマネープランナー®ゲームがオススメです。

ぜひ参考にしてみて下さい。

周囲への感謝力

経営者は常に周りの人に感謝できる感謝力がなければなりません。上手くいけば人のおかげ、上手くいかなければ自分の力不足くらいの謙虚さを持つようにしましょう。

周囲への感謝ができずに自分の成果と傲っていると、いつしか信用は薄れしっぺ返しを喰らうことになります。

特に事業が軌道に乗ってきたときに慢心は起こりやすくなります。なぜなら事業の規模に比例して起こる問題も大きくなるからです。自分のいつも目の届く範囲にも限界が出てきます。

大きな問題に対処するためには、人の力を借りないと無理ですよね。だからこそ常日頃から周囲の感謝を忘れてはならないのです。

いつでも自分が生かしてもらっている自覚を持って経営に臨みましょう。

戦略と戦術に精通している

より良い経営者になるためには「戦略」と「戦術」の両方に精通していると尚良いでしょう。

「戦略」は大きな計画なのに対して「戦術」はそれを実行するための具体的な道筋をいいます。

経営者は全体を見て決断を下し専門スキルのある人を配置するのが仕事ですが、自身もまた「戦術」を分かっているに越したことはありません。

つまり、現場をよく分かっている経営者であるかということです。よく、「現場感がない」と経営者が揶揄されることがありますが、自分が現場で経験を積んだことがあるならば、その立場の事情も汲み取ることができます。

ただし、知っているからといってもあくまで現場には現場の人員がいますので、ボトムアップの意見を尊重しながら決断を下し信頼関係を築きましょう。

人を回す制度作り

経験の浅い人でも働ける環境を

事業規模が大きくなってきたら、システム化が経営者には求められます。つまり、効率化を計るための社内的取り組みです。

ペーパーレス化が遅れているために判子をもらうために会社に戻るといった「仕事のための仕事」が発生しスピードが遅くなっていないかといった、働きやすい環境づくりに目を向けていきましょう。

先ほど、自分よりも有能な人を使うことをポイントとしてあげましたが、効率化においては経験の浅い人でも仕事を回していける仕組み作りが求められます。

そのために社内の教育やマニュアル化などが必要です。何でもかんでも見て覚えろではなく、成長途中の人でも回していける仕組みを考えてみましょう。

ゼロベース思考で仕組み作り

そういった仕組み作りを作るのは容易ではありませんが、既存のあり方は壊しにくいからこそ「ゼロベース思考」がポイントになります。

今の仕組みを一旦ゼロとしたらどんな風に組み直すかという視点で考えるのです。そうすることで、とらわれていた仕組みから脱却する糸口が見つかるかもしれません。

事業の成長と並行して社内システムの見直しも怠らずに行っていきましょう。

用心深さを併せ持つ

最後にお伝えする良い経営者の条件とは「用心深さ」です。「決断には早さが大事」と言ったのに用心深さを持てというのは矛盾を感じるかもしれません。

しかし、慎重になることはマイナス予測=リスク管理ができるということです。リスクを予め察知する悲観的な見方もできるからこそ、問題を先に潰したり対応を素早く行ったりすることもできるのです。

これは「建設的パラノイア」と言われ、経営者にとっての名著『ビジョナリー・カンパニー4』にも登場します。

早い決断を下す大胆さと、リスク管理を忘れない用心深さの両面を常に持ち合わせるように心がけましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。より良い経営者に必要なポイントを8つに分けて紹介してきました。

「決断」「責任」など多くのことが耳にタコができるほど聞いた言葉ですが、それを芯に行動に移すのは簡単ではありません。

なぜ、それらの力が必要なのかを理解して日々、実践していきたいですね。

下記の記事では、坂本憲彦氏オススメの経営者向けの名著を紹介しています。こちらもあわせて学びを深めるきっかけにしてみて下さい。

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