歯科医師の起業ストーリー~医療の新たな分野へ~
井手真理と言います。
職業は歯科医師ですが、
研修医のころから
ずっと心理学などを勉強しておりまして、
今は
メンタル面と身体面と
両方からサポートする
サロン型のクリニックを経営しています。
会社員から起業した経緯
大学に6年通い、
2年間研修医として学んだあと、
一般の歯科でも3、4ヶ所勤めました。
自費診療のクリニックもたくさん経験しました。
学びたいことも全て学びましたが、
最後に勤めたところでは
イタリアやアメリカなどの
海外からも患者が多く来るクリニックでした。
そこで何をしていたかというと、
口を通して生活習慣を改善していくことで、
メンタルが不調な方や、
がんなどの免疫不全の方の治療を行っていました。
唯一どの治療でも足りないと感じたのが、
カウンセリングやメンタル面のトレーニングでした。
私は
独自で心理学を15年ほど
研修医の頃から並行して勉強していたので、
そこを組み合わせた
新しいクリニックを作りたい
と思い起業を決心しました。
ちなみに
“メンタル面と身体面と両方からサポートするサロン型の歯科クリニック“
は日本で初めてだと思います。
起業を決めてから軌道に乗るまで
準備がひどいものでした。
1年後に起業しようと思っていたのですが、
起業を決めたばかりの時に
現在のクリニックの物件が出ていたのです。
私はこの物件を見た時に一目ぼれをしてしまい、
「ここでやりたい!」
と思いました。
なので実際は起業を決心してから
3ヵ月でクリニックを開きました。
準備は全然足りない状態でした。
宣伝も何も考えていませんでした。
本来、歯医者さん自体は
患者をもっていて起業するので、
患者さんが来るのは当たり前なのです。
私は
全く何も考えていなかったので、
最初は家族や友達を呼んで治療していました。
順調かと思っていましたが
客足も身内なので
段々と途絶えていき、
「あれ、まずい!宣伝しなくちゃいけない」
と思いだしてから、
広報運動に力を入れました。
そこから少しずつ持ち直して
軌道に乗っていきました。
最初は
起業への思いが先走っていたのだと思います。
集客方法の
まず一つは交流会に出席することでした。
何故かと言うと、
今までにないスタイルのクリニックを展開しているので、
まずは私を知ってもらって私を信頼してもらう。
そこから何か
悩み事やお困りごとは無いかと
広げていくような形にしました。
しかし
足で稼ぎ、足で知ってもらうこのやり方は
ずっと続けていたら大変だな
と感じていましたので、
Facebookに記事を上げるなど、
思いを外に拡散するようにシフトしていきました。
何も考えずに起業してしまうと痛い目に合うな
と思いました。
起業して苦労したこと
失敗はいろいろあるのですが、
主人がいて娘もいますので、
仕事と家庭の両立に最初は苦労しました。
主人は外資系のサラリーマンで仕事も忙しい為、
娘の面倒は基本的に私が見なければいけませんでした。
しかし
小学校の入学と起業のタイミングが重なり、
2つ同時スタートだったので苦労しました。
私はこれを解決するために、
主人とよくコミュニケーションをとるようにしました。
私がその時困っている事、悩んでいることを
泣きながら話す日もありました。
どれだけの不安を持ちながら
進めていたのかというのを、
主人としっかり話し合いました。
すると主人は
「あ、そんなに独り立ちするのは大変なんだね」
と理解を示してくれたので、
これまで以上に
家事や育児を積極的に手伝ってくれるようになりました。
おかげで今では私自身も
心理的に余裕がもてるようになりました。
主人の理解が無かったら
継続していくことはできなかったのでは
と思います。
よく自由を求めて起業しましょう
というのがありますが、
私が感じているのは
全てが自由やハッピーではない
ということです。
必ずいくつかの壁にぶつかりますし、
一つ一つ真剣に向き合わなければいけないからです。
その分、自分の成長は強く感じています。
ですが自由な時間や、
全てうまくいくことを思い描いたまま起業すると
苦しくなっていくと思います。
“忍者が成長する木を飛び越えて行って自分も成長する“
私の中で起業とはそういうイメージです。
一生懸命に頑張っていれば、
ふと気が付くと
高いところまで飛べるようにまでなっていた、
というような。
起業して成功したこと
これをやったからうまくいったというのはないのですが、
現在の患者さんは人からの紹介や口コミが多いのです。
じわじわと広がっていきました。
私はただ、
目の前に来た方に精一杯を尽くすこと
を心掛けています。
「解決できない問題は来ない」
とよく言ったものです。
とても重い患者さんが来られて、
私でサポートしきれるかなと
不安になったこともあったのですが、
100%、120%もてる力を出して
ダメだったらまたそこで考えよう
というスタンスで向き合っていました。
そうしたら
その方が喜んでくださり、また別な方をご紹介してくださったり、
というような流れでした。
医療従事者としての理念・信念
私の中で
医療とは、本来は心の分野・メンタルを含んでいるものだ
と思っています。
医は仁術という言葉があります。
仁は愛という意味を持ちますので
医療とは愛の術なのです。
身体だけではなく
心も含めてみてあげるのが医療である
と思っています。
私が6年間勉強してきた中で、
例えば患者さんへの対応の仕方や、
医療者としてどうあるべきかを
考える時間はありませんでした。
卒業したらすぐに先生という立場になりますが、
先に生きると書いて先生です。
本来は
人格としても自分を磨きながら
患者さんと接していき、
自分自身の愛の気持ちや術をもって患者さんを治していく。
医療とはそういう職業だと思っているので、
心の分野を医療にとり入れたいという思いがあって
現在のクリニックを営んでおります。
これから起業する方へ
起業をする前は、
先が見えなくてすごく不安になることも多くあります。
ですが、
必ず想いをもって進んでいけば
サポートしてくれる人が自然と現れます。
自分の純粋な気持ちを大事にして、
一生懸命取り組めば私は大丈夫だと思います。
頑張ってください!