ビジネスにこそスポーツマンシップを!
こんにちは。
立志財団のメンバー、森川応樹(モリカワ オオキ)です。
沖縄在住のライターとして、今回も書かせていただいております。
あなたのお役に立つことができましたら、うれしく思います
今回は、沖縄県で行われた、あるイベントから、お届けいたします。
去る7月16日(日)、
沖縄県の名護市の屋我地(ヤガジ)という場所で、
自転車競技の大会がありました。
地名はあまり有名でないかもしれませんが、
近くに観光地として有名な古宇利島があります。
さて、
「自転車競技」と聞いて、あなたは、
どのようなイメージがありますか?
最近では、『弱虫ペダル』などの人気マンガの影響で、
関心を持つ人が増えたそうですが、
沖縄県は特に、自転車競技人口の割合が多いように感じます。
そして、
自転車競技にあまりご縁のない方は、
一様に「意外だ」とおっしゃることがあります。
それは、実は、
自転車競技は、「紳士のスポーツ」なのだということです。
なぜ、自転車競技が「紳士のスポーツ」と言われると意外に感じる人が多いのか?
なぜ「意外」なのかというと、
「自転車競技」に対する一般的なイメージが、
「キケンと隣り合わせ」
「キツそう」
というイメージだからです。
(そして、それは、決して間違いではありません)
その
「キケン」「キツイ」というイメージと、
「紳士のスポーツ」という言葉が、
あまりにかけ離れているからです。
では、なぜ「紳士のスポーツ」なのでしょうか・・・
「キケン」「キツイ」スポーツだからこそ、「紳士のスポーツ」と言われる理由とは?
例えば、
自転車選手がレース中に手放せないものの一つに、
水分補給用のボトルがあります。
ハードなスポーツであるので、
水分補給が欠かせないからです。
そして、人によっては、
飲み終わったボトルを投げ捨てる人もいるそうです。
それだけ聞くと、何気ないことのように思えますが、
高スピードで、順位とタイムを競っている真剣勝負の中では、
それこそが、大きなケガや、巻き添え事故につながる恐れがあるのです。
これは一例ではありますが、真剣勝負の最中であってさえ、
良識やマナーが要求されるスポーツであることから、
自転車競技は「紳士のスポーツ」と言われます。
ローカルレースであっても最速の称号がほしかった理由とは?
16日の大会は、大きく分けると、
「速さを競うレース」
「競技を楽しむレース」
の2つに分かれました。
前者の種目は、レースそのものの名前が、
「チャンピオン」と呼ばれ、
40名近くの選手が、1位の順位を競う熾烈なレースでした。
この大会自体は、
国内のローカルレースでして、
ここ沖縄県内でも、
それほど知名度が浸透しているわけではないのですが、
この「チャンピオン」種目の勝者は、
11月の「ツール・ド・おきなわ」の推薦状を頂けます。
つまり、「チャンピオン」の種目に参加する選手にとっては、
このローカルレースが、
「ツール・ド・おきなわ」の参加資格を手に入れるための
大事な試合なのです。
なぜ、自転車競技者は「ツール・ド・おきなわ」の参加を夢見るのか?
ここで少し、ざっくりとではありますが、
「ツール・ド・おきなわ」について、
カンタンにご説明します。
「ツール・ド・フランス」というレースの名前は、
お聞きになったことがあると思います。
よくニュースのスポーツ情報でも取り上げらる
自転車競技の最高峰の大会です。
先日も、日本人選手が出場されていたことで
ニュースになっておりました。
世界で一番格式のある自転車競技の一つが、
その「ツール・ド・フランス」ですが、
アジアにおいて、格式のある自転車競技の一つが
「ツール・ド・おきなわ」(種目は「チャンピオン」という種目)です。
国内の選ばれた自転車エリートだけでなく、
海外からも、選ばれた自転車乗りのエリートと
認められた選手でなければ、
この大会に参加することができません。
ですから、
ここでの成績次第では、
世界トップクラスの選手の仲間入りができると言っても
過言ではないのですが、
まずもって、
参加できるということが、実は、すごいことなのです。
それくらい、格式があり、
速さを求める自転車エリートたちが、
参加にあこがれるのが、
「ツール・ド・おきなわ」
です。
ちょうど、
野球少年が甲子園を夢見るように、
サッカー選手が天皇杯のピッチに立つことに憧れるように、
日本の自転車競技の選手は、
「ツール・ド・おきなわ」の「チャンピオン」種目の参加に、
それこそ並々ならぬものを持っています。
ですから、
屋我地の大会は、ローカルレースであっても、
参加選手は、相当の覚悟をもって、臨みます。
ここで勝たなければ、
今年の夢が絶たれてしまうからです。
強くて速いだけではない。勝者の魅力とは?
16日の勝者は、
誰もが望む「ツール・ド・おきなわ」の
推薦状を手に入れることができました。
それを手にするということが、
どれくらいすごいことなのかは、
上記の通りです。
ありがたいことに、私は、
ご縁があって、今年の1位の選手に
お話をお伺いすることができました。
いわゆる「優勝インタビュー」です。
短い時間しかなかったので、
限られた内容しかお伺いできませんでしたが、
勝利者の勝利者たるゆえんの一部を
感じることができました。
例えば・・・
- 勝つためのメニューを自分一人で考えて、
ハードな練習に取り組んでいる孤高のレーサー
- 慎重になりがちな勝負の中で、
勝負所で、勢いよく出る思い切りの良さを持つ
- ただがむしゃらに挑むのではなく、
自分の強みを理解した上で、
当日の戦い方を組み立てるクレバーさ
など、胸に熱い想いを秘めたクールなアスリート、
という印象を受けました。
その選手が多くの称賛を得ていたのですが、
それは、上記の「レーサーとしての強さ」に加えて、
「紳士のスポーツ」の範を垂れているからでした。
勝者が示したスポーツマンシップの模範とは?
例えば、レース中にボトルの水を捨てることがあります。
ただでさえ、
キケンと隣り合わせの乗り物を、
自動車に近いハイスピードで
ペダルをこぎ続けているキツイ状況の中、
周囲のライバルとの駆け引きをしながら、
先の展開を考える。
それ以外のことは目に入らず、
それ以外のことを考えることも、
できないそうです。
特に、その試合に、
憧れの大会の推薦状がかかっているのであれば、
なおさらです。
ですから、
このレース中の行いというのは、
ある意味、無意識に行われるものであり、
それはそのまま、
日ごろの心がけや、人間性が如実に現れる瞬間でもあります。
一例挙げると、この選手は、
人のいない場所とタイミングを選んで、水を捨てていました。
これは自転車競技の中では、
クリーンな行いとして評価されます。
切るか切られるかの真剣勝負の状況の中でも、
フェアでクリーンなレースができるのは
その良識がもはや当たり前になっているからでしょう。
今回、この選手が優勝したことを、喜ぶファンは
とても多いです。
自転車競技に限らず、
勝つためには手段を選ばないアスリートもいます。
勝利への飢えと執着心は、素晴らしいものがありますが、
私たちが「勝ってほしい」と心底、応援するのは、
フェアプレーを愛するスポーツマンシップの持ち主なのです。
多くのファンに末永く大切にされるのは、
速くて強い紳士のアスリートということを、
目の当たりにしました。
ビジネスにも、スポーツマンシップが不可欠な理由とは?
このスポーツマンシップは、
何もアスリートだけのものではなく、
本当は、私たちビジネスパーソンにも
要求されるものではないでしょうか?
例えば、あなたが会社員だとします。
あなたは、今のお勤め先を退職した後、
今の勤め先に、気持ちよく、
お仕事の依頼ができますか?
「お客様をないがしろにする言動」
「受注のためなら、えげつない行為も辞さない厚かましさ」
などが風土としてはびこる企業であったら、
古巣とは言え、あなたは、
仕事の依頼をためらうでしょうか
逆に、
スポーツマンシップに則った、
裏表のないビジネスを展開している社風や文化であれば、
仮にあなたが勇退した後でも、
あなたはその会社のファンであり続けるでしょう。
今でも十分、あなたはご自分のビジネスを、
裏表なく、正々堂々と展開されていると
拝察しております。
そして、
すがすがしいほどのスポーツマンシップが、
より一層深まると、
もっともっと、あなたのビジネスのファンが
増えるようになるのかも、しれません。
南の島国の小さなローカルレースの勝者が、
わずか10分ほどのインタビューで教えてくれた大切なことは、
「ビジネスにこそ、スポーツマンシップを!」
ということでした。
それを今回は皆さんにシェアさせて頂きました。
お役に立ちましたら、幸いです。
今日も最後までお読みくださいまして、
ありがとうございました。