何でも頼れるITコンサルタントとして、頼られることなく誰もが事業を成功できる世の中を目指す

立志財団会員ロング・インタビューでは、会員のみなさまの志やビジネスのサクセスストーリーをご紹介していきます。

今回はエクサート株式会社 代表取締役の鮫島 正好(さめじま まさよし)さんです。IT領域のパートナーとして「志ある人の事業を進める」志を語っていただきました。

まずは前進!先の景色を見てもらうためのITコンサルタント

ーよろしくお願いいたします。初めに、今のビジネスについて教えてください。

鮫島:広範囲に渡ってITコンサルをやっています。WEBの制作、翻訳、プロジェクト管理、システム構築、広告…目の前のお客さんが事業を立ち上げうまく行かせるのに必要なことを全て、お客さんの中のIT担当として動いていくというのが私の役割です。予算が合わなかったりちょうど良いプレイヤーがいなかったりするとしょうがないウチでやろうかと言ってなる感じなんですよね。だからこれやっている限り儲からないです(笑)。儲からないんですけど、その分、お客さんがうまく行った時の喜びは大きいんですよ。儲からないというのは、他の会社に頼んで予算が合わないからできないときに低予算で受けているんですよね。ただディスカウントしているわけではなくて、例えばスコープを縮める、本当にやりたい事はなんだっけという話をして、まずはこのレベルまでやろうかという話をして始めたりします。

目指すところとして、私やウチの会社ができてもしょうがないんですよ。お客さんができるようにならないと意味がない。専門的なことまでやってくださいではなくて、専門家が言っていることをきちんと理解して、ご自分でどうするか決められる状態になってもらうんです。そこがないと値段が高いのか安いのか判断がつかないじゃないですか。適切な値段がわかるようになると、安い値段ですごいことやってくれる会社とか、普通の値段でもめちゃくちゃ効果を生むような会社への感謝も大きくなると思うんですよね。結果的にその会社は幸せになれるんですよ。

今の時代、ITのことがわかんないと立ち止まっちゃうじゃないですか。誰に聞こうか迷っていると事業が止まっちゃうので、まずは進んで先の違う景色を見えるようにする。進ませることをメインにやっている感じですよね。お金であったり時間であったり専門性であったり、進めない理由は色々あるので、それをまずは踏み出せるようにするのがウチの役割だと思っています。どうせやるんだったら踏み出してやることが、これ楽しいね面白いねって思えるようにやってあげたい。そして進んだからには何らかの効果を実感させてあげたいです。場合によっては話をするだけで終わっちゃうケースもありますよね。ああそれだったらできるね、と。それだけだと無料で終わっちゃうんで悲しいんですけど(笑)。ただ、それによって前に進んで本当に結果が出ているんだったらこっちは嬉しいんです。

ーそういったスタンスが他のITコンサルとの差別化ということですね。

鮫島:そうですね。ITコンサルの人たちって、きちんと物事を整理してきちんとやっていくっていうのが本来の役割じゃないですか。手段や手法を提示しながら選択さえを迷わないようにする。AかBかじゃなくて、こういう理由だからBを選ぶっていう状況を作ってあげるのがコンサルの役割だと思うんですよね。

ただ、それをするためには調査が必要になります。今の時代、調査してから実行するだと遅すぎるじゃないですか。規模が大企業だったら一気に100億の資金を投入して調査するのはコンサルとして必要だと思いますよ。ところが5万、10万でまずはこの事業を進めたいっていうような人が調査してからってちょっと勿体無いですよね。少なくとも、大きく外れない方向性はだいたいわかるじゃないですか。だから、まず一歩踏み出して踏み出した先の景色見ようよって言ってあげたいんです。もちろん調査して何かをするっていうのも手なんですけど、資金を投入しなくてもまずは動くことはできるじゃないですか。その人が一歩踏み出せるようにしてあげるっていうのが私の役割だと思っています。

感謝の循環を起こし、社会貢献を生み出す

ースタートアップに足踏みされている方をメインにコンサルをされているんですか?

鮫島:時間的にはそっちの方が遣っています。ただ収入は大手さんからいただいております(笑)。お金になるのは大手さんや目的がはっきりしている人で、ビジネスとしてやっているのは当然なんですけど、売り上げを作るわけにやっているのとはちょっと違うっていう感じですかね。最近は、スモールスタートのところもようやくお金になるようになってきました。前に進もうとしている人たちでそれなりに資金のある人たちが増えてきたという印象です。それもほとんどが紹介ですね。特に広告もドアノックもしていないですから、たまたまそういう人たちが周りに増えてきた感じですね。

ほぼタダでやってあげた人たちって、誰か紹介してあげないと申し訳ないと思ってくれるんです。ありがたいことですよね。なので、ウチはお金だけを目当てに動いている人にはあまり協力する気はないんですよ。でも志を持っている人に対してはどんどんやってあげたいんです。そういう人はちゃんと感謝の気持ちを持っているし、感謝って向こうが感謝して何か行動したらこっちも感謝する、感謝の循環が起きてすごくいいじゃないですか。その循環が起きるとそれがさらに波及して、他の人も巻き込んでくれるんです。

それを期待しているわけじゃないんですけど、単純に志を持っている人を応援したいっていうそれだけですよね。そういう人のビジネスが立ち上がれば絶対世の中のためになるんで、そういう人を応援することが世の中を応援することになるじゃないですか。ウチがやっている社会貢献って、社会貢献をやろうとしている人たちを応援する社会貢献なんです。その中で資金を払う余力があるんだったらある程度いただけると嬉しいなっていう感じです。

踏み出した独立、受け入れてくれた社長への恩

ー独立に至った経緯について教えてください。

鮫島:前職はベンチャーキャピタルにいたんですよ。ベンチャーのスタートアップを支援するチームに。そこでも新しい事業の立ち上げをやっていて、ベンチャーの支援を社外CTOみたいな感じで行くんですね。楽しいんですよ!これが。なんですけど…自分の使命、志と違うんですよ。楽しいし熱中するんだけど、途中で自分が本当にやりたいことがわかんなくなったんです。

ちょうどその時、会社の方向性がシステムで言うとオンプレミス(サーバーからインストールする方法)から完全にクラウドに変えようってなったんです。それで既存の私のお客さんでオンプレミスの方は私が引き取りますよって、独立したんです。ベンチャーキャピタルにいて色んな会社の話を聞いて、色んな仕事に携わらせてもらったんですけど、どれもピンと来るものなかったんですよ。数年間いてもわかんないんだからずっといてもわかんない、じゃあもう環境を変えるしかないって独立したんです。これはもう巡り合わせだと思いました。立場上、スタートアップに対して「これやりたいって言うのがないと路頭に迷うよ」って平気で言ってたくせに、その路頭に迷うようなことを自分はやったんです(笑)

そういう形の独立だったから、最初から売り上げの見込みは全部立ってました。社外から見れば、「スピンアウトしたのね」って見えるような感じです。でも、実際は子会社ではなくて完全に私の独立だったんで、そう言う意味ではその時の社長さんには足向けて寝れないですよね。だって最初から売上も見込みが立っているわけですから。そんな状態でスタートさせてくれたのはその方のおかげなんです。だから前の会社経由で受けている仕事はいくつかあって、そこは仁義を通して恩は毎年返してますね。

「みんなが仕事で輝けるように」独立して見つけた志

ー独立されてからご自身の志を見つけることができたんでしょうか?

鮫島:独立してから自分の志が見えるまで3年はかかりました。思ったのは、人生のうちの3分の1は確実に仕事じゃないですか。例えば家族との関係がめちゃくちゃ良くて輝いています、でも仕事は面白くない。これ損してますよね。どう考えたって仕事で輝いてたら家族の方でも、「パパすごいね」「お母さんすごいね」とか思ってくれるじゃないですか。子どもにとっても親が仕事に希望を持って前向きに働いてたら絶対世の中良くなるって思うじゃないですか。そう言う人を増やしたいと思ったんですよ。ワークライフバランスという言葉がありますけど、仕事の質をあげてバランスを良くしていくのではなく、単純に仕事がつまらなくて時間を短くしようよ、要は労働自体はバツだって思っている人もいるじゃないですか。やっぱり損してますよね。だって自己実現のために仕事が機能していないんですから。私はそれをさせてあげたいんです。

志を言葉にするなら、「みんなを輝かせること」なんですよね。それぞれのビジネスでみんなが輝いていくこと。今やっている仕事が自分にとってどんなにつまらない仕事だと思ったとしても、楽しくすることはできると思ってるんですよ。ただ、自分の専門がITなんで、本当はこう言うことを事業化したいんだけどできない、という人にITの領域で力を貸してあげたい。今は事業行う上でITを使わないとまず立ち上げられないじゃないですか。そう言う意味では、世の中に自分の出番を作ってもらえたと思います。コロナの時期ですから尚更ですよね。

ー働いている時間そのものが輝くように。

鮫島:私のポリシーの一つに、この世に生を受けたからにはこの世に成し遂げるべきことがそれぞれある、自分のやりたいこと=真志命を全員持っているはずというのがあります。それを普通にビジネスにできる人と、ビジネスにできない人がいるだけだと思うんです。ビジネスにできない人たちをビジネスにできるようにしてあげたら、みんなが真志命でビジネスできる状態になりますよね。その中でせめて自分が、喜びを感じられるくらいの収入を得られるようにする。収入を得られるようになったら次はそれを持続化させることです。そう言うところに協力をしてあげたいんです。それができたら、自然にいい世の中になりますよね。

そのやりたいことも、単純に欲しいものリストなのか、志のやりたいことなのかで違うじゃないですか。物を欲しがっちゃうとそれを手に入れたら終わっちゃう。物を手に入れるなんて、多分どうやってもできると思うんですよ。それよりも何故それを手に入れたいかですよね。その理由や志に宝物が埋まっているものだと思います。

顧客が胸を借りてチャレンジできるための再出発

ー独立されてからの辛い経験を教えてください。

鮫島:笑っちゃうんですけど、最初にいっそのこと大手の企業の支援を相当減らして楽しい小規模の方に振ろうってやったんです。それに向けたスタッフも雇ったんですけど、これがボロボロで、借金だけがどんどん積み上がっていって潰れる一歩手前って言うか30秒前まで行きましたよね。それも見込みがあってやったわけではないです。行って進んだら違う景色が絶対見えるから、そしたら絶対何とかなると思ってたんですけど、まぁ、違う景色はみえましたけど何ともなりませんでしたね(笑)。そこからは、出費を減らしながら既存の大手さんの案件をきちんとすることで立て直していきました。我々は支援する側だから、支援される側が胸をかりてチャレンジできるように足元固めないといけないといけない、と強く思いましたね。お金がなくなったからこれ以上支援できません、では話にならないですから。

意外と大手さんの中でも、実現したいけどできないっていう人たちもいたんです。そこを実現するためのアプローチも入れていって、やっていることとしては大小の規模の違いはありますけど、収益は大手の方が上がっていきました。ただ、金額規模は大きいですけど喜びの振れ幅が小さいんですよね。人数の少ない中でやると、期待していないところから成果が生まれたりして楽しいですよね。ただそっち側は少し縮小していったんですが、コロナの影響での補助金だとかで小規模向けサービスの形が見つかってきました。クラウド系のサービスでそういうのが立ち上がりそうなんです。そうすると本格的に小規模の人たちもメリットがあるようなことができるなと思っています。

もう頼られないくらい、誰もが自分で前へ進める世の中に

ー最後に、今後の展望を教えていただけますか

鮫島:方向性としては、すでに商材を持っているけれどネットをうまく使えない人たちに、販売の支援、ECの使い方とか、オンラインサロンみたいなものを用意したりして支援したりするサービスを立ち上げようかなというのもあります。IT方面の顧問契約みたいなことを始めているんです。それが月1万円からなんですよ(笑)。まず「答えられない」、「わからない」っていう返事はしないっていう約束のもとにやってます。わかんなかったらこっちが調べてその答えを返す。少しでも前に進んで欲しいですからね。ITが理由でその人の事業が進まないっていうのはこっちとしては耐えられないんです。「訊けよ!」って思っちゃうし、それを1万円払っている方が聞いてくれるんですよ。無料だと聞いてくれないんです。だから仕方なく1万円もらっているんです。お金をもらわないときいてくんないんですよね。ただ、1万円くらいだとまだ弱いんですよね。5万円くらいになるとちゃんとした課題を与えてくれるんです。10万、20万になるとちゃんとしたタスクを振ってくれるんですよ。だから、そこの段階に合わせてそれぞれ用意しようかなって思っています。言ってみれば『ITなんでも質問箱』ですね。

私が望む世界は、鮫島に頼んでもこんな程度しかできないから自分でやった方がいいよっていう風にみんなが思えるようになることですね。それだけみんなが自分で進んでいけるっていうことです。もう聞く必要ないよ、でも話すと面白いから時々話そうぐらいな感じ(笑)、それが最高ですよ!自分の会社もそれが夢です。社長に言ったってしょうがないから俺たちでやろうよ、って。それで時々ご飯行って愚痴とか希望を聞くだけみたいな。社長と一緒にご飯食べにいくと美味しいモノ食わしてくれるからとか、それもいいですね。

 

エクサート株式会社:https://exurt.co.jp