人の和を尊ぶ文化が作った日本の歴史 祖先に誇りを持つことでビジネスが変わる

立志財団会員ロング・インタビューでは、会員の志やビジネスのストーリーをご紹介していきます。
今回のロングインタビューは、立志財団理事長の坂本憲彦(さかもとのりひこ)先生です。
前回に引き続き、歴史から繋がる立志財団の成り立ちについてお話を伺いました。今回は、世界の流れの中においての日本の歴史です。祖先を知ることが、どのようにビジネスに活きるのかを紐解くお話です。

大侵略時代の中の日本

1400年代くらいからの時代の流れをお話しようと思います。
スタートは大航海時代です。
ヨーロッパの国々がアジアやアフリカ、アメリカ大陸に進出しました。ヨーロッパ人による植民地支配がすごく進んだ時代で、特にアメリカ大陸は、文明が滅ぼされています。アステカ帝国という大きい帝国がありましたが、それがスペイン人とポルトガル人によって侵略をされて、そこにいた何百万という人たちが虐殺されています。それくらい多くの人たちを虐殺して搾取しているという時代ですね。大侵略時代の始まりです。

まずヨーロッパから近いアフリカが占領され、アメリカ大陸に進出。西の方はインドがイギリスに支配されアジアにも来て、ヨーロッパに持って行かれました。
この流れから、日本にもヨーロッパの人たちが来ました。

種子島にポルトガル人が漂着、鉄砲伝来、そしてザビエル来日、キリスト教の布教という歴史があります。この、キリスト教布教の目的は何かというと、キリスト教に改宗させて、洗脳するためです。いきなり戦争で戦いに行くとなると大変なので、まずは現地の人を手なずける必要があるわけですね。最終的には現地の人たちに政権に対する反乱を起こさせて、そこに自分たちも入っていくというやり方です。

日本も最初は布教の目的が分からず、鉄砲や美術品といった珍しいものを持ってくるため、大名も受け入れていました。ですが、だんだんおかしいなということが見えてくるわけです。

決定的に気づいたのが豊臣秀吉で、1587年に伴天連追放令を出しました。
宣教師の人たちがやっていた、布教させて日本人を奴隷として他の国に売るという、奴隷売買を防ぐための法律です。
その後、江戸時代は長崎の出島だけに取引を限定するというかたちになりました。
もし、秀吉がここでやっていなかったら、日本人がどんどん売られて、日本も反乱が起こっていたかもしれません。でも、その前に気付いたので日本の国は守られたのです。

その後は徳川幕府ができて、日本は鎖国状態、取引を限定するというかたちになったので280年くらいはそういうものから影響されない時代になりました。ですが、1853年にペリーが来航して、そこから再び日本にも侵略の波が入ってきました。そこで、明治維新が起こって、守って、回復していったというかたちですね。

植民地の希望になった日本

日本は、明治維新が起きて新政府に変わり、富国強兵というかたちで進んでいき、アジアで初めて欧米に勝ちました。
1400年以降はずっと白人が有色人種を支配している時代だったので、アジアと言うよりも有色人種が初めて白色人種に勝ったんですね。

日清戦争でイギリスに勝ち、日露戦争は直接的にロシアに勝ちました。
今でもロシアと戦争するとなったら大事じゃないですか。当時も本当にギリギリで追い込まれていましたが、奇跡的に勝ちました。
世界最強の海軍と言われていたロシアのバルチック艦隊が日本に攻めてきましたが、東郷平八郎が引いる日本海軍が全滅させたんです。

世界の海軍史上まれにみる、歴史上に名だたる戦いで、世界のトップニュースです。当時ロシアが圧倒的でしたから、まさか日本が勝てるなんて誰も思っていなかったんですね。
そこから、日本の地位が世界に認められました。今もG7には欧米諸国の中に唯一日本が入っていますが、その理由はここからの流れなんです。
だから日本人はすごいんですよ。世界で植民地支配されている人の希望になったんです。

和を尊ぶ精神性がつくった日本文化

基本的に、欧米は侵略するという考え方です。これは民族の成り立ちとして仕方がないのですが、大陸の文化は境界がないので襲われるわけです。そこで、奪ってしまえばいいという考え方になるのです。

一方で、日本人は基本的に和を尊ぶ文化で、戦争をしない、助け合う文化があります。
なぜかというと日本は台風、地震、火山といった災害が多いためです。
大きな災害が来たら、どちらも壊滅的に被害を受けるため、争っていても仕方がないわけです。だから助け合っていかないといけないよね、戦っている場合じゃないよねという精神が生まれました。
そういう日本の精神性があるから、この日本の文化は広がって残っています。日本はある種選ばれた国、特別な国というところです。

そして、白人に支配される歴史の流れの中で、日本はアジアの国々の植民地を解放して自立を目指すために大東亜共栄圏を作りました。
その精神は“八紘一宇”で「世界が一家族のように睦み合うこと」という意味です。
日本は天皇家を中心とした大きい家としてやっていますが、それをアジアでもやっていくということです。

このような大きい理念のもとに戦っていたのが、我々のおじいちゃんおばあちゃんや、ひいおじいちゃんひいおばあちゃんの世代です。
アメリカと戦って日本が負けてしまったという流れがありますが、日本の地位はそれくらいアジアの中、有色人種の中でも突出していた存在です。

戦争で焼け野原になり、軍事は全部アメリカに従わなければならなくなりました。
戦後教育の中で日本はいろいろな影響を受けたましたが、日本のおじいちゃんおばあちゃんたちが頑張って、経済復興というかたちで世界2位まで上り詰めたんですよね。
残念ながら2023年の日本は、今までのサムライスピリッツの貯金が切れて弱くなっており、順位は落ちていますが。

先人たちが日本を支えて変えてくれたというところがあるので、今我々はこのポジションで生きていられるということです。
吉田松陰先生も、志、人の魂に火をつけるということを教育でやり、日本人が大和魂で立ち上がらないといけないと伝えていました。その精神性がずっと受け継がれていましたが、戦後教育でなくなっているんですよね。
私も松下幸之助さんを勉強したから、“立志”という言葉を知りましたが、今はそれが完全にない時代になりました。そういう精神性をちゃんと我々が受け取っていかないと、日本はまた占領されていきますよという話です。

歴史を受け継ぎ考える自分のやるべきこととは

今、我々がここに生きているということはたまたまではありません。先人の人たちが戦って、培ってきたものがあるから今の自分たちがある。
こういった歴史のいろいろな流れの中で自分たちが仕事として何をやっていかなければならないのかを考えていくという観点が大切です。

我々起業家、経営者、ビジネスリーダーといわれている人たちが、そこをしっかり見定めて、今この2023年に何をしていくのかというところです。
いきなり政治家をやりましょうという大きいことではなくていいんです。その人その人でやるべきことが絶対にあるはずなので、それを自分の真命志にも照らし合わせて考えていくということになります。