会社員からフリーランスSEへ。葛藤の末に見出した顧客を自立に導く志とは

立志財団会員ロング・インタビューでは、会員のみなさまの志やビジネスのサクセスストーリーをご紹介していきます。今回はプロ職人チーム構築プランナーの みむらともこ さんです。

システムエンジニア(SE)として会社員からフリーランスへ転身。尚もぶつかり続ける葛藤を抱え、本当にやりたいことを知るため立志塾へ。ご自身と向き合い見出した志について語っていただきました。

顧客満足と自由を求めた会社員時代

−まず、今のお仕事について教えていただけますか?

みむら:今はIT業界でフリーランスのSEをしています。開発ではなく、出来上がった物をメンテナンスしたり、お客さんとやりとりしながら改善をしたりしています。

職場は何度か変わっていますが、SEとしては15年くらいやっています。最初は開発もやっていたんですが、楽しいのはプログラミングして動いたところまでで、実際に使ってどうだったか開発のプログラマーって見えないんですよね。出来上がった後もお客さんと関わって満足してもらいたいと思って運用部隊に移りました。

−会社を辞めようと思われたのは何だったのですか?

みむら:会社にいてずっと運用の仕事ができるか分からない、突然部署が変わるかもしれないし、会社の制約もあって自由にやれないことが多かったからですね。あとは、ずっと同じ会社で同じシステムを見ていると、自分がやっていることって他でも通用するのかなと言うのも不安でした。そもそも起業したいなと言う思いもあって、その会社は副業を認めていなかったので仕事も自由に選べるようにしたくて辞めようと思いました。

−そしてフリーランスのSEになられたんですね。

みむら:実は、会社員を辞めた時はITをやる気はなかったんです。何の計画もなく辞めて、どうしようかなと思いながらトマト農園で働いていました(笑)。でも農家がやりたいわけじゃない!お金も尽きてきてヤバい!と思って、まずできることから始めようとSEのフリーランスになりました。

フリーランスへの転身と終わらない葛藤

−会社員時代からどんな変化がありましたか?

みむら:会社員の時は、学歴によって評価がある程度決まってしまいました。どんなに頑張っても評価が決め打ちになってしまうのがつまらないと思っていました。でもフリーになってからは関係なく、実績しか評価にならないので、自分がやった分だけ跳ね返ってくる。その方がシンプルで自分も楽というのが凄くありますね。

IT業界にはエージェントがいっぱいあるんです。登録するとお仕事を紹介してくれるので最初はそこを使いました。でも登録したところの動きが悪くて嫌だったので、それを元請けに伝えたら直接仕事をしようと言ってくれました。今はそのツテで紹介をもらっています。フリーになってから自分で交渉できるのはいいですね。例えば自分の動きたいように週4にして下さいとか。会社員ではできなかったことです。でもそのためにしっかり実績は作っておきます。ダメなら離れますけど大丈夫ですか?って言う(笑)。

−とてもしたたかですね!反対に大変だったことはありますか?

みむら:自分が外部の人間として社員さんと接していると、意識の低さを感じてしまいます。やらされて仕事をしている感じが強くて、本当にお客さんのためを思っての仕事が出来ていなくて、保身に走っちゃっていると感じることが多いですね。結局私は外部の人間なので改善案を出しても「上を説得しないと…」と言われ、自分で説得する気はないようでつまらなく感じてしまいます。

あと、私がやりすぎると、やってくれるからと逆に働かなくなってしまって、「やったもん負け」みたいなところはあります。そう言う時は、やらないなら自分の実績作りのタネにしてやろうと言う思いでやっています!

−やっぱりしたたかですね(笑)。フリーになられてからも会社の都合でお客さんへ満足に携われない葛藤があったんですね。

チームを支える「本当にやりたいこと」

みむら:でもこれだと会社員時代と変わらないので、そこから抜け出したいと思っています。自分の責任で仕事を生み出していくところをやっていきたいです。曖昧だった自分が本当にやりたいことを明確にするために立志塾へ入りました。他の起業塾も入ったことはあったのですが、手法の話ばっかりで、結局は続かないんですよね。

−立志プレゼンまで終わられてみていかがですか?

みむら:最初は消しゴムはんこをやろうと思っていたんですが、通う中で「これ違うわ!」ってなって(笑)。やっぱり自分で物を作るよりは、管理したり効率よく回したりする方が好きなんだって気付きました。今の仕事でも、問題を抱えているチームにヘルプで入って滞っている原因を噛み砕いて整理していくのが楽しいので、自分が表に出るよりは、一人ひとりが自立したチームを作る下支えをしたいって思いました。一人で全てをすることはできないのはフリーで働く中で私自身が感じてきたことなので、みんなが支え合うチームを作っていくサポートをするプロジェクトを自分で起こしていきたいと思います。

グローバルな視点で、全ての人を自立に導く

−今後の展望について教えていただけますか?

みむら:私の真志命は「全ての人を自立に導く」ことで、経営者や管理職をサポートしてチーム作りに貢献するのというのもありますが、そこから発展して起業したい人、自分の技術を活かしたい人を自立に導くプロジェクトにしたいと思います。そして海外でも活動できたらという思いもあります。

−グローバルな展開も視野に入れてらっしゃるんですね。

みむら:ベトナムで1年くらい働いていた時、オフショアで下請けになった現地の工場と仕事をしていたんですが、単価が安いだけでなくて結局は日本で作ったように思われちゃうんです。ユニクロは日本のブランドだけどタグをよく見るとベトナム製みたいな。

これって彼らは自立できていないなって思ったんです。というのも、その時の日本の仕事の出し方が酷かったんです。出し方が酷いと仕上がりも悪くなっちゃうのに、出来の悪さだけを見たりベトナム人だからとか言ったり。そんな状況はなくしたいと思いました。彼らも対等に仕事をしている立場だと思うので、自分たちのブランドを持てるお手伝いをしたいと考えています。彼らが本当に対等な立場で、自分たちがやっているんだって言えるようになって欲しいと思います。

 

インタビュアー:岡﨑智紀