飲食店の居抜き物件を見つける方法と知らないと損する注意点
この記事では、居抜き物件に関して次のことをまとめています。
- 駅前などの好立地は避ける、その理由は?
- どんな立地でどんな条件の居抜き物件を狙うのか?
- 良い居抜き物件の探し方
開業費用を安くしようと思ったら居抜き物件を選ぶことが必須。そう言っても過言ではないでしょう。
居抜き物件に関してはご存じかとは思いますが、前の店で使っていた設備などが残っている物件です。
設備が使えるので、ゼロから用意する必要がな飲食店の開業時の費用を安くできるのが特徴ですが、必ずしもそうはならなかったり、選び方を間違えるとかえって費用がかかってしまったりと注意も必要です。
では、どうしたらいいのでしょうか?
それを
- ラーメン屋を84店舗開業させてきた
- 低予算での開業(220万円で開業したことも)
- 不動産デベロッパーの経験
- 自身もラーメン店、パン屋、コンビニの店舗経営に携わる
という経験豊富な株式会社メントレプレナージャパン代表取締役の矢田裕基さんと、
- 起業家、経営者教育のプロとして20年で1万人以上を指導
- 元銀行員として中小企業に融資してきた
という立志財団理事長の坂本憲彦による「坂本憲彦のYouTube経営塾」の動画をベースにより詳しくお伝えします。
居抜き物件でも駅前などの一等地はさける
初めての飲食店を開業するにあたって一等地を狙うのはやめたほうが無難です。
もちろん、一等地には一等地の良さがありますから絶対にダメではないのですが、一等地は開業費用がかさむ分、リスクが高くなりがちです。
例えば、
- 初期費用がかすむ
- 毎月の家賃も高くなりがちでランニングコストもかさむ
- 一等地の居抜き物件は造作譲渡金が高額になることも
といった面で不利になります。
一等地の居抜き物件の場合、造作譲渡金に500万円や600万円、場合によっては1000万円にもなることもあります(店の規模や場所などケースバイケースです)。
せいぜい数十万円くらいしか価値がないような設備に対しても数百万円を要求されることも。
また、好立地の良い店舗が空いた場合、まずは資金に余裕のある大手に話がまわるのが普通です。
個人が選べるところは、それでも決まらないような物件であり、あまり良い物件ではない可能性が高いです。
なので、一等地の良い物件を個人が手にできるチャンスはあまりないといってもいいかもしれません。
では、どんな場所で見つけるといいのか?
飲食店は三等地の居抜き物件を狙うのがいい
写真はイメージです
個人が飲食店を始めるなら、特に初めての開業であれば、なおのこと三等地にある居抜き物件を狙うのがお勧めです。
三等地というのは、
- 片側一車線の県道・市道・バス通り沿い
- 車を入れやすい駐車場がある)
- 駐車場の広さはできれば席数の半分以上
- 遠くからでも目につく視認性が良い場所
といった条件を満たす物件です。
初期費用が安くすみ、ランニングコストも安くなるため、リスクを抑えられます。
一等地と三等地の具体的な違い
一等地と三等地の違いをまとめておきます。すべてにおいて一等地のほうが不利になります。
- 物件取得費用(保証金、造作譲渡金など)の違い
- 保証人の有無や条件の違い
- 外装費(看板など)の違い
それぞれもう少し詳しく見ていきます。
物件取得費用(保証金、造作譲渡金など)の違い
保証金や敷金は一等地だと月の家賃の10か月分を要求されることもめずらしくありません。三等地なら2か月ですむケースもあります。
また、居抜き物件の場合、造作譲渡金という名目で設備に対して対価を要求されます。
前述のとおり、一等地だと500万円、600万円、場合によっては1000万円も要求されることもあります。
それが三等地になると全然違ってきます。場合によっては三等地なら造作譲渡金が無料ということも。
保証人の有無や条件の違い
保証人もやっかいな条件の1つです。一等地だと自分よりも経済的に盤石な人を保証人として要求されることもあります。
一方で、三等地の場合、保証会社を使えるところもありますから家賃以下月分などの利用料を払えばOKというところもあります。
外装費(看板など)の違い
一等地の場合、他にもたくさんの店があるのが普通ですから、自分の店を目立たせるためにお金をかける必要が出てきます。
主要国道沿いなどであれば、大きな看板を用意している大手の店が並んでいますが、あれだけで数百万円はかかります。
それが三等地であれば、遠くからでも認識できるような設備は必要になりますが、かかる費用は一等地の比ではありません。
どうやって三等地の居抜き物件を探すのか?
写真はイメージです
では、どうしたら三等地で良い物件を見つけられるのか?
そのための主な方法は以下のとおりです。
- その町の不動産屋に全部行き、何度も訪れる
- 現場を何度も訪れて「いつも閉まっている店」を確認
- 「テナント募集」は必ず確認
その町の不動産屋に全部行き、何度も訪れる
その町にある不動産屋は文字どおり全部、行きます。
そして、不動産業者には繰り返し何度も訪れてください。1回、行っただけで良い物件を紹介してくれるなどということはないと思ったほうがいいです。
不動産業者も商売ですから取引が成立しやすい人を優先しし、トラブルになることは避けたがります。
取引実績があって資金力も豊富な人を優先するのが普通です。
何度も何度も店を訪れていれば、少なくとも本当に探しているということだけは分かります。
なので、良い物件が出てきたときに声がかかる可能性が高まります。
1週間や2週間に1回は行ってみるなどして顔と名前を覚えられるくらいになって、初めて向こうから連絡が来るようになると思って物件を探しましょう。
現場に何度も行って「いつも閉まっている店」を確認
候補として考えている地域には何度も何度も足を運びます。
その都度、不動産屋に顔を出して良い物件がないか確認しつつ、近隣をよく観察します。
その中で、いつも閉まっている店があったら要チェックです。
といっても、どうやって調べるのか? と思うかもしれませんが、近所の店や住人に、どんな店だったか聞いてみるのが一番です。
たいした情報が得られないこともありますが、いろいろと教えてくれることもあります。ぜひやってみましょう。
「テナント募集」は必ず確認
そしてもう1つ。
店を開きたい地域を訪れているときに「テナント募集」の案内を見つけたらチャンスです。
たいていの場合、連絡先がかかれていますから、そこに連絡して詳細を聞いてください。
ここまでやるの? と思いましたか?
もしかしたら「そこまでするのか……」と思うかもしれませんが、やっている人はやっています。
そのくらい物件選びというのは大切な要素なわけです。
キツい言い方になるかもしれませんが、
「あなたのお店を始めたいという思いはその程度ですか?」
とも言えます。
もちろん、物件を見つける作業は大変なことではあります。
ですが、 なぜ店をやりたいのか、どんな思いがあるのか、それが明確になっていれば、おそらくやれると思います。
飲食店の開業は、ある程度のまとまったお金を用意し、借金をして始めるケースが一般的と言えると思います。
であれば、甘い見通しで「なんとかなる」で始めてしまうと、大きな痛手になりかねませんから要注意です。
とはいえ、時間をかけすぎてもいつまでたっても始められません。
バランスは難しいところではありますが、半年くらいは物件選びに時間をかけても時間をかけすぎとは言えないと思います。
居抜きは前の店がつぶれたのに問題ないの?
居抜き物件は、前の店が残した設備を使え、開業費用を抑えられる点が大きなメリットです。
ですが、こんな疑問を持ったことはありませんか?
「居抜き物件は設備がそのまま使えるのはいいとしても、前に経営していた店がつぶれているんですよね? そんなところにまた店を出して問題ないの?」
もちろん、その場所が悪くてなかなか思うように経営できなかったケースもあります。
ですから、居抜き物件ならなんでもOKというわけではありません。
しっかりと下調べをすることが重要になります。
具体的には周辺の店の人や住人に前の店のことについて聞いてみるのが一番です。
すると、いろいろと教えてくれることはよくあります。
それで問題ありそうなら避けますし、問題なさそうなら検討を進めます。
例えば、家の事情でどうしても店が続けられなくなったなどであれば、その場所が悪いからつぶれたわけではないことが分かります。
あるいは、学生街なのに値段の高い高級な飲食店だった、という場合は、場所が悪いというより、出店場所を間違っていると考えるほうが自然でしょう。
まとめ
以上、居抜き物件の見つけ方に関してでした。
はじめての起業でラーメン屋など飲食店を開業するなら、リスクを抑えるのが鉄則とも言えます。
そのためにも居抜き物件を選ぶのは必須ともいえます。
どんな居抜き物件をどう見つければいいのか?
まとめると、以下のようになります。
- 一等地ではなく郊外の「三等地」を選ぶ
- 三等地とは、片側一車線のバス通り沿いなどにある視認性の良いところ
- 良い物件を見つけるには現場に何度も訪れる
- その町の不動産業者にも何度も通う
- 物件近隣の人に聞き込みをする
こちらの記事も参考になると思いますので、合わせて読んでみてください。
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