女性経営者が語る「子育てと経営の3つの共通点」(株)ミライLABO白井智子社長

毎週日曜朝9時半から、FM那覇で放送中の『坂本憲彦のラジオ経営塾』。起業家の専門家、坂本憲彦がはじめての起業で成功するために大切なポイントをお届け。沖縄で起業したい人を応援するラジオ番組です。

今回は、子育てをしながら経営者としても活躍されている、株式会社ミライLABO代表の白井智子さんをお迎えしています。子育てと経営の共通点から、なぜ女性が経営に向いているのか、そしてこどもと会社の育て方についてお伝えしています。

こちらの音声は、Podcastよりお聴きいただけます。

動画は、下記YouTubeよりご覧いただけます。

共通点1:壮大なプロジェクト

中田:今日は素敵なゲストにお越しいただいています。株式会社ミライLABO代表の白井智子さんです。女性経営者で、今子育てもされています。“世界をもっとカラフルに”というミッション、“こどもたち一人一人の可能性を信じ応援する”という志のもと、渋谷区内で保育所の経営や多くのプロジェクトを運営されています。

白井さん、ようこそおいでくださいました。よろしくお願いします。

 

坂本:白井さんよろしくお願いします。まず、白井さんがどのようなお仕事をされているのか、自己紹介も兼ねてお話しいただきたいと思います。

 

白井:株式会社ミライLABO代表をしております白井智子と申します。本日はよろしくお願いします。

私は渋谷区で認可外の保育所と小学生向けの生きる力を育むオンラインスクールを経営しております。今5期目を迎え、これまでリアルで約3000組、オンラインで約3500組の親子の方と一緒に過ごしています。

 

坂本:今日のテーマが“女性経営者が語る「子育てと経営の3つの共通点」”ということで、白井さんはご自身も子育てをしながら、仕事でも託児所やこどもの教育というところで子育てに関わっていますし、経営者としても経験を積まれて活動されていらっしゃいます。

女性でこれから起業したいとか、起業したけれどここからどうしていこうかという方も結構いらっしゃいます。女性目線で、子育てと経営のどんなところに共通点があるかをお話しいただけたらと思います。

 

白井:子育てをしながら経営をしているってすごいですね、とよく言われますが、私は女性だからこそ実は経営に向いている、子育てを経験したことがある方は経営もできる、といつも言っています。

まず1つ目の共通点について、子育てというと旦那さんや、どちらかのご両親が手伝ってくれる方もいらっしゃると思いますが、日本の場合はほとんどの家庭でお母さんが一人で子育てをしている、いわゆるワンオペ育児が多いと言われています。そこで、あれもこれもやらなきゃいけない、そっちをやっている間にこっちのことも進んでいて、ということがよくあると思います。実は子育てをしているということはものすごいことで、20年間で約2000万円のコストがかかるプロジェクトを、新卒1年目の子に1人で任せているようなものです。経理もやります、いろんな方針も決めます、自分も新卒1年目なのに人材育成もやります、24時間営業です、交代スタッフはいません、食事を作ってください、食事の買い出しも行ってください、というそんなブラック企業ありますかということです。でも、お母さんたちはそれをやっています。文字通り自分の命を削ってやっていると思いますが、なぜかそれができちゃうんですよね。

これは経営でも全く同じだと思っています。次から次へとやらないといけないことが膨大にあって、気が付くとやれてしまっているというか、やらないといけないのでやれるということですが。

だから共通点というと、とんでもないことを一人でやっているというところです。

 

共通点2:信じて任せてチャレンジ

白井:2つ目の共通点について、まず子供を育てるうえで大事なことが、信じて任せるしかないということです。

まだ小さいお子さんは、全てお母さんがやらなければいけないと思いますが、大きくなってきたら自然と手が離れてしまいます。

中田さんのお子さんはおいくつでしたっけ。

 

中田:大学生で21歳になります。

 

白井:もうそれくらいになると、お母さんの出る幕がないというか。その子がどんな風に頑張っているのか、どんな風に闘っているのか、お母さんが上司に言ってあげる、というわけにはいかないですよね。具合が悪いのね、じゃあお母さんが連絡するわ、というわけにはいかないですよね。信じて任せたうえで、どんどんチャレンジをさせてあげることです。

失敗が嫌だからチャレンジをしないという方が多いと思いますが、それではいつまでも成長はできません。子供たちにはとにかく挑戦をさせてあげる。いつまでもお母さんが抱っこして起こしてあげるわけにはいかないので、転んでも立ち上がれる子に育ててあげる。

仕事も一緒で、経営をしていく、会社を作る、事業を作るとなったら、失敗も想定の中に入れてとにかくまずはチャレンジをして、失敗からいかにリカバリーをしていくかということでしかないと思います。

チャレンジをして、いろいろな失敗をしないことには成長がないというところが会社経営と子育ては一緒だと思っています。

 

共通点3:得意で支え合う

白井:最初に子育ても経営もどちらもすごく大変ですよねというお話はしましたが、もう一つの共通点は、一人でできると思わないことです。

まだ起業していないとか、ちょっと起業するのにためらっている方が私のところにも相談に来ます。その時に「いつまでたっても機は熟さないし、ここから60年経っても自分が完璧な人間になることはないと思いますよ」とお話をします。そしたら70歳になってから挑戦するのか、それとも30代40代のうちにチャレンジをしておくのか、と言ったらなるべく早い方がいいですよね。

チャレンジをする時に、全てを一人でやろうとしたらそれは失敗すると思います。一人で頑張らないといけないところはありますが、どんどん人に頼っていいと思います。得意な人に手伝ってもらって、その分相手の苦手なことを自分が手伝えれば、お互いに得意で支えあうことでいろいろなことがうまくいくと思います。私自身もそうやって何とかやってきた5年間です。

最初に紹介していただいた“世界をもっとカラフルに”というミッションにそのメッセージが込められています。自分の好きや得意で支えあうことができれば世界はもっとカラフルになっていくよね、多様性のある社会をこどもたちと一緒につくっていきましょう、という想いを込めてミッションを掲げています。

 

坂本:子育てと経営の両方をされてきているからこそのお話だと思いました。

禰覇さん今のお話を聞いていかがですか。

 

禰覇:勇気が湧いてくるなと思ったのと、女性こそ経営者に向いているという言葉が結構しっくりきました。子育てをする本能的な部分で、女性はマルチタスクができるといろいろな本にも書いてあって、実際にやってきたという経験談を聞けたので、本当にできるということを改めて実感しました。

 

坂本:女性だからこそできる部分があると思いますが、一人で全部をやると子育てもすごく大変だと思うので、その時に弱音を吐いて周りの人に助けを求められることは大事だと思います。

それは経営も一緒で、僕も昔は一人で全部をやらないといけない、自分は絶対的な存在でいないといけないと思っていました。今はできないことはできないとみんなに言うと、誰かが応援してくれて手伝ってくれるので、そこはすごく共通点を感じますね。

 

失敗をシェアする文化をつくる

中田:私は子育ても終盤、育ってしまっていますが、共感しながらお話を聞いていました。

経営や会社を育てることとこどもを育てるという、“育てる”が共通のキーワードという部分で、チャレンジをして失敗することはこどもももちろん社員も恐怖心を伴うと思います。経営者様として、スタッフがチャレンジをして失敗した時に、どのようなフォローをされていらっしゃいますか。

 

白井:今、従業員は16人いますが、会社の中でクレドという5つの行動指針を大事にしています。

『愛情の土台をギフトします』『違いと対話を楽しみます』『ないものではなく今あるものに目を向けて感謝をします』『喜びを分かち合うことで笑顔の循環を生み出します』『今からまずは自分から始めます』

何かを決める時にも、どんな話し合いをする時にも、何をするにも必ずこのクレドに沿っているかどうかで判断をします。

挑戦をして失敗をした時に、こどもたちのためや親御さんたちのためであれば、その挑戦には必ず意味があります。うちの会社は失敗という考え方はなくて、挑戦の先には成長と成功しかないと言っています。若い子もいるので、いろいろ挑戦をしてやらかすときはやらかしますが、そういう時にはただ責める文化は作らないようにしているので、隠蔽が起こりません。やばいやってしまったという時にすぐに言ってくれるので、誰かしら何かしらのリカバリーができます。その時にこのクレドの読み合わせを大事にしているので誰も責める人はいません。

『今からまずは自分から始めます』というのは、他責ではなく自責の人間でいますということを優しい言い方で表しています。誰か一人がミスした時には、「ごめんなさい私がチェックしなかったから」とか「私も全然気づかなかった」とみんなでごめんなさいを言う文化です。これも子育てと一緒です。ごめんなさいと思った時にそれが出るのであって、ただ「ごめんなさいを言いなさい」と言うのも意味がないじゃないですか。

挑戦をしてもらわないことには会社が成長できないので、挑戦をして失敗した時に空気をどうやってつくっていくかは気を付けています。

例えばパートのママさんが、「こどもが熱を出しました、明日出勤できないかもしれないです」という時には、全員が見ているチャットに連絡をします。そこでまず上司の人は「大丈夫ですよ、お子さん大丈夫ですか、ママも看病大変だけど頑張ってね」という言葉を必ずかけることにしています。そうするとママさんの申し訳ないという気持ちが少しやわらぎます。メンバーの人たちにはとにかく自由にどんどん挑戦できるように、という空気感をつくっています。

 

坂本:隠蔽がおこらないように文化を作っていることがすごく大事だと思いました。組織や会社はお客様からのクレームやトラブルがあった時に、どうしても言いたくないし隠したくなるので、それをみんなでシェアして解決をしていることはすばらしいと思いました。

 

白井:これはお母さんの経営者だからあることだと思います。

 

坂本:お母さんはすぐに怒るイメージがありましたが、そうではないんですね。

 

白井:お母さんは怒るけれど、最終的にはハグをしてくれると思います。最後は守ってくれるというか、そこは大事にしていますね。結局、私自身が完璧な人間ではないということを痛感しているので、人のことは言えないというだけなんですけどね。

 

責めずにあり方を振り返る

坂本:経営者が人を育てるうえで、信じて任せることも難しいと思いますが、白井さんは社員がうまくいかない時にどこまで我慢をするのか、ポイントを教えていただけますか。

 

白井:5年前に起業家として会社をおこして3,4人のチームでやっていましたが、それが今10人を超えて16人になった時に、会社のクレドやミッションが人格になり、みんなの目が自然とそう向いています。“智さんはそんなことは言わない”“智さんがそんな愚痴を言うはずがない”そういう目でスタッフが見てくれるので、私自身も経営者を演じている部分はあります。私たちのミッションはなんだっけということは誰よりも信じて疑わないように徹底しています。

80%の信頼はないと思っています。信頼は100%しかあり得ないと思うので、絶対に何があっても達成させるとか、絶対何があってもできるから大丈夫ということを誰かが一番大きな声で言ってあげる必要があります。

人間はそんなに強くないので、無理かもしれない、難しいかもと、心が折れる時はどうしてもあると思います。だからこそ私だけは何があっても曲げないところは貫いて、スタッフたちの行動一つ一つが本当にお客様のためだったのか、それとも自分のためにやったのか、というところをすごく厳しく見ます。どうしてその仕事を先にやらなかったのか、ということが起きた時にはその人を責めるよりは、あり方として本当にお客様を最優先に考えていたのかの問いかけはします。

 

坂本:つい人を責めてしまいがちですがそうではなくて、なぜそれが起こったのかという原因を見て、挑戦してちゃんとやったものは称賛していくことは本当に子育てにも通じるところだと思います。ありがとうございます。

 

中田:愛情あふれる企業理念、行動指針のもとに経営をされていることが伝わってきました。

最後に白井さんから皆さんにお知らせしたいことがあるということでお願いします。

 

白井:私たちこどもたちに一生モノの自己肯定感をプレゼントしようという“未来デザイン手帳”を発売しています。未来デザイン手帳と検索すると出てくると思います。大人の方が見てもいろいろな気づきがある手帳になっているのでぜひ検索してみてください。

 

中田:ありがとうございます。来週も引き続き、今ご案内があった未来デザイン手帳についても触れて、いろいろお話を伺いたいと思います。

本日は白井さん、坂本先生、禰覇さんありがとうございました。

 

白井坂本禰覇:ありがとうございました。

次回:【第97回】坂本憲彦のラジオ起業塾「女性経営者が語る「こどもたちの自己肯定感を育てるミライデザイン手帳」(株)ミライLABO白井智子社長」