【創業融資】据え置き期間の効果と注意点、メリット・デメリットは?
据え置き期間というのは金利だけの支払いでOKな期間のことを指します。
本記事では、元銀行員として融資に関わってきた立志財団代表の坂本憲彦による監修を受けた解説記事であり、
- 創業融資の据え置き期間とは?
- 据え置き期間を設定するメリット・デメリット
- 据え置き期間の適切な設定方法
といった内容をお伝えします。
また、個人経営の店舗や事務所などを始めたいといった1人〜数人で開業できる規模感を想定した内容です。
上記について、金融機関での融資相談経験を持つ筆者が詳しく解説しています。
創業時の資金繰りは誰もが不安を感じるものですが、据え置き期間を上手に活用することで、より安定した事業運営が可能になります。
創業融資における据え置き期間とは?
冒頭でもお伝えしたとおり、据え置き期間とは利息だけを払えばいい期間です。
この期間中は利息のみの支払いで済むため、事業が軌道に乗るまでの資金的な余裕を確保できます。
事業開始直後の資金繰りを支援する制度といえます。
例えば、飲食店を開業する場合、店舗の内装や外装の費用、初期仕入れなどの支出が重なりますし、開業直後は売上が安定しないことが多いものです。
据え置き期間を6ヶ月から1年程度設定することで、その間の元金返済を先送りにし、集客や運営体制の確立に注力できます。
ただ、あくまで支払いを後ろにずらしているだけですので、据え置き期間を設けない場合よりもトータルの返済額は増加します。
以下で据え置き期間のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
据え置き期間のメリットとデメリット
創業融資における据え置き期間には、事業の立ち上げ期に資金的な余裕を持たせられる利点と、総支払額が増える欠点の両面があります。
この制度を活用することで、事業が軌道に乗るまでの期間は元金返済を先送りにできるため、初期投資や運転資金の確保に集中できるメリットがあります。
例えば、飲食店を開業する場合、内装工事費用や仕入れ資金など、開業直後は多額の支出が必要になります。
一方、融資を受ける際に決まる返済期間のなかに据え置き期間は含まれますから、元金が減らない期間がある分、トータルのでの返済額は増えます。
以下で、据え置き期間を効果的に活用するためのポイントと注意点をより詳しく解説していきます。
据え置き期間のメリットを活かす方法
創業融資の据え置き期間を効果的に活用するには、綿密な「返済計画」の立案が不可欠です。
開業から6ヶ月程度は売上が安定しないケースが多いため、この期間を据え置きにすることで資金的な余裕が生まれるでしょう。
事業計画書には、月次の収支予測を最低でも3年分作成することをお勧めします。
据え置き期間中は利息のみの支払いとなるため、運転資金の確保がしやすい点がメリットです。
ただし、据え置き期間終了後は元金返済が始まるため、その時期までに確実な収益化を目指す必要があります。
損益分岐点を見極めながら、資金繰りの計画を練ることが重要でしょう。
早期に黒字化できた場合は、繰上返済も視野に入れた柔軟な対応が可能です。
据え置き期間のデメリットに注意
据え置き期間のデメリットとして、返済総額の増加が挙げられます。
日本政策金融公庫の創業融資では、最長12か月の据え置き期間を設定できるものの、この期間中も金利は発生し続けるでしょう。
例えば、融資額1000万円で年利2.5%の場合、据え置き期間12か月を設定すると約25万円の追加金利が必要になってしまいます。
また、据え置き期間終了後は毎月の返済額が通常より高くなる点にも注意が必要です。
事業計画が想定通りに進まなかった場合、返済負担が重くのしかかることも。
さらに、据え置き期間があることで返済期間が長期化し、借入金の心理的負担が長引くというリスクも存在するのです。
据え置き期間を設定する際のポイント
据え置き期間は申し込む際に期間を希望することができます。
適切な据え置き期間を設定することで、事業の立ち上げ期に資金的な余裕を持つことができ、安定した経営基盤の構築が可能になります。
据え置き期間の長さはどれくらいがいい?
創業融資の据え置き期間は、通常6か月から1年が一般的です。
公庫では以下のように設備資金と運転資金で分かれており、最長で5年です。5年というのは、あくまで最長です。銀行の感覚からすると据え置き期間5年はだいぶ長いです。
公庫の据え置き期間
●運転資金
20年以内<うち据置期間5年以内>
●設備資金
10年以内<うち据置期間5年以内>
「キャッシュフロー計画」を綿密に立て、事業の特性に合わせた期間を選択するのがベストな方法です。
据え置き期間が長すぎると総支払い利息が増加するため、慎重な判断が必要となります。
事業が軌道に乗るまでの期間を見据えた返済計画を立てることで、安定した経営が可能になるはずです。
返済計画のシミュレーション
返済計画のシミュレーションでは、借入額と金利、返済期間を具体的に設定することから始めましょう。
なお、据え置き期間も返済期間に含まれます。
例えば、返済期間が5年で据え置き期間が半年の場合、最初の半年は金利のみの支払い、残りの4年半で元金と金利を返済をしていきます。
据え置き期間が終わると今までなかった出費が増えることにもなりますので、キャッシュフローにも注意です。
シミュレーションは公庫が用意している「事業資金用 返済シミュレーション」が使えます。
ただし、シミュレーションの際は売上予測や運転資金の推移も考慮に入れる必要があります。
事業計画の収支予測と照らし合わせながら、無理のない返済プランを立てることがポイントとなるでしょう。
金融機関との交渉時には、具体的な数字に基づいた説得力のある返済計画を提示できれば、融資実行の可能性が高まります。
据え置き期間は延長できる?
結論からいうと不可能ではありません。
事業の収益状況や返済計画に応じて、延長が認められるケースもあるでしょう。
ただし、延長申請には経営状況や財務内容の詳細な説明が必要となりますし、具体的な事業計画と返済スケジュールの提示が求められます。
延長が認められない場合は、返済条件の変更など代替案を提案されることもあると思います。
事前に金融機関と綿密なコミュニケーションを取ることがポイントです。
まとめ
以上、創業融資の据え置き期間に関してお伝えました。まとめると以下のようになります。
- 据え置き期間とは金利だけの支払いでいい期間
- メリットは事業の初期に出て行くお金が少なくなること
- デメリットは、据え置き期間の終了とともに急に出費が増え、全体の支払総額が上がること
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