子供のお金の教育『10歳から親子で学ぶ はじめてのお金の授業』

『お金の教育』と聞いて、どんなことをイメージされるでしょうか?

日本ではお金に関する教育カリキュラムがほとんどないため、お金を学ぶということに対してピンとこない方が多いかもしれません。ですが、海外では幼稚園から金融教育を行っている国もあり、お金についての勉強は当たり前に行われています。

お金の教育が遅れている結果、日本人は金融に関する知識やお金との付き合い方について適切に判断する能力が低く、お金に振り回されてしまう人が多い現実があります。

お金について親子で話すことは、子供が将来お金に困らない大人になるためには大切なことなのです。

今回は、住宅ローン会社と保険会社で勤務ののち、ファイナンシャルプランナー事務所を設立してお金の相談サポートを行っている、堀口実氏にお話を伺いました。

堀口氏は、お金の仕事に35年携わってきた実績と、小学校でお金の授業を10年以上行っている経験を活かし、現在『10歳から親子で学ぶ はじめてのお金の授業』を開講されています。講座に参加した体験レポートも交え、お金の教育についてお伝えします。

 

堀口実

株式会社エム・スタイル 代表取締役

◆保有資格
・ファイナンシャルプランナー(AFP)
・上級相続診断士
・宅地建物取引士
・住宅ローンアドバイザー
・生命保険、損害保険販売資格

大学卒業後に住宅ローン会社に10年勤務、営業から債権回収業務まで一通りを経験し外資系保険会社に転職、ライフプランを学びファイナンシャルプランニングを提唱する。ファイナンシャルプランナー事務所(株)エム・スタイルを設立しお金の相談サポートを別事業として開始、金銭教育、相談サポートなどを行う。保険会社から独立して保険代理店へ移籍、保険、FP歴は25年。お金に関わり通算35年の実績を持つ。

2006年からの小学校でのお金の授業歴は10年以上。
小学生の授業から、百貨店でのマネーセミナー、相続セミナー、ハウスメーカーでの資金セミナーとセミナー歴20年わかりやすい例えで定評がある。

 

子供にお金の教育が必要な理由

お金の学びは生きる力

世の中はお金が全てではありませんが、生活をするうえではなくてはならないものです。

生活をしていくための基礎である“衣食住”を整えることにもお金は必要です。

とても身近であらゆるものに関わる存在なのですが、日本人はお金に対して「汚いもの」「卑しいもの」としてネガティブに扱う風潮があります。

実際、お金をだまし取る詐欺事件は毎日のようにニュースで流れ、お金のせいで人生が狂ったという人もいます。日常にあるトラブルはお金が原因となっているものも多いため、お金に対してネガティブなイメージを連想してしまうようです。

その悪いイメージから、“子供に悪影響を与える”と、子供の前でお金の話をすることはタブーにされる傾向があります。「子供にお金の話をするなんて・・・」と、子供にはお金のことを考えさせず育ててあげることが親としての役割だという方もいらっしゃるでしょう。子供を大事にする親の想いではありますが、逆に考えると、生活に大きく関わるお金のことをきちんと知らずに大人になっていくことになります。

親が生きている間は生活に困ることはないかもしれません。ですが、子供が生きるために必要な一生分のお金を残してあげることはできません。そして、お金の正しい知識を持っていなければ、騙されてお金を取られてしまったり、悪の道に手を染めてしまうかもしれません。

子供が自立して生活ができるようにするためにお金の知識が必要なのです。

 

お金にネガティブなイメージがあることで、子供に話をすることを避けてしまいますが、そもそもお金自体には良いも悪いもありません。人を騙してお金を集めれば犯罪になりますが、コツコツ働いて収入を得たり、お金を上手に運用して増やすことは悪いことではありません。

お金は生きていくうえでのただのツールでしかなく、その使い方によって良し悪しが出てくるのです。

 

お金の正しい知識や使い方を子供のうちから身に付けておくことで、お金と正しく付き合い振り回されない大人になることができます。

お金を勉強するとは、単に損得を考えたり、ケチくさくなったり、お金儲けの方法を学ぶことではありません。自立して正しく生活できる力を身に付けることなのです。

 

お金の常識は変化する

時代によってお金の常識は変わります。親世代、祖父母世代の常識は現在では通用しません。

 

“給料が出たら、あるお金を全部使って飲んで遊ぶ。貯金はない。”

それでも、バブルの時代は生きることができました。銀行にお金を預けさえすれば10年で2倍近く増えるという夢のような時代もありました。お金の使い方を深く考えなくてもよかったのです。

しかし今は、当時に比べ給料は減り、老後の年金もあてにならず、銀行に預けてもほぼお金は増えません。自分でお金を上手く使う方法を考えなければならない時代になりました。

また、お金のかたちも変わりました。昔は現金でのやり取りだけでしたが、今はクレジットカードで手元にお金がなくても支払いができます。さらにここ数年でキャッシュレス化が進み、大人だけでなく子供も、現金ではなくカードなどで支払いができるようになりました。昔は手元にあるお金が無くなれば物が買えなくなりましたが、今は現金がなくてもカードをかざすだけで物が買えたり電車に乗れてしまう時代なのです。

 

お金についての知識が必要な時代と逆行してお金の存在が希薄になり、消費の感覚が薄い子供が増えています。お金の扱い方や価値が分からないまま大人になってしまうと、お金を上手くコントロールできず、生活に苦労をすることになりかねないのです。

 

お金の教育を始めるのに適したタイミング

大人が思っているよりも子供は理解する

大人の目線から考えると、「子供にお金の話をしても分からないだろう」「難しいだろう」と先入観を持ちがちです。しかし、子供は感受性が豊かであるため、きちんと説明をすれば子供なりに理解をしてくれます。

 

堀口氏は10年以上小学校でお金の授業を行い、5~6年生にもなれば多くのことを吸収できると感じています。

授業の中では、お父さんお母さんが務めている会社と銀行の関係、会社が作った商品やサービスがどのようにお金になるのか、そしてそのお金が給料として家に来て、そのお金から学校代が出ている、といったお金の循環サイクルについて話したり、お金を増やす金利の意味やお金の優先順位、お金と幸せについてなどを伝えています。

それまでは銀行や証券取引所といったお金にまつわる施設を社会見学した後も「お金を作っていて、1億円のお金の束を見てきた」「証券取引所は良く分からないけど数字がパラパラしてた」といった表面的に見たことに学びはとどまっていました。

それが、お金の授業を受けた子供たちは「税金の役割が分かりました」「銀行に預ける金利は景気に繋がる大切なものだと分かりました」といった、お金の仕組みについても分かってもらえるようになったのです。

 

大人が制限をかけずに伝えていくことで、子供は色々なことを感じ、自分で考え、多くのことを学んでいきます。そしてお金を使いこなす意識が芽生えます。

税金や金利、生活費といった知識は社会人になってから初めて触れる人が多いのが日本の現状です。さらに言えば、いい大人でも税金や所得については会社が全て手続きをしてくれているので、自分が支払っている税金の種類や金額さえ理解できていない人も多いです。

お金に振り回されて苦労しないためにも自分に関わるお金の基本は身に付けておきたいところです。

それは大人になってからではなく、小学生からでも早すぎることはないのです。

子供の頃からお金の流れや自分たちが支払っているものについて理解を深め、正しい知識を身に付ければ、お金に対してもっとポジティブに捉えられるようになるのではないでしょうか。

 

子供たちの声

実際に堀口氏のお金の授業を受けた小学生の感想をご紹介します。

お金について学ぶことで子供たちがどのように感じたのか、どのようにメッセージを受け取ったのかをお伝えできたらと思います。

 

・お金をムダにしたり、てきとうに使ったりすると損しかしないことが分かった。お金のことは社会に出てから必ず必要になると思うので今のうちから知っておいた方がいいと思った。

 

・自分の欲望だけでなんでも買うとお金が無くなっちゃうから「必要」と「欲しい」を分けてお金を使おうと思った。

 

・カードを使うと、お金をはらったりする感覚が分からなくなり、使いすぎてしまうので、自分が買う物が本当に必要かどうかを考えながらお金を使いたいと思った。

 

・どのようにお金を使えば幸せになれるのか経済の仕組みを知った。幸せな生活をするためにお金があるのだと思うと、お金を上手く使わなければいけないのだと思った。

 

・お金のしくみを知ることで、世の中の流通や取り引きなどに興味、関心を持てたと思う。

 

・お金をかせぐにはいろいろな工夫しないといけないから、とても大変だと思う。だけど、お客様に喜んでもらえ、何回も来たいと思ってもらえ、売る側も利益がある方が良い。

 

・実際にゲームをして店の大変さやお金のことなどが体験して分かった。売り上げや利益のことも考えて、商品を決めセールスポイントをより良くし、たくさんの人に買ってもらうという努力をしなければいけないと思った。

 

・お金は何に使うべきか、どう使えばいいのかが分かりました。どんなところが良いのかに注目して商品を買うことが大切。今まであまり自分のお金で物を買ったりすることがなかったからこれをきかいに考えてみようと思う。

 

いかがでしょうか?思っているよりも子供たちはしっかりと知識を吸収し、メッセージを受け取り、多くのことを学んでいることを感じてもらえたのではないかと思います。

 

お金の教育の実際

「お金の心配はしなくていいから勉強を頑張りなさい」

多くの家庭では子供にこのように伝えると思います。しかし堀口氏は自分の子供に「お前はお金の心配もしなさい」とお金の教育をしてきたそうです。

実際どのようにお金の教育をしていたのか堀口氏が実践した事例を2つご紹介したいと思います。

 

高校生から携帯料金を自分で管理

堀口氏自身は両親からお金の心配はしなくていいと言われて育ってきました。その結果、本当にお金の心配をしないままに今度は自分自身が親になりました。親になってみてこれはいけない、自分の息子にお金の心配をしなくていいと言ったら本当に心配をしない子に育ってしまう思い、携帯電話の料金を自分で管理をさせることにしました。

携帯料金を滞納すれば信用情報がブラックになり、将来的にカードが作れなくなったり、住宅ローンが組めなくなるリスクがあります。それを踏まえたうえで自分で管理できるのであれば携帯電話を買うと提案をしました。月の料金を5000円とし、1年分の6万円を口座に入れてその中でやりくりをするように管理をさせました。

結論を言うと、時々母親という影の協力者が出てきたたようですが・・・。

一人っ子で甘やかされて育ちましたが、それでも今は家を出て自立し、一人暮らしをしながら自分でやりくりをすることができています。

 

大学の学費は年俸制

大学に行くときには、入学金はいくらかかるのか、4年間で学費はいくらかかるのか全て子供に調べさせました。そのうえでなぜその大学に行きたいのかをプレゼンテーションし、親を納得させられたら学費を払うという条件を出しました。

さらに学費は4年分をまとめてあげるのではなく、年俸制で1年更新です。成果主義で結果によって翌年分は出さないかもしれない、それでも行きたいのかどうかを考えさせました。嫌なことは無理してやる必要はない、やりたいことに対しては最大限協力するという親としてのメッセージを込めています。

息子は大学に入りましたが、単位を落とし留年が決まりました。その時は約束通り翌年の授業料は親からは払わず、奨学金を借りてでも自分で払うようにしました。

 

ただし、この話にはオチがあり、親心が勝ってしまったエピソードが続きます。

 

子供には留年をしたバツとして島流しと称し1年間休学をして留学をするように命じました。バツとは言っていますが、実際のところの意図は就職面接対策です。どうして留年をしたのかと聞かれて何も言いようがないとかわいそうなのでネタ作りのために留学を提案したのです。「なまけすぎて単位を落とし留年したけど、親に拝み倒して、今まで自分がやれなかったことをやろうと思い英語の勉強をしにオーストラリアに行ってきました」って言ったら多少格好はつくでしょって。留学費用は親が出しました。半分嫌がらせでもありましたが、こんなにお金のかかる嫌がらせはないですよね。子供本人は留学をしてよかった様子でした。

 

留学中も子供には自分でお金の管理をさせました。生活費を毎月送金するのではなく、一括で渡してお小遣いの拡大版のようにしました。結果的には自分でやりくりをして余らせて帰国しました。

 

一般的に、就職するまで金銭的なことは親が面倒を見てくれてくれる人がほとんどです。親にお金を出してもらうことが当たり前で、本当の意味でお金の価値やありがたさに気付いていない人が多いように思います。

大学で学ぶためにいくらのお金がかかっているのかを子供自身でも把握することで、親への感謝や、大学での学び自体の価値への気づきにも繋がります。

 

「10歳から親子で学ぶ はじめてのお金の授業」

小学校で10年以上お金の教育に携わり、ご自身でも子供にお金の教育を実践されてきた堀口氏の「10歳から親子で学ぶ はじめてのお金の授業」を受けてみました。その体験レポートをお伝えしたいと思います。

 

子供と一緒にお金を考えるきっかけになる

「子供とお金について話すと言っても何を話せばいいのか分からない」という方が多いのではないでしょうか。自分自身がお金の教育を受けてこなかったのですから当然です。

私にもまだ0歳ですが娘がおり、大きくなったらお金の勉強は必要だと考えています。ですが、実際教えるとなると、そもそもお金の何を教えていいのかが分かりません。そして、セミナーを受けてみて、そもそも私自身がお金についてよく分かっていなかったことに気づきました。

子供の宿題を見てあげることはあっても、親子で一緒に授業を受けることはなかなかないと思います。一緒に生徒になってお金を学ぶことで、同じ目線で、同じ課題に取り組むことができ、一緒に考えることができます。そして学んだ内容をもとに実生活に反映したり、さらに学びを深める内容を親から与えることもできます。

まずは学びのスタート地点が同じであることで子供とのコミュニケーションが取りやすく、日々の生活に取り入れやすいと感じました。

 

大人もお金について振り返ることができる

大人とは言ってもお金についてどれくらいのことを知っているでしょうか?

セミナーではお金の役割や性質、お金のサイクルについて学びます。

ですが、私は日常生活でそもそもお金の役割なんて考えず、当たり前のように収入を得て消費してを繰り返していました。ましてや、お金のサイクルなんて意識はしていません。

そうやって毎日意識せず当たり前のように使っているものだからこそ、あらためてその役割や本質、流れを学ぶとお金の見方が変わり、お金の使い方について考えるきっかけになりました。なぜお金が欲しいのか、どうやって使うのか、お金に対する思考が変わりました。

そして、これから子供にお金の教育をしていく立場の私にとって、とても関心があったことはお小遣いについてです。お小遣いは親から子供にしてあげられるお金の教育の重要な部分になると思いますが、私はお小遣いの方法を自分の両親からしてもらった方法しか知りません。その方法がベストなのかは分かりませんし、そもそもお小遣いはどのような効果を期待して渡してあげることが良いかも分かりませんでした。お小遣いの目的や方法についてお金の専門家に聞けたことは大きな学びになりました。

セミナーが子供も受ける内容だからといってあなどれません。大人でも気づかされることが多く、日常に活かしたい学びができる内容でした。

 

お金と幸せの関係が学べる

幸せの定義は人によって様々ですが、お金をたくさん持っているからといって必ずしも幸せとは限りません。『お金=幸せ』ではないことを頭では分かっていても、幸せは目に見えません。そこで、目に見えて分かりやすいお金を持っているか持っていないかという尺度に翻弄されてしまいやすく、いつの間にか金もうけが人生の目的になってしまったり、お金に執着をしてしまう人が出てくるのだと思います。

大人でもそうなのですから、子供はなおさらだと思います。お金があれば好きなおもちゃが買え、おいしいものが食べられ、遊びにだって行ける、こういった形あるものに目が行きがちになってしまうと思います。

堀口氏はセミナーの中でお金の仕組みだけでなく『お金と幸せ』についても伝えてくださっています。こういったことをきちんと言葉に出して話すことは日常の中でなかなかないことだと思います。目に見えないことだからこそ親子でお金とは何か、幸せとは何か、を一緒に考える経験は子供が将来お金に振り回されて、本当の幸せを見失わないために大切なことだと感じました。

 

 

学校では教わらないお金のこと、さらには幸せについても学ばせてくれる授業は、大人でも学ぶことが多く、親子で受けることでさらに良い学びになると感じました。

 

堀口氏の『10歳から親子で学ぶ 初めてのお金の授業』の詳細とお申し込みはコチラから

https://risshi.or.jp/hajimete_okane/

 

 

セミナーを主催している立志財団は、起業家や経営者の様々なサポートをしており、学生起業家も在籍しています。志ある起業家がお互いを応援し合い、高め合いながら夢の実現を加速させているコミュニティです。

https://risshi.or.jp/