【学習塾経営】父に導かれ守られている志 塾での学びを通してこどもの目の輝きをつくる 帆足二郎氏

立志財団会員ロング・インタビューでは、会員の志やビジネスのストーリーをご紹介していきます。

今回は、株式会社TripleWin会長の帆足二郎(ほあしじろう)さんです。
塾に携わり40年以上、全国に学習塾を展開していらっしゃり、『スタディオアシス』という学習にまつわるコミュニティも運営されています。ただ勉強を上手に教えられればいいということではなく、関わり方を大切に、こどもたちのやる気を育てることにフォーカスをされている現在の活動、今後の展望についてお話しいただきました。

こどもの目の輝きをつくる

−志を教えていただけますか?
帆足:『こどもの目の輝きをつくる』です。
人はみんな“やる気になりたい気持ちを持っている”というのが我々の塾の基本で、やる気を育てることを大切にしています。 “気分のいい子が大きな成果を成し遂げる”というスローガンがどこの教室にも貼ってあって、職員間では「どうやってこどもたちを気分良くしてやる気を引き出そうか」とそんなことをいつも話していました。なので、厳しいことを言うことももちろんあるし、お前ら最高って言って、一緒になって遊ぶときもあります。
私の授業は、試験が終わると次の授業は全遊びをするんです。こどもたちが来た時に、塾の館内全部を使って宝探しをしたり、遊びも本気です。それで生徒たちと仲良くなりますね。お前らだけに苦労はさせないぜ、俺たちも本気で準備してるからさ、みたいな。
先生に対しては、やる気の育て方という研修会をよくやっていました。もちろん数学の教え方とか、英語の教え方の研修もやりますけれど、叱ってくれてありがとうと言われるような叱り方、ほめ方も研修会の中でやっていました。
最終的に親御さんが一番求めているのは、成績を上げてほしい、テストでいい結果を出してほしいというところなのはもちろん分かっています。ただそこで、こどもが嫌々やって上がった成績は、限界があると思うんです。一方で、こどもたちの中から出てきたやる気で成績が上がっていく場合は、どこまでも上がっていくんです。

やる気を育てる

−実際にどのような授業をされているのですか?
帆足:『7つの習慣』を学んで、自らやる心を育て、勉強を習慣化させる塾ですって言ったら、一番分かりやすいかもしれないですね。7つの習慣は、世界で4000万部読まれている、成功に関する本なんですね。成功している人の習慣をコヴィー博士がまとめたものなんですよ。
例えば【第1の習慣:主体的である】 塾ではまずこどもたちに、「今から70分始まるけど、この時間をどんな時間にできるかは自分で決められるっていつも言っているよね。集中して頑張る時間にするのか、やる時間にするのか、それともやらされる時間にするのか、ボーっとする時間にするのか、ごまかす時間にするのか、全部自分で決められるんだよ。どうする?」と聞きます。そうすると「やる時間にします」と答えるので、それが広がるわけですね。
【第2の習慣:終わりから始める】「今度のテストが終わった時、卒業する時や人生が終わった時など、終わりから考えるのが大事だよ」と伝えています。うちの塾で言うと、「この70分の授業が終わった時にどんな気持ちになっていたい?“やっと終わったよ。面倒くさかっただけだったな”で終わりたいのか、それとも“めちゃくちゃ集中してやったら、この前できないと思っていた問題がすごく分かるようになってやる気になってきた”で終わりたいのか、それを自分で想像してみようね」ってそんな話をするんです。
【第3の習慣:今、自分にとって最も大切なことを優先する】【第4の習慣:winwinを考える】【第5の習慣:相手のことを理解して自分のことを理解する】【第6の習慣:相乗効果を発揮する】【第7の習慣:1~6を磨き続ける】 これを1年間かけて教えて、こどもたちにも考えてもらいます。第6の習慣を勉強する頃には、みんなかなり発言するようになっているので、いろんな意見を言ってくれます。

父親に導かれた志

―こどもたちの目の輝きをつくるという志のきっかけは?
帆足:もともと先生になる気は全くなかったんですね、どちらかというと嫌いな職業でした。
親父が死んで帆足家の男が俺だけになった、なにかやらないとやばいなと思って、アルバイトをして自分が何に向いているかを探すことにしました。いろいろなアルバイトをやって、それぞれがすばらしい仕事だと思いながらも、自分がずっとやりたい仕事ではないなと思っていました。でも、塾の先生をやり始めて1年経った頃には、この仕事お金をもらわなくてもやりたいと思ったんですよ。自分でもびっくりしました。
結局、親父が自分の死で私のことをずっと守ってきたんだなと最近すごく感じますね。いろんな意味で親父の影響が大きいです。親って、自分が必要な時に死んでくれるってよく聞くけれど、あの時親父が死んでいなかったら、自分は全く違う人生になっていたんだろうなと思います。

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学習のオアシスを広める

―今後の展望を教えてください
帆足:このオンラインの塾をもっと広めるために、塾を企業の福利厚生にすることを提案していきたいと考えています。現在、各企業で賃上げの圧力が高まっていますよね。ただ、2万円給料を上げると、社会保険料を含めて3万円を会社が負担する感じになるんです。もちろん経費では落ちないので、純粋に利益を圧迫するわけです。そこで、うちのオンライン塾を会社の福利厚生として立ち上げれば、利益を圧迫することなく、社員の方の満足度を高めることができるじゃないですか。
「うちは福利厚生で7つの習慣を教えてもらえる塾と提携しました。塾を40年やっている信頼がおける塾なので、皆さん体験に行かれて、これがいいなと思ったらぜひ上手に使ってみてください。」と。
さらに、7つの習慣の授業は全部を動画に撮って親御さんに返しているんですね。こどもがどんな発言をしているか、全部見れるんです。そのことによって、間接的な社内研修にもなると思います。自分のこどもがどんなことを言っているんだろうと興味を持ちながら動画を見ると、いつの間にかシナジーが生まれて、みんなのベクトルが同じになると思っています。利益を圧迫することなく、社員に還元できて、社員研修も間接的にできてしまう、このアイディアを広めていきたいです。
それともう一つ、『スタディオアシス』というコミュニティにいろいろな人を巻き込みたいと思っています。このコミュニティは、7つの習慣がベースにある、学びに関する集まりのイメージです。7つの習慣を教えて根本的にこどもたちの目を輝かせるこの塾は、スタディオアシスの中の“塾オアシス”を作っているイメージですね。これからは、例えばママオアシス、パパオアシス、語学のオアシス、資格のオアシスといった他のオアシスがいっぱいできてきてほしいと思っています。まずは1~3の習慣である、自分から動く、終わりを考える、今一番優先すべきことを優先する、この3つができるようになったら資格も合格できますので。これを基盤にしたスタディオアシスを広めていきたいと考えています。

帆足さんのプロフィールはこちらから
https://risshi.or.jp/memberichiran/235hoashij/