令和の時代の起業家教育とは?

令和という新時代を迎えた日本。

令和は希望とともに花咲かせる日本でありたいという願いが込められていますが、現実は厳しく日本は多くの問題を抱えています。

そんな日本の未来へ希望を持てず、不安感を抱えている人がいる中で、起業家教育で多くの人を幸せにしたいと考えている坂本氏。

その理由は過去の挫折や失敗、拒否し続けてた母への想いが大きく影響していました。

坂本氏の波乱万丈な人生談、その経験から気付いた起業する上で一番大事なこと、また自らが理事を務める立志財団の活動内容など「令和の時代の起業家教育とは?~世界中の一人一人が志を実現できる社会を創る~」というタイトルでお話して頂きます。

プレゼンを終えて

みなさんこんにちは。本日はお越しいただきありがとうございます。

今日は4名の方にプレゼンをして頂きましたが、本当に素晴らしい完成度でした。このプレゼンを作るまでに大体約4~5ヵ月かかるんですけれども、最初はみなさんボロボロです(笑)。そのボロボロの状態からスタートして、みんなで一緒にフィードバックしながら作っていってやっとこのプレゼンが完成します。

プレゼンの内容は自由です。しかしただひとつだけ絶対にやって欲しいことがあるので、そのことを私は最初みなさんに必ず言うようにしています。

 

それは”自分の本当の想いを伝える”ということ。

つまり今までの人生で一番伝えたいことを伝えるということです。

 

やることはシンプルで一見簡単そうに思えるかもしれませんが、これが意外と大変なんです。

なぜかというと、自分の伝えたいことを明確にするために、まずは自分の人生を振り返って向き合う必要があります。向き合うということは自分の一番触れたくないところにも触れなければなりません。思い出したくないことも思い出して向き合うというのは辛く、大変なことです。

しかしみなさんは自分の人生としっかりと向き合い、自分の伝えたいことを見つけられることができました。またみなさんはプレゼンのプロではないのに、前に立って一生懸命やってくれました。その姿を見て私はとても嬉しく思いましたし、一人一人自分の個性を発揮してその結果素晴らしいプレゼンになったと思います。

今回プレゼンした方は起業への大きな一歩を歩むことができたのではないでしょうか。

プレゼン聞いていたみなさんも、今回のプレゼンが何か志を見つけるいいきっかけになればと思います。

 

不安感を抱えている現代人

令和という時代を迎えてまだ1ヵ月もたっていませんが、新しい時代になりまたこれから時代がどんどん動いていくという中で、様々な不安感を持っている人は多いのではないでしょうか。

そしてそのような人が多いこの世の中、「今私は幸せに生きている!」と自信を持って言える方がどれほどいるでしょうか。

 

ではここにいるみなさんに聞きます。

「私は幸せだ!」という方は挙手してください。

(何人か手を挙げる)

・・・素晴らしいですね。

 

では質問を変えます。

「あなたの大切な人は幸せに生きていますか?」

(何人か手を挙げる)

・・・いらっしゃいますね。素晴らしい、ありがとうございます。

 

みなさん自分自身が幸せであるということも大切なんですけれども、周りの人が幸せを感じて生きているということも大切です。

周りの人というのは家族はもちろん会社で一緒に働く仲間、同僚や上司、部下。そしてお客様。自分が幸せであるなら、その幸せの輪を周りに広げていく。これをみなさんにぜひ実現して頂きたいと思います。

 

日本のワースト世界一3選

令和になった今、日本はとても大きな問題を抱えています。

その問題とは、日本にはワースト世界一がいくつもあるということです。その中で今回3つほどピックアップしましたので、みなさんにご紹介したいと思います。

 

まずひとつが『高齢者の寝たきりが世界一』。

今日来て頂いているみなさんの中にももしかしたら介護に携わっている人がいるかもしれません。私は直接介護をしていたわけではないのですが、先日亡くなった私の叔父が10年以上寝たきりで、叔母がずっと介護をしていました。叔母は元々責任感が強い人で、仕事は看護師をやっていたということもあり「私が看る!」と言って全部1人で叔父の介護をしていました。

その結果叔母はボロボロになり、とても衰弱してしまったのです。

 

その姿を見て私は、

人として生きるって何だろう。

長く生きたら幸せなのか。

と考えてしまいました。

 

確かに日本は平均寿命は延びて豊かになっているというのは事実です。

しかしそれが果たして本当に心の豊かさなのか。

自分の人生生き切ったと言える方も増えているのだろうか。

 

これは将来みなさんが必ずむかえる問題でもあります。

ぜひ一度この問題について考えてみてください。

 

そして二つ目が『精神科病院の数が世界一』。

日本は物質的にはとても豊かな国のはずです。何でも物が揃っていて簡単に買える。安くて安全。不自由なく暮らしていける国なのに、なぜか精神科病院の数が世界一なんです。

この現実が何を物語っているのか。

ちなみに私は起業家の教育をしているので色んな方の相談を受けます。

その相談を聞いてて思うのが、みなさん思った以上に仕事が大変でキツイ思いをされているということ。仕事のせいで鬱になったり病気になったり、精神を病んでしまうという方も非常に多いのです。

これもなんとかしなくてはいけない問題のひとつです。

 

三つ目は『若者の自殺率が世界一』。

先ほどと同様、なぜこれだけ豊かな国でみんな自由に幸せに暮らせる環境だというのに、得体の知れないところで閉塞感が広がっているのでしょうか。

日本の自殺者は年間で約2万5千人と言われています。しかしそれは遺書が残っている人だけで、遺書が残っていない自殺者も含めると、年間10万人くらいだと予想されています。

10万人が1年間で死ぬというのは、もはや戦争レベルです。

この現実が日本で今起きているということです。

 

今言った3つのワースト世界一、これをみなさんにもどういうことなのか今一度考えて頂きたいと思います。

 

令和という時代を幸せに生きていく為に

令和の時代、人は本当に幸せに生きていくことができるのでしょうか。

先ほど言ったように日本は様々な問題を抱え、しかもそれが戦争や貧困といった分かりやすい問題ではないので知らない人も多く、知ったとしても自分が解決しようとしない人がほとんどです。

 

ではこれらの問題を解決するのは一体誰なのか。

誰か偉い政治家が解決してくれるかもしれない。

どこかの偉い社長が解決してくれるのかもしれない。

 

けれど果たしてそのように他人に解決を任せていいのでしょうか。

もちろんそういう人達にも頑張ってもらいたいですが、やっぱり自分たちが何かできることはないかと考えるべきだと私は思います。そして志ある起業家がそのよう意思を持って問題を解決し、これからの令和という時代をいい方向へ変えていけるのではないかと思うのです。

ただ問題を解決するといっても一人一人ができることは小さなことで、手が届かないところもたくさんあるでしょう。何か貢献したくてもできることは限られているでしょう。しかし貢献できる機会を作り、強みを持った人同士が集まってお互いの弱さを補い合うことができれば、みんなを幸せにしていけるのではないでしょうか。

 

そしてそういう志ある起業家を私は育てていきたいと思っています。

お金儲けのことしか考えてないような起業家ではなく、世の為人の為に何かやっていきたいという人をサポートしたいのです。

そしてそれができるのは日本だけだと思っています。

なぜかというと、世界は今金融資本主義という考えが主流になっており、要はお金を稼ぐ人が偉いという考えが主流になっているからです。

 

私も以前はそういう考えだったことがあります。

今から約5年前、30人くらいの従業員を抱え会社を経営していたことがありました。当時はお金を稼ぐことを一番に考えながら働き、その結果みんなに高い給料を渡すことができました。しかし誰も幸せを感じてはいなかったのです。

もしかしてみなさんが今働いてる会社でも同じことが起こっているかもしれません。給料をたくさんもらっている、福利厚生もしっかりしている、外から見たら幸せそうなのに、幸せを感じていないという方もきっとこの中にいるでしょう。そのような会社、社会を変えていく力を持っているのが志ある起業家の方々で、みんなを幸せにしていくことができると思っています。

 

そして私はそれを実現するために、2017年、9月に「立志財団」という財団を立ち上げました。最初は7名の同志と始めましたが、現在は約60名まで会員数が増えました。立志財団は起業家教育を通じて、世界中の一人一人が志を実現できる社会を創る教育機関です。

起業家の教育というとどうしても表面的なビジネスモデルの追求やマーケティングをやるというイメージがあると思います。確かにそれも大事なのですが、それを教える前にまず本当に何を成したいのかということを見つけてもらうことから始めてもらいます。

 

私は過去に色んな経営者や起業家の方を見てきましたが、やっぱり魂をかけてやっている人には勝てないと思いました。それは仕事だけではなく、どんな世界でも同じことが言えます。

自分がそこに人生をかけられるか、命をかけれるか。

そういうことを見つけられるかが勝負になると思います。

例えば最近引退したイチローさんは、野球に人生、命をかけていましたよね。自分の全てを野球に注いでるからあれだけの成果があげられたのではないかと思います。そこに対する純粋さが世界一ですよね。

だからイチローさんのように自分が一番本当に何を成したいのか考えるところから始まって、起業家を育成していく教育機関を創りたいと思って立ち上げました。

 

立志財団のコアバリュー

立志財団のコアバリューですが、大事にしている価値観が6つあります。

 

まず一つ目が「真使命の実現」ということ。

先ほども言いましたが自分の人生の目的を実現していくという価値観のことで、これを一番大事にしています。

 

二つ目が「そのままの自分である」ということ。

無理をして違う自分になろうとするのではなく、そのままの自分の力を活かしていくということです。

 

三つ目が「愛と感謝」。

今日もみなさんの愛の力があったからこそ素晴らしいプレゼンテーションになったと思います。みなさんの応援のおかげだと思っていますので、本当に感謝しています。

 

四つ目が「第二の実家」。

自分の家以外のもうひとつの帰る場所というものを作りたいと思っています。みなさんが苦しくなったとき、辛くなったときに帰って来れる場所が立志財団でありたいと思います。

 

五つ目が「知行合一」。

これは中学の陽明学の言葉から来ていますが、意味は知識と行動は一体になっていなければならないという教えです。要は単に学んで終わりということではなく、実践するということです。勿論考えることも大事ではありますが、それ以上に行動していくのが大事だというのが知行合一です。

 

六つ目が「100年続く」ということ。

自分たちの世代がよければそれでいいという考え方ではなく、自分たちの次の世代、子供の世代、孫の世代といった未来のことまで考え、自分たちの時よりもちょっとでもよくなるようにやっていくのが私たちの責任だと思っています。

 

このように立志財団では六つの価値観を大事にしています。

 

立志財団の活動

立志財団では、「志」「知識」「実践」「つながり」というのが大きな活動となっています。

 

まず「志」ですが、志を確立するのが坂本立志塾という起業塾で、今日4名の方が発表した起業家育成のプログラムになります。

立志塾は6ヵ月間のプログラムで、本日は中間発表として実際にみなさんの前でプレゼンして頂きました。そしてそのプレゼンでは具体的なビジネスモデルというよりも、みなさんの志と諦めない理由、なぜそれをしたいのかということをお伝えして頂くようにしています。

その理由ですが、一番大事なことはビジネスモデルではなく何を自分がやりたいのかということだからです。それが分かってないと戦略の話をしても頭に入ってこないですし、マーケティングや収益モデルなどお金の話はその後でも全く問題ありません。

だからまずは何を成したいのかを一緒に考え、最後は100年の事業計画というものを作って頂きます。

もしご興味がある方は参加可能ですので来て頂ければと思います。

 

二つ目の「知識」の活動は、立志ビジネスアカデミーというオンライン講座をやっています。この講座では起業に必要な知識やノウハウ、あと成功事例などを学んでいきます。

 

三つ目の「実践」の活動は、立志実践会といって志ある起業家が集まる機会を作っています。そこではお互いのビジネスにアイディアやアドバイスを出し合い、起業を成功へ導きます。

 

四つ目の「つながり」は立志交流会という交流会を開催し、ビジネスの悩みを解決したりサポートしています。また参加者同士がお互いの人脈をその場で紹介し合うということもできるので、人と人とのつながりが広がっていきます。

 

このように立志財団の活動によってみなさんの志の実現を応援し、志ある起業家を育成する仕組みを提供させて頂いております。

そして立志財団の現在の目標は、10年後までに100の支部を立ち上げ、1万人の志ある起業家を育成していくということ。

志ある方たちが増えたら世の中もっと楽しくなって、ワクワクすると思います。

ただひとつ言っておきたいのが、志ある方は絶対に起業をしろというわけではありません。会社に勤めて働きながら志をもち、情熱をもって仕事をするということでも全然いいと思います。そのような人が増えたら日本はよりよくなっていくのではないでしょうか。

 

そして私は志を持った人を増やし、20年後はそんなひとたちがよりよい世界を創っていけるように活動していきたいと思います。教育という意味では大学を設立するという方法もありますし、そういった方たちを応援するファンドのようなものを作っていくという方法もあります。今はまだ試行錯誤中ではありますが、志ある起業家を応援していく団体を作り、大人も子供も志を実現できる社会を作りたいと思います。

 

今の時代、本当にやりたいことが見つけられずに苦しんでいる方がたくさんいます。特に若い方は鬱で苦しむ方や夢がないという方が非常に多いです。

ちなみに人が夢を諦める平均年齢は24歳だと言われています。

これが今の日本の社会なのです。

これだけ物が溢れ、幸せな環境なはずなのに、不幸せを感じていたり、限界を感じる人がとても多いというのが現実です。そんな世の中でいいのでしょうか。

 

私は夢がないと嘆く若者には夢を見つけて欲しいですし、やりたいことがあるなら諦めないで実現していって欲しい、勇気を持って挑戦して欲しいと思います。

応援してくれる人が必ずいますから。

そして私は夢を実現させたいという方をサポートするために現在活動をしています。

世界最高の起業家教育の教育機関を作るというのが私たちの実現したいことなのです。

 

起業家教育で人を幸せにしたいと思った理由

なぜ私が起業家教育で人を幸せにしたいと思っているのか。それは私の生い立ちが大きく影響しています。

私は1975年、和歌山県に生まれました。そして私の祖父、坂本義一は海軍工廠といって海軍の工場で働く軍人で、日本を守る仕事をしていました。

この写真はその祖父の写真ですが、今では家の家宝となっております。

私が知っている祖父はもうヨボヨボのおじいさんだったのでかっこいいとは思わなかったんですけど、この写真を見ると若い頃は本当にかっこいい人だったんだなと思いました。

 

そして私の父、坂本義浩は住友金属工場という製鉄所で働き、サラリーマンとして鉄を作っていました。父は複数のPTA、ソフトボール協会、連合自治会の会長など様々な活動をしており、いつも地域の貢献を考えているような人でした。そんな父は母を亡くした後も再婚することなく30年以上母を供養し続け、愛情に溢れた人でもありました。

私にとって父は一番尊敬できる人物でもあります。

 

そして私の母、坂本容子は私の人生に一番影響を与えた人です。私は母のことを数年前まで全否定して生きてきました。母のことを思い出すということを30年間したことがないくらい母のことを拒否して生きてきたのです。

それはなぜかというと、私がまだ子供の頃、母はとても体が弱くいつも寝込んでいました。体だけでなく精神的にも弱い人で、今でいう鬱病を患っていたのです。病気の症状からか、母は一日中トイレに入って出てこなかったり、私と姉と母の3人で出かけると母だけ先に帰ってしまったりとそのようなことが他にも度々起こり、私の母は普通ではないのだと幼い頃から気付いていました。

そんな母は私が小学校1年生のときに倒れ、入院しその後亡くなりました。

私はそのとき、母のように弱い人になってはいけない、強くならないといけないと思いました。ただ強くなるとはなんだろうとも同時に思ったのです。

色々考えた結果、お金持ちになって自立して生きていけば、それが自分が強くなるということだという結論に至ったわけです。

そしてお金持ちになるために社長になるんだいう目標をここで持ちました。

 

母亡き後、私を育ててくれたのは祖母の坂本房子でした。

祖母は70歳まで看護師として働き、元気でとても気合の入った人でした。また祖母は明治の生まれで、厳しい教育を私にしてきました。そういうこともあって、私は強くならなくてはいけないという気持ちがより一層強まったのです。

 

その後私は大人になり、昔から夢だった社長になるということをどうやって実現しようか考えたとき、まずは自分で起業しなくてはいけないと思いました。起業するならまずは大学へ行き、経済学部で経済の仕組みを勉強しようと思ったのでとりあえず進学することになりました。

そして私は下関の市立大学という大学へ進学。そこでは経済学など他にも様々なことを勉強したのですが、やりたいことが見つからず、卒業後は起業をせずに地元の銀行へ就職しました。しかし銀行で働いていても自分がここで働いていいのか、やりたいことを見つけるべきではないのかと思い、仕事を辞め30歳で上京。上京後はある起業塾に入会し、そこで起業するきっかけを掴むことができました。

 

私も最初はみなさんと同様ゼロからのスタートです。

人に教えを受けて勉強をしながら起業をしました。

一番最初はネット通販の会社を立ち上げ、不動産投資の教材を販売しました。その教材が売れて実績が出たので、その後は友人と別の会社を立ち上げ、7年間で3つの会社を立ち上げることができました。

その内容は起業塾、速読講座、飲食業、不動産、貸会議室、集客支援、コンサルティングといった様々な事業を立ち上げました。

その結果一番良い時でスタッフ30名で年商5億まで成長させることができたのです。私はその当時、売り上げが上がりお金をたくさん稼げたら、みんなが幸せになると思っていました。

だからその為に一生懸命働きました。

 

しかし売り上げが増えれば増えるほど色んな問題も増えていったのです。

その問題はというと、例えばお客様からのクレーム。起業塾で起業のノウハウや集客の方法をメインで教えていたのですが、ノウハウだけではどうしても限界があります。頑張って教えても成果を出せるのはその中の3割程度です。そうするとその成果の出ない人から不満を頂いたり、それに対応するスタッフからも不満が生まれ、その結果幹部同士でも激しい対立が起こるようになってしまいました。

そして組織は分裂し、私は38歳で一度社長を辞めるという決断に至りました。

 

社長を辞めるときにたくさんのことを考えました。

私には何が足りなかったのか、

私の何がいけなかったのだと。

社長になることを夢見て、その為に大学で一生懸命勉強し、その後就職した銀行でもお金と経営について学び、そして実際に起業し成功した。

しかし自分も周りもみんな幸せにすることができず、とても悩み苦しみました。

そんなとき有名な実業家、松下幸之助さんのある言葉を知り私は衝撃を受けたのです。

それが”志”。

事業を始めるときに大事なことは志で、すべては志から始まるのだという言葉です。

私に足りなかったのは志だったのです。

 

私はなぜこのことにずっと気付かなかったかというと、どこでも教えてもらうことがなかったからです。

小中学校で教えてもらうわけないですし、大学でも銀行でも、「志が大事だよ」なんて教えてくれません。なので私は志が大事なのだということを伝えていく起業塾を作りたいと思い、坂本立志塾を立ち上げました。

 

そしてまずは私に足りなかった志を見つけることから始めようと思い自分の人生を振り返りました。そしたら両親との関係、特に母との確執が私の志に大きく影響しているんだと気付いたのです。

 

両親との思い出を振り返る

今回は4人の方にプレゼンをして頂きましたが、その中でご両親との繋がりをそれぞれの形でお話して頂きました。

みなさんには必ずご両親がいます。

そしておじいちゃんおばあちゃんから命を受け継いで今ここに存在しています。

当たり前のことではありますが、このことをちゃんと実感できているかどうかで、自分の根っこの部分が変わってきます。だからまずは過去を振り返りご両親との繋がりについてちゃんと考える必要があります。

 

私も自分の志を見つけるため、両親とのことを思い出してみました。

まずは私の父ですが、ちょうど5年前に亡くなりました。そのとき私は「頼るものが本当になくなってしまった」と思ったのです。父とは仲が良かったものの、20年以上離れて暮らしていたので何か頼ったりすることはなかったですが、そういう物理的なことではなく、どこかで父を心のよりどころにしていたのだと亡くなってから気付いたのです。

父がいなくなってしまったことにより私は喪失感でいっぱいでした。それからというもの父だけでなく母のことも思い出すようになりました。私はそれまで母のことを全く思い出すことはなかったのですが、色んなアルバムを見たり母のことを調べていくうちに、ある事実を知ることになりました。

 

母の隠されていた真実、それは私の母は自ら命を絶っていたということ。

 

なぜそれが分かったのかというと、私の姉が約3年前に教えてくれたからです。

私はこの事実を知ったとき、自我が崩壊しかけました。

恐怖に襲われ、それ以上母のことを知りたくないとも思いました。

母と同じように、私も自ら命を絶ってしまう運命を辿るのではないかと思ったこともありました。

 

しかし逃げてはいけないと思い、このことをきっかけに自分自身と向き合い、母とちゃんと向き合ってみることにしました。そして気付いたことが二つあったのです。

 

一つは母に何も供養ができていなかったということ。私は母のことを30年間一切思い出すことなく生きてきて、母の名前すら忘れていました。このことに気付いたとき私は後悔の念に駆られ、母のことで生まれて初めて泣きました。

 

そしてもう一つ、私は母が嫌いで亡くなった後もずっと否定をしながら生きてきましたが、母が自分を愛して育ててくれたから私は今存在しているのだということ。

母は私をちゃんと愛してくれていたのです。

 

そのままの自分に自信を持とう

人の自信の原点とは、誰かに愛されてると思えるかどうかなんです。

私はよく色んな方の相談を受けますが、みなさん「自信がないです」とか「できるかどうか分からないから不安です」という方が多いんですね。

 

それは当然です。

やったことがないから不安になるのは当たり前なんです。

 

でもそんな不安を乗り越えて頑張れる人は、自分が誰かに愛されているというのを分かっている方。その誰かっていうのは誰でもいいんですけど、特に自分の両親。両親に愛されているという自覚がある方は、最後の所で踏ん張れます。

親からの愛が大きな力をもたらしてくれるということです。

私は母から愛されていたのだと気付いたことで自信を持てるようになりましたし、私はそのままの自分でいいのだと思うこともできました。

 

私は今まで強くなろうとしていました。

特に起業して成功している方っていうのはパーフェクトで、強くて、何でもできる人というイメージがあったので、私もそうなる為に努力し完璧を目指しました。

ただ自分が完璧でありたいと思うと、周りにも同じレベルを求めるようになってしまいました。その為できない人には辛く当たってしまったり、「なんでもできるようにならないといけないよ」と教えることもありました。

 

でもなんでもできる人なんているわけないんですよね。

こんな当たり前なことに当時の私は気付くことができませんでした。

 

人には弱さと強さ、両方あります。

なので弱いところも受け入れ、強い部分を活かしていく。

これが起業するうえで本当に大事なのだということが母のおかげで気付くことができました。

 

そして財団のコアバリューにもありますが、そのままの自分で成功していくということ。

何か違う自分になろうとしても、結局続かないんです。3年くらいは偽りの自分でも頑張れるんですけど、そこから5年10年20年30年と続けていくのは難しいです。起業で大事なことは自分がどれだけ続けられるかどうかということもあるので、そういう意味でもそのままの自分でいることは大事なのだということを実感しました。

 

母とちゃんと向き合った後、自分の人生をかけて何がしたいのかということを考えました。

そんなとき、父と母の法名を見て、自分のするべきことが見つかったのです。

私は浄土真宗なんですが、母が「釈妙真」、父が「釈義導」という名前だったので、母から真の文字を、父から導という文字を頂き、全ての人を真に導いていこうと思ったのです。

真というのは人がそのままの状態であるということ。

導くというのは嘘偽りない自分でその人の花を咲かせていくということ。

これが私が人生をかけてやっていく仕事なんだと思いました。そして私は立志財団を通じてみなさんの花を咲かせていきたいと思っています。

 

母のように人を育て、父のように人を導いていく

私がなぜ起業家教育をやりたいのか、それはさきほども言ったように私の母が大きく影響しています。

私の母は終戦の年の1945年生まれで、和歌山県の農家の末っ子として生まれました。昔母は私と同じように銀行で働いていた経験があったそうです。私は銀行に就職するときこのことを知らなかったので、無意識に母と同じ道を辿っていたということになります。DNAはすごいですよね。

そんな母は銀行ではバリバリのキャリアウーマンとして働き、みんなを笑わせてその場を和ませたりしながら楽しく働いていたそうです。家ではそんなに明るい人ではなかったのでこのことを聞いたとき、少し驚きました。

 

そして母は自分で何か将来やりたそうにも見えました。

母の叔父が神戸でケーキ屋さんを営んでいたのですが、そのケーキ屋さんを何度も見に行ったり、お手伝いをしに行っていました。他にもそのように思える行動をしていたので、母は会社勤めだけではなく、いつか外の世界で活躍したかったのだと思います。

 

また母は人に教えることも好きだったようです。

私にはいとこのお兄さんがいるんですけど、そのお兄さんが子供の頃、食べ方がとても汚かったそうなんです。それを見た母が「このままではだめだ」と思い、一週間ほど引き取って食事作法を全部教え、ちゃんと綺麗に食べられるようにしたそうです。そのお兄さんは、今人前で恥ずかしくなくご飯が食べられるのは私の母のおかげだと言ってくれました。

 

私は母の何か自分でやりたいという想い、そして人に教えることが好きという性格もまた無意識で受け継いでいました。

だから私は今こうして立志財団を立ち上げ、起業支援をしているのだと思います。

 

私は今まで母のようになりたくないとずっと思っていました。30年間思い出すことなくずっと拒否し続けてきました。しかし母の死の真実を知り、自分と母に正面からちゃんと向き合ったことによって、気付いたことがたくさんありました。そして今では母のようになりたいと思えるようになったのです。

 

あともう1人、私の人生に大きく影響を与えたのは父です。

私の父は自分の人生を一生懸命生きた人で、そんな父のお通夜と告別式には600人以上の方が来てくださいました。父は普通の田舎のおじさんなのに、そこまで多くの方が来てくださったことにとても驚き、そして有難く思いました。

私はその方たち一人一人に頭を下げながら、父のようになりたい、いや、父を超えたいなと思ったのです。

 

母のように人を育て、父のように人を導いていくということ。

これが私が残りの人生をかけてやる仕事なのだと思っています。

 

令和とは繋がる時代

今日ここにいる方で、自分今1人で頑張って生きている、と思っている方がいるかもしれませんが、それは違います。

ご両親、そしておじいさんおばあさんが命を紡いできてくれたから今みなさんはここに存在することができているのです。誰かが途中で事故や病気で亡くなってしまっていたら、今存在していませんから。

 

そして僕は昭和、平成と生きてきましたけれど、昭和も平成も1人で頑張っていく、自分の力でのし上がっていくような時代だと感じました。

しかし令和は勝ち負けではなく、繋がっていく時代だと思っています。

それは横のつながりは勿論、縦のつながり、自分のこれまでの繋がり。みんなが繋がっていくことによって共存共栄できる世の中になっていけるのではないかと思うのです。

そしてこの繋がりがあることで自信が出てくるのです。これは根拠のない自信ではなく、ちゃんと根拠のある自信です。この自信が起業する上で軸になり、踏ん張って続けることができるのです。

 

もしみなさんの周りで悩んでいる人や苦しんでいる人がいたら、ぜひ私たちに紹介してください。私でもいいですし、今日お話して頂いたプレゼンターの方でもかまいません。悩みや苦しみは人それぞれありますし、解決方法もそれぞれ違います。なので財団のメンバーでできるところを持ちより、一人一人の悩みを解決していきたいと思います。

そして令和の時代を私たち志ある起業家が、みんなで手を取り合って幸せにしていきたいと思います。

愛にあふれた未来をあなたに。