【第9回】坂本憲彦のラジオ起業塾「仲間を大切にできる起業家になるために」

毎週日曜朝9時半から、FM那覇で放送中の『坂本憲彦のラジオ起業塾』。起業家の専門家、坂本憲彦がはじめての起業で成功するために大切なポイントをお届け。沖縄で起業したい人を応援するラジオ番組です。

今回はリスナーからの質問に坂本憲彦氏が答えます。一緒に起業した仲間が離れていってしまう理由はなぜか、仲間が離れていかないためにできること、そしてリーダーとしてやらなければならないことなど、これから仲間とともに起業をする方に向け役立つ内容をお届けいたします。

▼こちらの音声は、下記の「FM那覇」のサイトよりお聴きいただけます。(※2019年3月3日放送)▼

http://www.fmnaha.jp/program/radio_kigyojuku/

リスナーからの質問「仲間が離れていかないためにできることは?」

森川 立志財団の森川です。坂本先生、本日もよろしくお願いいたします。

坂本 はい、よろしくお願いします。

森川 今回はリスナーの方から番組に質問が届いておりますので、坂本先生にお答え頂ければと思います。その質問ですが、『一緒に起業した仲間が離れないようにするにはどうしたらいいか』といった内容です。今回質問を送ってくれた方は、過去に数人の仲間と一緒に起業をした経験があるそうなんですが、気が付いたら仲間が1人2人と抜け、最終的にはみんないなくなり起業も失敗に終わったということです。最初はみんな同じ志や目標を持って一緒にやっていたのになぜ仲間が去ってしまうのか、仲間がいなくならない為にはどうしたらいいのかということなんですけれども、坂本先生はこのご質問に対してどのような解決方法があると思いますか?

坂本 この方以外にも、起業をするときは1人ではなく友達や知り合いと一緒にやろうとする方は多いと思います。僕も何度か友達と一緒に事業を立ち上げたことがあるんですけど、人が離れるというのは必ず起こり得ることなんですよ。ステージが上がると価値観も変わってくるので、ずっと一緒にやっていくのは難しいんですよね。

森川 ステージが上がるということは、起業をして成功したということですよね?では成功せずステージが上がらなかったら人は離れていかないのでしょうか?

坂本 ステージが上がったら価値観が変わる可能性が高いですが、上がらなくても変わる可能性も十分にあります。例えば僕の話でいうと、今から12~3年前仲間4人と事業を立ち上げたことがあったんですね。仲間との出会いはとあるセミナーだったんですけど、セミナーで何回も顔を合わせるにつれ仲良くなり、「みんなで会社をやろうぜ!」と勢いで会社を立ち上げることになりました。ただ全員サラリーマンだったのでビジネス経験がなく、何をビジネスとしてやっていくのか決まってなかったのでそれぞれアイディアを出し合うことになったんです。当時は六本木ヒルズの上階に図書ルームのような部屋があったので、そこに集まってミーティングをしていたんですけど、結論から言うと僕が一番最初にそのグループから抜けてしまったんですね。理由は2つあって、まず1つは六本木ヒルズが僕が住んでいた場所から遠くて通うのが大変だったということ。しかも僕はノートパソコンを持っていなかったので、六本木ヒルズに行っても作業ができず、あまり行く意味を感じなかったんですよね。このような物理的な制約があったのが理由の1つで、もう1つはみんなが出したビジネスアイディアに全然興味が湧かなかったということ。みんなそれぞれ儲け話を持ってきて何かやろうという感じだったんですけど、それがよく分からない儲け話だったんですよ。例えば投資競馬といって、競馬の当たりを予想するソフトを販売して手数料を貰うみたいな。この話を聞いても全然やりたいと思わなかったですし、そんな感じの話ばかりだったので一緒にやっていても意味がないなと思い始めたんです。ちょうどこの時僕は個人的にネット通販で不動産の教材を売りたいと思っていたのもあって、少しづつミーティングに参加する回数が減っていきました。その結果僕は一番最初にそのグループから抜けることになったんですよね。だから僕のように起業をする前の段階で気持ちが変わるということは十分ありえますね。

森川 そのグループから離れた理由は物理的なこともあるけれども、それ以上に提案されたビジネスアイディアに興味が湧かなかったということですね。

坂本 そうですね。興味がないビジネスでも儲けられるんだったらいいですけど、そう上手くはいかないですからね。ちなみに先ほど言った投資競馬はソフトを約80万円で販売して、手数料として約20万円を貰うという話だったんですけど、これを売るのは結構大変だと思いますよ。

森川 それは大変そうですね。坂本先生は競馬に興味はあったんですか?

坂本 全く興味ないです(笑)。だから余計にそのビジネスをやりたいと思わなくて、その結果自然に離れていきました。このように途中で価値観が変わって離れる場合もあるんですけど、なるべく最初から同じ志や価値観を持っている人と一緒にやることが大事かなと思いますね。

志と能力のどちらを優先するべきか

森川 同じ志を持つことが大事ということですが、仕事を一緒にする上である程度の能力も必要になってきますよね。坂本先生は、志と能力のどちらかを優先しなければならないとしたらどちらを選びますか?

坂本 能力も勿論大事なんですけど、それ以上に同じ志を持つことのほうがはるかに大事だと思います。例えば能力を優先して人を選ぶと、確かに仕事はよくやってくれるんですけど結局途中で衝突しちゃうんですよ。志が一緒じゃないとそれぞれが勝手なことをやりだして、反発が起きる。そうすると少人数でやっていても、大企業みたいに社内調整が必要になってくるわけです。これってすごくアホらしいですよね。

森川 確かにそれだったら1人でやったほうがマシかもしれないですね。

坂本 そういうことです。だから能力よりも志や理念を共有している仲間と一緒にやる方がいいと思いますね。能力が多少低かったとしても、できないことは他の人がやればいいわけですし、適材適所で自分の強みを発揮してもらえれば何も問題はないと思います。

森川 能力よりも同じ志を持つ仲間と一緒にやるのが大事だということですが、先ほどのお話にありましたように、同じ志を持っているから絶対離れないということではないですよね?

坂本 最初に同じ志を持っていても、事業の規模が変わるとそれに合わせて人も成長するので、どうしても考え方や価値観が変わって離れてしまうこともあるんですよ。これは僕の体験談なんですが、先ほどとは違う仲間5人と会社を立ち上げたことがあるんですね。最初は同じ志を持っていて順調に仕事をしていましたが、事業が成長するにつれそれぞれのやりたいことの方向性が変わり、1人2人と仲間が去っていきました。結局立ち上げた会社は7~8年しか持たなかったんですけど、いくら同じ志を持っていたとしても人が離れるというのは避けられないことなんだと実感しましたね。

森川 方向性が変わってくるということですが、事業が成長したことにより、自分も会社を立ち上げてみたい、挑戦してみたいと思って離れる人もいるんでしょうか?

坂本 勿論そういう人もいます。そういう前向きな理由で離れていくのは仕方がないと思うんですが、そうじゃなく自分が望まない形で離れられるのは注意が必要です。要は不満が溜まってて、自分が最初思ってた会社と違うみたいな理由で離れていくのはよくないですよね。

人が離れていかないようにする方法

森川 例えば人が離れないようにする方法とか、不満がなるべく溜まらないようにする方法って何かあるのでしょうか?

坂本 僕は一対一のミーティングをやるようにしていますね。勿論全体で話すこともあるんですけど、人が多いと話せない話とかもあるじゃないですか。だから一対一のミーティングを定期的に、最低でも月に1回は行うようにしています。チームを作ったばっかりだったら1週間に1回とか2週間に1回くらいのペースでやってもいいかもしれないですね。

森川 坂本先生はミーティングのときにどのようなお話をされるんですか?

坂本 僕が話すというよりも、相手の現状やどういう方向性を目指しているのかをまず聞きます。そしてその目指していることに対して、どのように実現しているのかということをヒアリングしていきますね。

森川 ミーティングで色々聞かれるということなんですけど、僕は昔別の会社で同じように上司の方と話しをしたことがあって、そのとき相手に対して本音を言いたくないなって思ったんですね。ミーティングをした相手は「なるほど」「確かに」「だけどね」といった構文をやたら使い、僕の話を聞いているフリをして実際は何も聞いてなかったんですよ。このことがあってから相手にあまり話したくないと思うようになってしまったんですけど、坂本先生はミーティングをするときに何か気を付けていることってありますか?

坂本 自分の話ばかりしないように気を付けています。例えば1時間一対一でミーティングをする場合、45分は相手に話してもらいます。こちらが話す時間は15分以下ですね。ミーティングは相手の話を聞くという目的で行っていますので。

森川 なるほど。ただ相手によっては話すのが苦手で、45分も話せないという方もいると思うんですけど、その場合はどのようにしてミーティングをするのでしょうか?

坂本 基本的には質問をたくさんしますね。こちらが質問をしてどう思っているのかを聞きます。あと話すときに気を付けていることは、質問で返ってきた答えに対して絶対に否定をしないということ。否定をすると相手が嫌な気分になったり、この人には本音を言うのをやめようと思ってしまうので。例えば会社の目指す方向と個人の目指す方向が一致していなかったとしても、それを否定する権利はないわけですよ。相手の人生を否定することになってしまいますからね。だからもし一致していないんだったら否定をするのではなく、一致点をどこに落とし込めるのかっていうのを話し合っていけばいいと思います。

森川 相手の意見や考え方を尊重するというのはとてもいい方法ですね。会社によっては自分の意見なんてないようなもので、会社が白っていったら黒でも白みたいに、全て従わなければならないところもありますよね。そういう会社で幸せを感じられればいいですけど、そんな人はほとんどいないと思うんですよ。だから自分の意見を聞いてくれるというのはとても大事なことだと思いました。

坂本 会社の上司と部下は、王様と奴隷のような関係ではありませんからね。会社、または上司に人生を束縛される理由はないのですし、あくまで自分の時間を提供してあげてるんだというスタンスで働くのがいいと思います。

森川 そう考えると自分がリーダーという立場で仲間を引っ張っていくとなった場合、みんなの意見をちゃんと聞いてそれぞれの意見を尊重しないといけないので、リーダーって結構大変ですね。

坂本 そうですね。リーダーだからといって自分のエゴを押し付ければ人は付いて来ないですし、関わるパートナーや部下にも勿論エゴがあるわけですよ。だからそのエゴがどういうものなのかをちゃんと聞いてあげるのも大事なんですよね。

リーダーが絶対にやらなければいけないこと

森川 自分とは違う意見を聞いてもすぐに反論をするのではなく、理解する努力が必要ということですね。

坂本 そういうことです。いきなりこっちの主張だけ言っても、そんなの聞きたい人ってほとんどいないんですよね。結局みんな自分の意見を聞いてくれる人を良い人だと思うので。だからリーダーとして一番大事な仕事は、みんなの話を聞くこと。結婚したり子供が生まれたり、家庭環境が変わると気持ちの変化も出てきますし、やっぱり人の心って移ろいやすいんですよ。だから常に今の現状をヒアリングして、相手がどう思っているのか聞く必要があるということです。これを怠ると組織は少しづつ崩れていきますね。

森川 同じ志を持って一緒に起業した仲間が離れていくというお話だったんですけれども、一定数離れていくのは仕方がない、ただ離れていかないようにする為にはミーティングをして相手を否定せず本音を聞き出せばいいということですね。坂本先生の実際の体験談も話して頂いたのでとても分かりやすかったです。お話して頂きありがとうございました。

坂本 ありがとうございました。

次回:【第10回】坂本憲彦のラジオ起業塾「流行のビジネスは儲かる?子育て中でも起業できる?」

 

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番組概要

番組タイトル

沖縄で起業したい人を応援します「坂本憲彦のラジオ起業塾」

ナビゲーター 坂本憲彦
オンエア 毎週日曜 09:30~09:56
コンセプト 起業家育成の専門家、坂本憲彦がはじめての起業で成功する為に大切なポイントをお届けします。
関連サイト ■ポッドキャスティングでいつでも聞ける!
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