起業したいけどアイデアがない人へ。事例で分かる最初の一歩はこの方法
いくら起業したいと思っても、ビジネスアイデアがなければ起業はできません。
ただ、勘違いをしている人も多いのですが、誰も思いつかないようなすごいアイデアがないと起業できないわけではありません。それは、こちらの記事でも書いたとおりです。
起業アイデアがない? この方法ならビジネスとして成り立つアイデアが見つかります
では、実際にどんなアイデアが起業につながるのでしょうか?
アイデアがあったとしてどうしたら最初の一歩が踏み出せるのでしょうか?
自分のやりたいことを事業にするにはどうしたらいいのか?
そうした観点について起業の事例とともに解説します。
起業のアイデアがない……それでも起業できることが分かる例
今回は私の主催する起業塾「坂本立志塾」に入塾された目取真(めどるま)さんという方の事例を元に進めていきます。
目取真さんは都内で会社員として働きながらメドルマフーズという任意団体を立ち上げ、食に関する事業を行なっています。会社員を続けながら副業として起業した形になります。
メドルマフーズは2つのイベント事業がメインになっています。
1つはフードロス解消につなげる「もったいない祭り」というイベント。
もう1つはレトルトカレーを広めるイベント(食べ比べイベント)です。
「もったいない祭り」は廃棄になった食材を農家が無料配布したり、家で眠っている食材、調味料などを物々交換するイベントです。
地域の飲食店、神社、会議室のスペースを借りて開催しています。飲食店で開催する場合は集められた食材を使って料理を提供することもあります。
そして、食品ロスの今現状と、今後こういった食品ロスに関してどのような取り組みをしたらいいのかを解説する講演活動も行なっています。
起業アイデアのない状態から、どうやって起業できたのか?
今はこうした形で自分のやりたいと思っていたことをもとに起業した目取真さんですが、初めからやりたいことが明確だったわけではありませんでした。
2017年頃、目取真さんは起業したいという思いはあったものの、何をビジネスにしたらいいのかビジネスアイデアがなかったといいいます。
そんななか、坂本立志塾にめぐりあってどうやったら自分のやりたいと思えることで起業できるのか、それを考えました。
起業のアイデアが生まれた経緯と行動に移せた理由
そのプロセスでは自分を見つめ直すために過去を振り返るというセッションをもうけていて、目取真さんもそれに沿って自分の過去を振り返ってみました。
そこで思い当たったことが食べることでした。自分が好きなことというのもあったようですが、自分の生い立ちにも関係していたことでした。
目取真さんが小学生の頃、父親が脳梗塞で倒れてしまい、母親が1人で4人兄弟だった目取真さんたちを育てたことがありました。そのときに周りの人が手を差し伸べてくれたのは主に食べ物の支援だったそうです。
そうした経緯もあって家では食べ物を残さないというルールがあったそうです。だから食に関する思いが人一倍あるということに気づきました。
一方で、世の中には食品ロスの問題があります。環境省の発表によると、2015年度の推計で本来食べられるにもかかわらず捨てられた食品は約646万トンです。これは日本で東京都において1年間に消費する食品と同じ量に匹敵します。
フードロスの現状と子供の頃に受けた食べ物を通しての支援の経験。
自分と同じような境遇にいるような人も多いはず。そうした人たちに役立てられることがしたい。食べることによって笑顔になれるし、幸せにもなれる。
そう考え、フードロス解消を広めようという想いが強まり、腹が決まったそうです。
実際に行動に移したのは翌年の2018年7月。最初の「もったいない祭り」を開催し、そこから少しずつ活動が広がっています。
誰でも自分のやりたいと思えることを見つける方法
「自分には目取真さんのような経験はないし、本当にやりたいことが見つかるか分からない」
と思うかもしれません。
そこで、目取真さんのように自分のやりたいことを見つけるためにはどうしたらいいのかもう少し詳しくお伝えします。
ポイントはいくつかありますが、目取真さんの例がありますので、今回はそれに沿う形で2つお伝えします。
自分のやりたいことを見つけるために有効な方法の1つは、先ほどの目取真さんの話にもあった過去を振り返ることです。もう1つはプレゼンテーションです。
それぞれもう少し詳しく解説します。
やりたいことを見つけるための一歩、過去を振り返る
自分を見つめ直すために自分の過去を探っていきます。
自分のやりたいことは過去を探っていくと見えてくることが多いものです。何も考えなくても自然にやっていたり、関心が向いていたりするものですから。
特にまだ子供だった頃の記憶、経験したことを掘り下げていくことが有効になります。
過去を振り返るにあたって重要になることは「そんのなのは無理だ」といった思い込みをなくすことです。多くの人が自分で自分を制限してしまっていて、思いはあっても「それは無理……」と抑圧してしまうことがあるからです。
そうした思い込みを取り除いていって、心からやりたいことを引き出すような指導を私はするようにしています。
そして、それをもとに具体的にどう行動していくか、計画を立てていくようにしています。
自分の想いを明確にして軸を定める方法
自分のやりたいことを見つけるために有効なもう1つの方法はプレゼンテーションすることてす。
過去を振り返ってこれだと思えることをより明確にしていくといったほうが適切かもしれません。
プレゼンテーションは発表すること自体の価値はもちろんですが、何を伝えるかを決めていく過程にも大きな価値があります。
いざ人前で発表しようと思ったら自分がどんな想い、ビジョンを持っていて、なぜそれをそんなにもやりたいのか、諦めない理由はなんなのか? それを明確にしなくてはなりません。
明確でないことを発表するのには無理がありますから。
発表するという機会があるからこそ、ワークをやるだけでは到達できない明確さが得られます。自分の中の納得感の得られ方も違ってくるでしょう。
ですからプレゼンテーションが重要になります。
起業アイデアが変わることは良くも悪くもある
ところで、目取真さんの起業例にレトルトカレーのイベントという話がありました。
フードロス解消がメインでレトルトカレーのイベントもやっている。一見すると2つは関連があまりなさそうです。
こうした事業を新たに手がけるのはどうなんでしょうか? あるいは初めにやりたいと決めたものの、途中でやることを変えるケースもあります。
起業アイデアが変わることは良くも悪くもあります。やることを変える、新たに何かを始めることでより良くなることもあれば、悪くなることもあるのです。
では、その違いはなんでしょうか? それを知っておくと起業する上での迷いも減りますので触れておきます。
起業アイデアを変更することは悪いことではない
起業した人のなかには初めにやると決めたことを変える人もいます。あるいは新たになにかを始める人もいます。
やりたいことを決めたらずっとそれをやり続ける必要はありません。ですからやることを変えることも何か新しいことを始めることも悪いことではありません。
トライアンドエラーはつきものですから改善していくうちに変わっていくことはよくあることですから、むしろ良いこととも言えます。
こうした起業アイデアの変更は問題ない
目取真さんの例は問題ない例の1つです。
フードロス解消がメインである一方、レトルトカレーのイベントも行なっている。一見するとあまり関係なさそうですが、ここには食という共通項があります。
もちろん、単に共通項があればいいわけではありません。目取真さんの場合、自分の過去を振り返ってみて食に関する想いに気づいたことで、食が軸にある状態になっているから問題ないのです。
食に関わることという意味では両方とも同じであり、それが自分の軸に沿った形の事業と言えるわけです。
自分の中にやりたいことの軸がしっかりとあることで、こうした事業の展開をすることができるようになります。両方ともやりたいことからはずれていませんから何も問題はありません。
自分の軸ができることによって変わっていいことと変わってはいけないことがより明確になります。
ちなみに、カレーイベントは残り物を使ったカレーなど、フードロス解消につながるようなことが含まれてもいますので、直接的な関連もあります。
こうした起業アイデアの変更は問題あり
ですが、コロコロとやることが変わってしまう人もいます。
例えば、ネットで工芸品を売ると決めたと思ったら、今度はパーソナルトレーナーを始めるとか、そのくらい全然違うことをやるような人もいます。
こういう自分の中にあるやりたいことの軸がない状態での事業転換や新規事業展開は悪い面の変化といえます。結果が出るまで続けることは難しいでしょうし、長続きもしないでしょうから。
よくあるのが儲かりそうだからとか、流行っているからとかそういった理由です。もちろん、それで進められる人もいます。
ですが、そうでない人も多いですし、短期的にはできてもだんたんと虚しくなってきて結局は手が止まってしまうということはよくあります。
これまでの指導経験から分かるのは企業の失敗原因の多くが、そうした理由です。
できるだけ長く深く自分の好きなことをやるには?
私がこれまで1万人以上を指導してきたなかで言えること。それは軸があって自分がどこを突き進んでいくのかが決まっている人とそうでない人の差は歴然としているということです。軸の定まった人のほうが圧倒的に強いです。
自分のやりたいことの軸がはっきりとすることで腹が決まるような形になります。すると、行動がどんどんできるようになりますから成果にもつながりやすくなっていくわけです。
加えて、早くその分野に進めば進むほど経験を積める量が変わってきます。経験が10年の人と半年の人とではキャリアが全然違いますし、できることも違います。
そしてなにより人生が充実します。
以前、目取真さんと話をしたときに、こんなことを話していました。
(メドルマフーズの活動は)好きだからっていうのもありますし、自分自身が自分でやってることに対して笑顔にしたいっていう所があります。笑顔になるとやっぱり幸せになる。それで幸せの波紋が広がっていく社会を作って行きたいなというところがあるので、それをうまく好きなことと絡められたら非常に素晴らしいなって思っています。
こうした想いをもって好きなこと、やりたいことができたらいいですよね。