成功する起業の方法を解説!②押さえておくべき基礎知識
前回は起業の方法①として、ビジネスの作り方についてお伝えをしました。
商品のつくり方や営業、集客の方法などビジネスの立ち上げ時の基本6ステップをお伝えしていますので、ご参考にしてみてください。
⇒「成功する起業の方法を解説!①ビジネスの作り方6ステップ」
今回は、起業に関わる手続きや知識など実務的な部分について、1万人以上の経営者・起業家を指導してきた坂本憲彦氏に伺いました。
一言で起業と言っても様々な種類があり、必要な手続きなども異なってきます。あなたがするべきことは何かを整理していきましょう。
起業の種類
ビジネスのパターンは「自分のスキルを売る」または「組織をつくる」の大きく分けて2つあります。
人に教える仕事を例にすると
自分のスキルを売る場合は、自分が身に付けたものを自分の時間を使って人に伝えます。
組織を作る場合は、先生を雇って伝える仕組みをつくります。
2つの大きな違いは自分の時間の使い方です。自分の時間を使うのか、人に働いてもらって自分の時間を作るのか、または両方やるのか、どのような働き方をしたいのかを考えてみましょう。
そして、その手段は一つではありません。あなたがやりたいこと、働き方、資金などの条件によって選択肢は変わります。
それぞれの起業方法の特徴と、どんな人にオススメかをご説明していきます。
1.副業
本業以外の仕事で収入を得る働き方。
・会社勤めをしながら自分のスキルを活かした仕事ができる。
・空いた時間や週末にできる。
・集中して事業に取り組めないため、進み方は遅い。
⇒本業で安定した収入は得られるので、起業にチャレンジしてみたいけれど仕事を辞めるところまでは思いきれない、という方には始めやすい働き方です。
2.個人事業主
会社を設立せずに個人で事業を営むこと。
・税務署に開業届を出すだけでできる。
・手間やお金がかからない。
・申告も自分でできるので税理士を雇う必要がない。
・取引先によって個人では相手にされないことがある。
・所得が高くなるほど税率が高くなる。
⇒難しい手続きや大きなお金も必要ないため、初めて起業をする方にオススメです。
3.会社設立
・仕事の取引の際に信用度が上がる。
・売り上げが1000万円以上あるときには節税のメリットがある。
・手続きに時間と手間、お金がかかる。(設立費用は20~30万円程度)
・法人税を支払う必要がある。(年間最低7万円程度)
・法人の決算は難しいため、税理士を雇う必要がある。
⇒大きな収入を得られるようになったり、取引相手が企業の場合は、会社を設立するのがオススメです。
4.フランチャイズ
すでに出来上がっているビジネスモデルを購入する。
・商品づくりや集客の仕組みが出来上がっているため、自分でビジネスモデルを考えなくてもいい。
・副業として行うことも可能。
・初期費用がかかるため、資金力が必要。
・看板・ブランドがあるからといって儲かることが保証されているわけではなく、利益を上げるための努力は必要。
・最低限のビジネスの知識が必要。
・自分でゼロからビジネスを作りたい人には不向き。
⇒資金があり、早くビジネスを運用していきたい方にオススメです。
5.M&A
フランチャイズが仕組みを買うのに対しM&Aは会社自体を買う。
・小さいネットショップから法人まで規模は様々。
・既存のビジネスを改善できる力が必要。
・自分でゼロからビジネスを作りたい人には不向き。
⇒ゼロからビジネスアイディアを考えるよりも、経営を改善できる力がある方にオススメです。
起業の手続き
起業をするための手続きは、どのような形態で起業をするかによって違います。
それぞれの手続き、起業方法の流れを簡単にお伝えします。
1.個人事業主
①個人事業の開業届の提出(税務署)
②所得税の青色申告承認書の提出(税務署)
2.会社
①基本情報を決定する
②印鑑を購入する
③資本金を準備する
④定款(会社の組織や運営における基本となる規則)の作成
⑤定款の認証(公証役場)
⑥資本金の払い込み
⑦登記申請(法務局)
⑧法人設立届出書(税務署)
⑨健康保険・厚生年金保険加入手続き(年金事務所)
3.フランチャイズ
①業種を選ぶ
②加盟する本部を選ぶ
③事業計画のシュミレーションをする
④本部と契約をする
4.M&A
個人でM&Aを行う際には3つの方法を活用するとよいでしょう。
①小規模に特化した仲介会社:手厚いサポートが受けられる。
②マッチングサイト:手数料が安いが、仲介会社のような手厚いサポートはない。
③後継者人材バンク:中小企業庁が運営しているので安心だが、専門家のサポートを受けるには費用が掛かる。
起業に必要な知識
起業をするためには雇用されていた時とは別の知識が必要になります。
最低限必要な5つの知識について解説をします。
1.お金
経営者は自分の未来を数値化できることが、成功できるかどうかの分かれ目になります。
財務のことを分かっていなければ経営を拡大できないため、お金の流れを把握することが大切です。
押さえておくべきお金の管理方法を4つご紹介します。
①現金出納帳
現金の入出金を把握するための帳簿のことです。
現金が今どれだけあるのか、現金の流れを把握することができます。資金不足を防いだり、資金繰りの計画を立てることに役立ちます。
②損益計算書
毎月の収入と支出から利益を把握するものです。
「何に費用を使って、どれだけの売り上げがあり、どれだけ儲かったか」を読み取ることができます。活用することで経営状態の把握と見直しをすることができます。
③貸借対照表
資産と負債、純資産を把握するものです。
会社の資金繰りが上手くいっているかどうかを分析することができます。純資産を貯めていくのが経営の安定につながります。
④長期経営計画
5年間の収支計画を立てていきます。
どのように売り上げを伸ばしていくのか5年後までの予想を立てていきましょう。具体的な数字で計画を立てていくことで、現実的な行動目標も見えてきます。
予測は外れることも多いですが、予測をする癖をつけていくことが大切です。初めは希望で構いません。繰り返していくことで精度が上がっていきます。
2.セールス
商品やサービスをどう売っていくか、営業の方法です。
いい商品があってもその魅力が伝わらなければ買ってもらえません。伝え方を磨いていくことが大切です。
方法はチラシやホームページ、ブログ、電話、店舗など、いろいろあります。どれをやらなければならないというものはないので、自分が伝えやすい得意な方法を見つけるとよいでしょう。
伝えるポイントはお客様の悩み事をヒアリングし、悩みを解決する提案をすることです。
営業は押し売りではありません。
自分の商品やサービスを必要としている人との関係づくりが大切です。
3.マーケティング
見込み客を集める方法です。
セールスをするために、自分の商品に興味を持ってくれる人を集めます。
InstagramやTwitter、FacebookなどのSNS、リアルのイベント、口コミなどの方法があります。
提携先を広げて紹介先を増やす方法もあります。
誰に、どんなものを提供できるのか、あなたの商品・サービスの独自性は何かが大切になってきます。
4.ビジネスモデル
ビジネスモデルとは、事業の設計図です。
大切なのはどこでお金をもらうのか、キャッシュポイントをつくることです
そこで必要となるのは集客商品(フロントエンド)と収益商品(バックエンド)です。
集客商品とは、収益率低いけど、お客様が集まる商品。
収益商品とは、収益になる商品です。
この2種類の商品をつくることでお客様の流れができ、収益を上げるビジネスにつながります。
ビジネスモデルの詳細はこちらも参考にしてみてください。
⇒「事業を成功に導くビジネスプランの作り方!人の心を動かす書き方とは?」
5.マネジメント
人を巻き込む力です。
ビジネスは一人でやっていくことはできません。一緒にビジネスをやってくれる仲間を巻き込めるかどうかが大事です。
その時に大切なことは、理念やビジョンを伝えることです。ここに共感してくれる人があなたの心強い味方になってくれます。
共感してくれた人と一緒に仕事をし、仲間が仕事をしやすいルールや仕組みをつくり、働く環境を整えることが必要です。
起業に必要な資金と調達方法
起業をするとなるとまず気になるところが経済面だと思います。
どのような資金が必要で、資金を調達する方法はどんなものがあるのかをお伝えします。
1.資金
必要な資金はビジネスモデルによって異なります。初期費用をかけずに始められるビジネスもあります。ビジネスモデル別に必要となる資金の項目をお伝えします。
〇初期費用がかからない
自分の知識を売るもの(コンサル業や教育関係など)
自分の能力やスキル時間を売るもの(事務代行、家事代行など)
営業(不動産、保険など)
〇店舗
敷金、礼金、賃貸、内装費、看板製作費、水道光熱費、レジスター、ユニフォーム、人件費、広告宣伝費など
〇物販
材料の仕入れ、梱包資材、販売するプラットホームの費用、広告宣伝費など
2.資金調達法
調達方法は銀行の融資以外にもいろいろとあります。
①日本政策金融公庫
②制度融資
③自治体の起業支援制度
国や地方自治体にも①~③のような起業を支援する制度があります。
個人で起業をする場合には銀行よりもこれらの制度を活用した方が融資を受けやすい場合があります。
詳細についてはコチラの記事を参考にしてみてください。
⇒「あなたが活用できる起業支援-知らないと損する起業の味方を紹介!」
④クラウドファンディング
不特定多数の人に資金提供を呼びかけてプロジェクトの趣旨に賛同した人から資金を集めます。
方法としてはまずプロジェクトを提案し、目標金額を決めます。プロジェクトに対して出資者が出資をしてくれ、目標金額に達した時点で資金調達完了です。
クラウドファンディングには大きく分けて3つの種類があります。
購入型:支援者に市場に出回っていない物やサービス、権利といった金銭以外の特典を設定します。
寄付型:ビジネス主催者、支援者ともに社会貢献を目的とし、支援者へのリターンはありません。
金融型:支援者に金銭的なリターンが発生する投資型です。
クラウドファンディングでの資金調達では、今までにない革新的なプロジェクトほど、出資されやすい特徴があります。
⑤ベンチャーキャピタル
未上場の段階で株に出資をしてもらい、資本金を得る方法です。
資本金の返済は不要ですが、配当金を出す必要があります。また、企業価値が向上しないと出資金の回収ができなくなるため、出資をしてくれた時点で経営支援を受けることになり、自分の思うように経営方針が決められなくなる可能性もあります。
ITやシステム開発など、投資をしてもらって大きくなるビジネスモデルでないと難しい方法です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
起業の方法、資金調達方法は様々な種類があります。
これらの手段を知っていることで、あなたがやりたいこと、ビジネスモデル、資金状況などに合わせて起業をすることができます。
そして選んだ方法によって手続きは変わってきますので、まずはあなたがどのようなかたちで起業をするかを決めましょう。
はじめて起業をする場合は、分からないことが多く不安になるかと思います。
そんな時は専門家に相談することをオススメします。
相談先を選ぶポイントはコチラの記事を参考にしてみてください。
⇒「起業したい時の後悔しない相談先の選び方。誰に何を相談するかが大切!」
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