英語を学ぶのではなく情報を得る手段にする 、世界の情報を正しく読むためのサードプレイス

立志財団会員ロング・インタビューでは、会員のみなさまの志やビジネスのサクセスストーリーをご紹介していきます。

今回は、La Terrasse (ラ・テラス)の飯田 美樹(いいだ みき)さんです。

英語をただ教えるのではなく情報を得るため手段として活用し、世界の情報を正しく読むためのサポートしている現在の活動に込める想いを語っていただきました。

英語を手段に世界を語り合う

−まず、現在のお仕事について教えていただけますか?

主にやっているのはWorld News Caféです。人生を変える英文読会と言っています。

ニューヨークタイムズなどの海外の新聞記事を参加者みんなで読んで、世界で何が起こっているのかを理解する、ということをやっています。英語力ももちろん身に付きますが、それだけを目的にはしていません。英語を伸ばしたいというよりも、世界に視野を広げることによって日本社会の狭い価値観から抜け出して、自由になりたいという人向けです。英語を手段として使えるようになって、世界に視野が広がって、かつ世界について語り合える人とも出会える場という感じですね。

英語は手段になると面白いんですよ。そのためには割と上級までいく必要があるので、どうしたら正しく読めるかというところも教えます。それだけでなく、その先にある世界というか、一人で読んでも分からない背景の解説を大事にしています。なるべくビデオや写真など視覚的なものも使うようにしているので、アメリカではこんなことが起こっていたんだ、というのが体感できます。

読解的にはTOEICで850点とれるような人もいれば、600点程度の人も参加するので、ものすごい差がありますが、全員が3時間たったら内容を完璧に理解できています。それって、一人で英字新聞を読んでいたら絶対にできないんです。多分ネイティブの先生がそういう会を開いても普通そんなに理解できないですね。何となくわかったけど・・・みたいなのが残って終わるんですよ。私の会ではとにかく3時間来れば英語が0の人でも人に語れるくらいに分かるようになります。

話すことで人生が変わるサードプレイス

―世界の情報を語り合うことを大切にしているんですね。

そうですね。私はもともとカフェ文化の研究をしているんですね。そこで日本で一番と言っても過言でないくらい研究している“サードプレイス”としても機能させたいと思って開催しています。

サードプレイスは家庭でも職場でもない第3の場所で、日本では一人でほっとできる場所と思われていますが本来の意味は違います。一人になるのではなくて、友達や近所の人と会って、気軽に会話をしてちょっと気が楽になったりとか新鮮な刺激を受けたりする場所のことなんです。

出会いがあって人と話すことによって人が変わっていく場所なんですね。そんな風にちょっと世界が広がる場として機能してほしいという気持ちがあるので意見交換をする時間を大事にしています。

 

世界と日本の情報格差

―今の活動はどのようなきっかけで始めましたか?

私はもともとフランス語を教えていたんですけれど、その頃から海外と日本のニュースでは流れている内容が違うということを知っていて、コロナが始まって世界が大きく変わっていく中で、日本語の新聞だけ読んでいてもこれは絶対にまずいというふうに思っていたんですね。その頃にカフェでニューヨークタイムズを読む会を開催していたんですが、東京が緊急事態になって集まれなくなってしまったんです。でもこんな時こそ読まなくてどうするんだと思って、カフェの方とは別に私が一人でオンラインで始めました。2020年の4月から始めて、1月で200回を迎えます。

―日本と海外では情報が違うんですね。

普段触れている情報の質が全然違うんです。日本だと、海外のトップニュースが全然トップニュースにならないので、海外のテロとかベトナムで大勢人が亡くなった話とか、他の人がみんな知っている重大ニュースを知らないんですよ。人身売買や飢餓の話もそんなの世界にあるはずがないと思っている人がいて。日本の情報だけだとそういうことも知らないというのが当たり前にあるんです。

約200回開催していますが、多くの人が「恥ずかしながら知りませんでした」って言うんです。それはあなたのせいではなく日本のメディアの問題だと伝えています。情報を得るために努力していないわけじゃなくて、情報に触れてるのに全然入ってこないし知らないというのは日本のメディアのレベルが低いからです。でも、メディアを変えるよりは英文読解力を上げた方が早いと思っているので英語で情報を読める人を増やそうと思っています。

英語で世界の情報に触れる

―英語で読めると情報が広がるんですね。

100倍とかもっと広がります。世界中の情報はネットで飛び交ってるじゃないですか。でも自分が日本語でだけ情報をとっていることで遮断しているわけです。

私がそれに気が付いたのは研究で図書館に通っていた時です。東大の図書館にも、一番蔵書がある都立中央図書館にも通っていました。だけど日本語で書いてある本だけじゃ明らかに足りないというのが分かったんですね。翻訳ってすごい体力がいるので高いお金がかかります。それだけのペイができない限り翻訳をさせないわけなんです。だから結局訳されないので日本には最新情報が入ってこないということになっちゃうんですね。

基本的に他国のエリート層の人は英語で情報を読めて、理解できてしゃべれるのが当然ですが、日本人は英語が読めていないんです。翻訳された情報のつぎはぎなので、往々にして完成像はいびつな形になっています。これを完成像だと思って判断することが一番怖いと思っています。

原書にあたって英語で世界の情報に触れた方が断然早いし正確です。一番問題なのは、日本人は情報があふれていると思い込んで世界と日本の情報の差に気付いていないことなんです。

言葉は手段に過ぎなくて、言葉だけ話せても中身がなければ話になりません。だから言葉だけでなく知識を積み上げる重要性を教えています。

 

場所にこだわらない居場所をつくる

―これからの展望を教えてください

“時間的自由”“ロケーションの自由”“経済的自由”の3つの自由をクリアして、パソコンを片手に世界中いろんなところに住んで移動するデジタルノマドになることです。

私はもう一度、パリやヨーロッパに住みたいという想いがあってオンラインコミュニティを作っているので、デジタルノマドの一歩を踏み出したいですね。その前段階として、日本をいろいろ旅行して、金沢や京都、大阪などから読解を開催しています。

うちのコミュニティは、引っ越しをしても切れないんですよ。沖縄に住んでた人が大阪に引っ越してからも参加したりとか。誰かが引っ越ししてもコミュニティが残るってすごいと思うんです。引っ越しすると心細いじゃないですか。友達とかもいなくなっちゃうし。だけどまた日曜日になるとみんなで集まれるっていいなと思ったんですよ。そこに行けばみんなの笑顔があって応援してくれる場所を作りたいです。

 

World News Café https://www.worldnewscafe.net