立志財団会員ロング・インタビューでは、会員のみなさまの志やビジネスのサクセスストーリーをご紹介していきます。
今回は片付けコンサルタントの小川 淳子(おがわ じゅんこ)さんです。
初めは自分の悩みを解決するために取った資格を、同じように悩んでいる人たちのために活用されている小川さんの片付けに込める想いを伺いました。
寄り添う片付け
―まず、現在のお仕事について教えていただけますか?
片付けコンサルタントとして大きく分けて2つ、一般家庭向けとオフィス向けに片付けのアドバイスをしています。リアルとオンラインの2通りの方法でやっていて、どちらも私がアドバイスをしながら、お客様自身に片付けをやってもらうスタイルです。
「やるのは本人で、しかもオンラインは画面越し。だったら自分でやればいいじゃない。」とよく言われるけれど、家が片付かないのは「何から始めていいか分からない」「どうしていいか分からない」「物がいっぱいあって捨てなきゃいけないことは分かっているけど捨てられない」という1人では片付けができない人たちなんですよね。画面越しでもワンポイントアドバイスをしたり一緒に寄り添うことで、片付けられるようになります。なので、そこに私がいることに価値があると思っています。
書斎を片付けたいという男性の社長さんにオンラインでコンサルをしたんですけれど、本が大好きで壁一面本棚で、床とか机の上にも本が積み重なっていました。「何とかしたいけど、本が捨てられないんですよ」ということで、まずはいっぱいある本を1軍から3軍に分けてくださいとアドバイスをしました。すると、分けているうちに私が何も言わなくても「3軍はブックオフ持って行こうかな」と本人から気づいて。実は私はこれが狙いで分けてもらったんですけどね。そこまで答えが出ない人でも、3軍のものは本棚にしまわないで違う場所に段ボールで保管しておいて、時期が来たら見直したらどうですかとアドバイスをすると本棚はきれいになります。
代行ではなく一生使えるスキルを提供
―自分で気づいてできるということが大事ですね。
家事代行のような代わりに片付けをやるサービスもあるけれど、あれは代行の人がいなくなると、どこに何を片付けたかが分からなくなって、結局それを探すためにまた散らかるという本末転倒な自体になるんです。私がやっているのは、私が帰った後でもきれいをキープできるようにコンサルをすることです。お客様自身が片づけられるようになってもらうことが目的なので、一生使えるスキルになります。
それでもやっぱり家庭では生活をしているし、会社も仕事をされているから散らかりますよね。でも、散らかしっぱなしにするのではなくて、最終的に片付ける習慣をつけることできれいをキープできるというところまでを教えて私のコンサルは完結します。片付けられない人を片付けられるようにするのが片付けコンサルなので、片付けの具体的な方法と日常的に継続できる考え方も伝えています。
片付けには人生を変える価値がある
―片付けコンサルを始められたきっかけはなんですか?
自分自身が片付けにストレスを溜めていた人間だったんです。散らかったり汚かったりするのもイヤだけど、片付けるのも嫌いで面倒くさい。それで当時は、いかに簡単に片付けをするかを考えていました。掃除は“汚れ”と向き合う、片付けは“物”と向き合うという違いがあって、私は掃除が面倒くさかったんですよね。物が片付いていれば掃除もスッとできて楽になる。
だから自分なりに片付けるけれど、下手だからすぐに散らかる。家族が散らかすとさらにイライラして、いつもイライラしている状態だったんです。
何とかならないかなと本を買ってやってみるけれど、結局うまくいかないということがずっと続いていて。そんな時に片付けの資格があることを知ったんです。片付けのプロというと、片付け屋さんや掃除屋さんの会社に入るとなれるのかなというイメージしかなかったので、資格を取りに行ったらプロになれるということは知りませんでした。調べたら近所でも取れることが分かって、すぐに資格を取りに行きました。
―ご自身の苦手克服が目的だった資格をビジネスにしようと思ったきっかけはなんですか?
自分で細く長く続けられる仕事はないかと前から思いながら、何もなかったところに資格が取れたこと。そして資格が取れて自分の家がきれいになったことで、今まで毎日いっぱいあったストレスがなくなり穏やかな時間が作れたんです。それで、世の主婦は私みたいに思う人はたくさんいるだろうなと思った時に、このストレスからの解放感を独り占めせずに困っている人に提供できたらいいなというところからですね。
些細なことに感じるかもしれないけれど、今まで費やしてきたストレスがなくなることは、時間の使い方がまるで変わるじゃないですか。大げさかもしれないですけど片付けは人生を変えるんじゃないかなと。
オフィスの場合は、共有スペースの部分を誰が見ても分かりやすく収納します。担当の人がいなくても書類が分かるようになったり、事務用品をあるべきところに収めたり。オフィスが整頓されると、ただきれいになって快適になるだけじゃなくて、生産性のアップにつながるので売り上げにも貢献できます。
一般家庭だったとしても、例えばその方が料理や裁縫などスキルを持っている方だったら、散らかったお部屋じゃできなかったけど、きれいになったら人を呼んで教室ができるなって思えますよね。これも人生が変わりますよね。
何をやるにもまず“片づけをしなきゃ”から入るので散らかっていると全てにやる気がなくなっちゃうんです。
『たかが片付けされど片付け』人生が変わる価値がある。
日常のイライラを解決
―これからの展望を教えてください。
便利グッズの開発をやってみたいですね。100円ショップにいっぱい便利グッズは出ているので競争は激しいかもしれないけれど、片付けが楽になり、スペースも取らないで時短にもなるようなものができるといいなと思っています。
例えば100円ショップで便利かもと思って買ってきたものが、使ってみたらもうちょっと切り口大きくしたら使いやすいのにとか、もう少し幅が広ければいいのにとかありますよね。それを自分で切ったり調整すると使いやすくなるんです。最初からこの製品で売ればいいんじゃないと思うので、そんなところからの発想を上手くかたちにしていきたいなと考えています。
便利グッズを通して、主婦の方が感じる日常のイライラを解決したいですね。